「コスメティック ルネッサンス」とは、
化粧品会社のノエビアが87年～97年の10年余り使用していた
キャッチコピーです。
そしてこの時話題となったのが、
CM内で大胆に使われた鶴田一郎氏の美人画と、
BGMとして使われた数々のヒット曲のカヴァーでした。
Wikipediaでは「かつてのヒット曲をハードロック調にアレンジ」としていますが、
シリーズ中に使われた楽曲を聴いていくと単にハードロックという言葉ではくくれない、
多様なアレンジが楽曲ごとに施されています。
（個人的には、商品のコンセプトから察して、
「AOR[Adult-oriented Rock][＝Adult Contemporary]」を
強く意識して制作されていたものと思っています）
CMで起用された楽曲とアーティストは以下の通り。
※楽曲名（原曲のアーティスト）／カヴァーしたアーティスト
夢先案内人（山口百恵）／柳ジョージ
よろしく哀愁（郷ひろみ）／鈴木聖美
グッド・ナイト・ベイビー（キングトーンズ）／上田正樹
女はそれを我慢できない（アン・ルイス）／沢田研二
イミテイション・ゴールド（山口百恵）／もんたよしのり
スローなブギにしてくれ（南佳孝）／森進一
どうにもとまらない（山本リンダ）／桑名正博
経験（辺見マリ）／つのだひろ
愛のさざなみ（島倉千代子）／柳ジョージ
冬の稲妻（アリス）／門田頼命【もんたよしのり】
時の過ぎゆくままに（沢田研二）／甲斐よしひろ
愛のメモリー（松崎しげる）／デーモン小暮
HEART OF GLASS（ブロンディ）／桃姫BAND
Lovin' You（ミニー・リパートン）／アン・ルイス
スローモーション（中森明菜）／鈴木トオル
グッド・バイ・マイ・ラブ（アン・ルイス）／松崎しげる
別れの朝（ペドロ＆カプリシャス）／世良公則
恋のハレルヤ（黛ジュン）／荻野目洋子
愛が止まらない（Wink）／西城秀樹
ダンシング オールナイト（もんた＆ブラザーズ）／マリーン
ミ・アモーレ（中森明菜）／狩人
銃爪（世良公則＆ツイスト）／坂本冬美
絶体絶命（山口百恵）／宇崎竜童
カサブランカ・ダンディ（沢田研二）／田村直美
これらのうち赤色で示した楽曲は、
後に『ノエビアCM HITS! コスメティック ルネッサンス』として
１枚のコンピレーション・アルバムにまとめられました。
コスメティック・ルネッサンス~ノエビアCM HITS!~/オムニバス
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桃姫BANDは、尾崎亜美さんが「桃姫」名義で活動していた頃に結成したバンド。
はっぴいえんどの鈴木茂氏、YMOのサポートでも知られる松武秀樹氏、
サディスティック・ミカ・バンドの小原礼氏といった錚々たるメンバーが名を連ねました。
鈴木トオル氏は、「シャイニン・オン 君が哀しい」のヒットで知られるバンド・LOOKのヴォーカル。
独特のハイトーンヴォイスが魅力的なシンガーです。
マリーンさんはフィリピン出身のジャズシンガー。
現在も国内を中心に活躍中。
田村直美さんはPEARLのヴォーカリスト。
「魔法騎士レイアース」のOP曲としてヒットした「ゆずれない願い」が代表曲です。
アルバムに収められた楽曲はもちろん、
それ以外の楽曲もCMの15秒間で多彩なきらめきを放っています。
他の曲も集めてコンピ盤第2弾を出してほしいなあと思うのですが、
このアルバム制作に原案として携わった臼井孝氏がご本人のHPで語るには、
フルコーラスが録られるようになったのが92年以降のことで、
それ以前に録られたものはCM部分しか収録しなかったため、
アルバム制作時期の02年時点ですでに実現が難しかったそうです。
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当時のCMのダイジェストが動画で見られるので、
気になった方はそちらも見てみてください。
（「ノエビア CM」で検索するとヒットします）
このカヴァー群の面白い所は、
女性目線の曲を男性シンガーが、男性目線の曲を女性シンガーが歌うという
組み合わせが多くみられる点。
組み合わせの意図については明らかになっていないものの、
その多さからしてかなり意識的に組まれたものではないかと思います。
西城秀樹氏がしっとりと歌い上げる「愛が止まらない」などは
組み合わせの妙味を感じさせる仕上がりになっています。
また、組み合わせの妙として押さえておきたいのが、
デーモン閣下の歌う「愛のメモリー」。
こちらはフルコーラスの音源がないのですが、
CMに使われたのは冒頭のAメロ部分とサビの部分でした。
「愛のメモリー」歌詞
上のリンクで言うと冒頭の1～3行目とサビの2行になるのですが……。
そう、デーモン閣下が「天使の～ような～♪」と歌う、この組み合わせ！
これは素晴らしいとしか言いようがないでしょう！
ここ10年はカヴァーアルバムの発表が盛んな閣下、
ぜひとも「愛のメモリー」の再レコーディング～発表を期待したいものです。
アン・ルイスさんが歌う「Lovin' You」はなんと、
「WOMAN」（アン・ルイス）の作詞で知られる石川あゆ子さんの訳詞でのカヴァー。
インパクト凄まじいフレーズが乱れ飛ぶ内容となっています。
どうぞ、こちらからご覧ください。
今となってはこういう作りのCMシリーズは流行らないのかな……。
アダルティな雰囲気で“魅せる”楽曲の数々、
平成初期の感じが好きな方はハマるかなと思います。