中学を出てすぐに弟子入りして、修行の後で試行錯誤してつくった独学の窯は、最初1000℃までしか上がらなかった。
その後何度も作り直してきたけれど、最初の内作った窯は三日粘っても1100℃以上まで温度が上がることはなかった。
その頃を思い出す。
毎回問題点を見つけて改善を続けて、いよいよ24時間かからずに一人で焼き上げられる薪窯のカタチが出来上がったのが何年前だろう。
その窯には何度も世話になったが、細かいところではその後も何度となく修繕を繰り返して、より使いやすい物にしてきた。
そういう風に自分の外側にある言葉や知識を活用せずに、また誰かの力を借りずに、自分でひとつのカタチを作り出していくことは、曰く簡単ではないらしい。
とはいえ自分にとっては、目の前の現象を観察し、それを支配している自然界の理を理解することで、それに合致する形に作り変えるというやり方の方がやりやすく、むしろ現代文明に適合する形でやる方が面倒くさくて仕方がない。
だから私にとっては、観察・理解・構築という方が普通である。
今回、いつものようにうつわを焼いている途中でその窯が寿命を迎えたため、早速窯の解体を始めた。
次のカタチのイメージは、既に瞼の裏に。
古い形から新しい形へ、自分を作り変えるようにその仕事も洗練されていくと良い。
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それでは、今日も麗しい時をお過ごしいただけますように。