「柔らかくて、軽い靴を履いていたのに!」
そう言って、外反母趾で曲がってしまった足を、ため息まじりに見つめるお客さまが来られました。
靴に使われる革は、柔らかな革ほど、値段が高い靴に使われることが多いです。
“値段が高く、外反母趾に良い、というから買ったのに”、そんな声が聞こえてきそうな、ため息です。
外反母趾用、とうたっている靴の多くが、親指の付け根を包むような柔らかさを売り物にしています。
曲がっていこうとする指を引きとめることもせず、そのままズルズルと、ともに沈んでいく、優柔不断で、優しさだけが売り物の誰かのようです。(特定の誰かを想定していません)
外反母趾や内反小趾、タコ、ウオノメなど、足のトラブルを抱えている方に、柔らかな靴はおススメできません。
革が硬けりゃいい、というのではありません。
靴の構造を含めて、シッカリと足を受け止めてくれる、たくましさ、頼りがいがある、そんな靴が必要なんです。
そのためには、靴の強度や安定感、衝撃吸収性などいろいろな機能が必要です。
軽く、柔らかくするために、部品の数を減らしたり、強度を多少犠牲にしても軽くしたり。
コストダウンの都合のよい言い訳になっています。
靴は一概に、軽けりゃいいとは言えません。
アスリートのように、究極のパフォーマンスを追求すらなら別です。
ですが、一般的な使い方で、軽いほうがいいとおススメしなければならない方は、ごく限られた方だけです。
それよりも、足にぴったりな靴を履けば、重さを感じません。
革製の登山靴のように、1キロを超えるような重さがあっても、重い靴が振り子となって、足を前に運びやすくする効果もあるのです。
靴の重さが影響する程度は、筋力の強さ、体重など個人差があります。
また、どんな場面で履くのかによっても違ってきます。
靴屋さんからいきなり、「その靴は柔らかくて軽いですから、とても履きやすいですよ!」なんていわれたら、その人から買わない方がいいです。
実は知らないのか、知っていて言っているのか!?
どちらにしても、いいことありませんから。