おつかれ生です。

 と、芳根京子ちゃんに言われたいイワシです。


 会社の冷蔵室で身体の熱を放出して、なんとか帰宅。

 なんも作りたくないので、肉を焼いて終わり。



 マジで疲れた…。

 明日もあるんでぇ、もう無理だよ。


 それで、あんなこと言われたら辞めたくもなるわ。


 委託が嫌なら社員で利益を出してみやがれってね。


 ふざけやがって…。


 あぁ、酔ってないですよ。



 昨日のウナギの婆ちゃんな。



 お客さんには、市場調査をしつつ辞めることは「辞める」って言った翌日からインフォメしてるんだけど、この方だけには、まだ言えてないんだよね。


 他のお客さんからは「あんた、いつまで来るの?やめないの?」とか言われてるんですけどね。


 俺だって、早く辞めたいわ。


 この婆ちゃんは、買うようになって3年くらいかな。

 ウチのかぁちゃんが亡くなったあとくらいからだよな。


 集合住宅で、ひとり暮らし。(買い物困難者)

 週イチで近所のスーパーが配達している気配があるんだけど、慎ましく生活しているふうで、食べ物にはこだわりを持っている感じ。


 ウチでもしっかり買ってくださるが、ないものねだりもソコソコ、できる範囲で応えて来たつもり。


 ウナギは毎年、この時期に言い出すんですよ。

 昨年までは楽天で買ってたのよ。



 1枚だと高くつくし、自分も嫌いじゃないから5枚入りを頼んで、1枚2360円まで値段を下げて譲ったら5日後にまた食いたいって言うから、再注文してね。


 したら、今年は角上のウナギがいいって言うわけ。


 「ウナギは角上じゃなくてもいいんじゃないか?」って言ったんだけど。


 「あそこは、ごはんが美味しい」って言うのよ。


 「米? 米なんて自分で炊いた炊き立てのが美味いべよ」って言っても。


 「角上のウナ弁がいい」と譲らない。(ウナギは国産じゃなきゃ嫌だ)


 「大きいので3000円、小さいので1700円、それなら2360円で大きいウナギを買って、ごはん自分で炊いて、2回、3回食べれるよ。ウナギを小分けにすれば」


 「角上がいい」


 「わかった、わかった、わかった。ね、角上ね、わかりました。」


 全く、誰がこんなに角上漬けにしたんだか。


 角上漬けにしといて辞めるんだから、酷いよね。


 昨日、弁当を渡すと満足してる様子で「また、来月ウナギ食べたいわ」って、まだ食ってねぇだろと心の中で突っ込んだ。


 旦那さんは居たのか、生涯独身だったのかも分からない。子供や孫の話は聞いた事がないし、こちらからも聞かない、聞けない。


 出逢った頃は、うつむきがちで声も小さくて、よく自分の耳を婆ちゃんの口元まで運んでた。


 いまは、表情が豊かになって、声も出るし、この季節になると「お中元」年末には「お歳暮」と言って自分が使わない昔の結婚式の引き出物みたいのを天袋から出してくる。

 

 埃の香りがするそれを満面の笑顔で渡してくる。

 最初こそ、不意をつかれて持ち帰るはめになったが、いまは逃げ回っている。


 食べるものが、ここまで人を変えるのかと驚いているし、他にも困っている人がいるなら、ちからになりたい。


 「食べることは生きること」

 この言葉は婆ちゃんの姿を現した言葉。


 疲れた、寝よ。


 もう1本ビールを飲んで。