新ルマンタイトル「LE MANS ULTIMATE」 が23年12月にリリース | rFactor2にゅーす

rFactor2にゅーす

本格レースシムソフト、rFactor2のサーバーを運営する谷間鯖です。
こちらの記事では、rFactor2の最新情報、シリーズ戦のレース結果、Le Mans Ultimate情報などを更新します。

2023年6月5日、モータースポーツゲームス(MSG)とStudio397は、予てより開発中とされてきたルマン24時間公式タイトル「LE MANS ULTIMATE」を、今年の12月にリリースすると正式に発表しました。

 

 

この新タイトルでは、現実に走行するハイパーカーも公式コンテンツとして導入され、サーキットに関してはルマン市街地サーキットはもちろんのこと、現実にWECが走るサーキットの収録も予告されています。また、挙動エンジンにはrFactor2と同じくgmotor2.5が使用され、オンラインレースには少し面白いシステムも登場するようです。

 

それではここからは、これまでに判明している新タイトルの内容について、少しだけ掘り下げて見てみましょう。

 


車両

LE MANS ULTIMATE(以下LM)には、2023年にル・マン、もしくはIMSAを走るリアル車両が登場するようです。

 

様々なサイトの情報を集約すると、現時点で予想される収録車種(メーカー)は以下のとおりです。

ハイパーカー(GTP):トヨタ、フェラーリ、ポルシェ、プジョー、キャディラック、グリッケンハウス、ヴァンウォール

LMP2:オレカ

GTE:アストンマーチン、コルベット、フェラーリ、ポルシェ

 

これらの大半の車種については既にrFactor2においてリリースされているため、特にP2とGTEに関しては収録が確定していると言っても過言ではないことでしょう。rF2にまだ登場していないハイパーカーについては、メーカーとの交渉(金額)次第では最初はリリースされないこともあるかもしれません。しかし、先日rF2にも登場したハイブリッドシステムもあることですし、技術的には収録への障壁は無いと思われます。

 

現実のWECでは2024年にGTEがGT3に置き換わることが決定していますが、このラインナップを見る限り12月にリリースされるLMの舞台はあくまで23年限定ということになりそう。24年以降の車種は、それ以降に追加(もしくはDLC販売)されるということでしょうか。

 

サーキット

LMには2023年に開催されるWECのサーキットが、すべて収録されることになりそうです。

 

内容を確認していくと、まずはゲームタイトルでもあるル・マン市街地は間違いありません。また、モンツァスパセブリングバーレーンについてはrF2内でDLC販売もされており、こちらも既に完成していると言っても良いことでしょう。

 

富士についてはMSGの公式アナウンス内に名前があり、こちらは収録が確定しているようです。また、RaceDepartmentの記事内にはポルティマオ(アルガルベ)の名前もあり、こちらもどうやらリリースは間違いのないことでしょう。

 

 

現在リリースされているWIP画像には、ウェット路面のルマンも登場しています。これは、以前のMSGであれば「Unreal Engine 5を使用してさらにリアルなグラフィックを…」とアナウンスされていたのですが、ナスカーでの失敗や開発会社の移転などの問題もあったのか、今回はUE5に拘らない開発姿勢を取っているとのこと。もしかしたら現在のrF2と同じ描画手法(Screen Space Reflection)を採用するのかもしれません。

 

また、LMの12月のリリースはPC向けにリリースされることがアナウンスされていますが、将来的にはコンシューマーゲームへの移植が既定路線としてあり、このゲームではゲームパッド向けのドライビングエイドに重点を置かれることが予想されています。

 

LMはrF2のような”レースシム”というよりも、カジュアルな”レースゲーム”として開発されていくようです。

 

”レースコントロール”オンライン

MSGと関係性の深いTRAXIONの記事によれば、LMにはオンラインレースモードも搭載されるようですが、長時間耐久レースをシミュレートするLMでは、そのシステムがちょっと変わったものになりそうです。

 

 

この”Race Control”と呼称される新しいオンラインシステムでは、”a collaborative asynchronous race mode (協力的な非同期レースモード)"が導入され、これはMSGのアナウンスでは「チーム内のプレーヤーは自分の都合の良い時間に合わせ、自分のスティントを走ることができる」という珍しいシステムになるようです。

 

このシステムの詳細についてはこれからのアナウンスを待ちたいところですが、TRAXIONによれば、先日アナウンスされたS397の新オンラインシステムに関するアルファ版テストがこれに繋がっている可能性を指摘しており、もしかしたらrF2ユーザーには一足先にそのシステムを体感できるチャンスが来るのかもしれません。

 

 

なお、LMはもちろんシングルモードでのレースにも対応する予定らしく、お一人様でも安心して遊べるようです。

 

ルマン24時間でのテストプレイ

現在開発中のLMは、6月7日から開催される「ルマン24時間レース」の会場で、実際に遊んでみることができるそうです。

 

今回のWIP版で遊べるのはポルシェ963とフェラーリ488GTEの2車種となるようで、この会場で実際に遊んでみたドライバーのフィードバックは、今後のゲーム開発に活用されることも目的とされています。また、今後は別の会場にも試遊台が持ち込まれるとのことで、WECのパドックに行けば誰でもテストプレイが楽しめることになりそうです。

 

バーチャル・ルマンとの関係

今年は色々な意味で注目を集めたバーチャル・ルマンですが、今後のVLMではこのゲームが活用されるようになるようです。また、TRAXIONによれば先述したオンライン機能の活用もあり、今後のVLMはこれまでとは違った開催方法になる可能性も指摘されています。

 

ただし、ここ数年のVLMは9月頃からの開催であったことを考えると、ゲームのリリース時期が少し間に合わないことは明白です。もし日程が変更されないのであれば、VLMへの参加者には先行してベータ版が配布されるということになりそうです。

 

rFactor2との関係

さて、既存のrFactor2ユーザーとして少し気になるのが、このゲームの開発とrF2の関係となります。

 

かつて、アマゾンやナスカータイトル開発時にrF2の開発に大きなブレーキが掛かったことを記憶するユーザーとしては「このゲームがまたrF2の開発を止めてしまうのではないか」とか、「rF2も別のゲームになってModが使えなくなってしまうのではないか」という懸念が生まれるのも致し方ないことでしょう。

 

 

しかし、BellettさんがStudio397のディスコードで収集された情報によれば、rFactor2とLMは別のものとして開発されることがまとめられており、当面の間はそのような心配は無用に終わりそうです。一安心ですね。

 

まとめ

"LE MANS ULTIMATE"については、MSGがS397を買収した直後から開発を予告したもののMSG自体の収益や体制不安定もあり、なかなか実現しなかったタイトルの一つとなります。また、MSGは他にもインディやBTCC、そしてナスカータイトルの新作など、様々なゲームの開発を予告していますが、これらも様々な理由から開発が遅延しており、特にインディとBTCCについては24年以降のリリースへと延期が決定されています。

 

これらの過去の"実績"を踏まえると、もしかしたらLMの一般向けリリースが遅れることは十分に考えられ、12月には新たなリリース日の発表が行われていることも予想されます(これらのリリース情報は銀行や株主向けアナウンスでもあるので、この程度までは予定調和なのかもしれませんが)。

 

ただし、日本人ユーザーとしては念願のトヨタや富士の収録も期待できることから、もしかしたら新たなユーザー層の開拓に繋がるタイトルになってくれるのかもしれません。また、おっさんレースゲーム愛好者にとっての新しいオンラインシステムは、かつてゲームセンターにおいてあったルマン24時間を様々な時間で走ることができるアーケードゲームを思い起こさせてくれて、ちょっと懐かしさを感じる部分もあります。

 

MSGやS397のアナウンスには、これまでの経緯も考えると大きな期待はできませんが、悲観すること無く続報を待ちたいところです。