Le Mans UltimateはFIA世界耐久選手権(WEC)を再現した本格レースシムです。現実と同じマシン、サーキット、機能が再現され、rFactor2をベースにするその挙動により、リアルさながらのレースが楽しめるようになっています。
しかし、WECのレースは様々な部分で他と異なる部分が多く、また、ゲームの設定にも分かりにくい部分が沢山あると思います。
そこで本稿では、LMU導入からゲーム開始までの流れを簡単にまとめた”くいっくがいど”を作成しました。筆者の経験がベースになるのでちょっと怪しい部分もありますが、肝心なところはLMU公式サイトのガイドページ(英語)の掲載記事を参照しており、おおよそは間違いないものになると思います。
少々長めの記事になってしまいましたが、LMU購入時の検討やゲームを楽しまれる際のご参考になれば幸いです。
なお、バーチャルエネルギーなどWEC/LMU用語もこの記事にまとめる予定でしたが、文字数制限に引っ掛かったため別記事となります。もうしばらくお待ち下さい。
※ゲームのアップデートに応じ、加筆・修正を行うことがあります。
インストール/アカウント登録
LMUはSteamにて販売中です。2025年現在、PC以外のゲーム機には対応していません(将来的に対応予定)。Windows OS以外のPC(Mac、Linux)はサポートされていません。
推奨PCスペック
- Requires a 64-bit processor and operating system
- OS *: Windows 10 or 11
- Processor: Intel Core i5-10600 or AMD Ryzen 5 5600X
- Memory: 16 GB RAM
- Graphics: GeForce GTX 2070 8 GB, Radeon RX 6600 8GB
- DirectX: Version 11
- Network: Broadband Internet connection
- Storage: NVMe SSD with 45 GB available space
- Sound Card: DirectX Compatible
- *Additional Notes: To run on default settings at 1080p
こちらはLMU公式サイトに記載される推奨スペックです。メモリは推奨16GB以上と記載されていますが、この容量ではページエラーが発生することがあり、エラー回避には32GB程度が望ましいとされています。
インストール先に指定はありませんが、内蔵SSDにしておくと画面読み込みやリプレイ保存速度、プチフリ対策などの効果が期待できます。筆者の経験上、外付けドライブはトラブルが発生しやすくおすすめしません。
ランタイムエラー
インストール直後の起動時、C++ランタイムエラーが表示されることがあります。これを解決するにはLMUのインストールフォルダ
\SteamLibrary\steamapps\common\Le Mans Ultimate\Support\Runtimes
を開き、4つある.exeファイルを全て実行/インストールしてください。
DLCについて
2025年9月現在、LMUには4種類のシリーズが収録されています。
- 2023年WEC(本体)
- 2024年WEC(DLC、一部車両は本体同梱)
- 2025年WEC(DLC、一部車両は本体同梱)
- 2025年ELMS(DLC)
2024以降のシリーズをフルに遊ぶには各種DLCを購入する必要がありますが、GT3マスタングなど一部車両は本体に含まれており、DLCが無くても遊べるレースもあります。24年以降にWEC入りしたサーキットにはDLCが必要です。
”Le Mans Ultimate WEC Full Access Bundle”にはゲーム本体と全てのDLCが含まれており、各DLCの個別購入より15%割引となります。また、既に購入してある本体/DLCがある場合は、その分が差し引かれた価格が提示されます。年に数回あるSteamセールでは更に割引率アップ、購入のチャンスです。
対応言語 / コントローラ
LMUは英語ベースとなっており、2025年9月現在、日本語対応はしていません。ただし、ゲーム内には日本語辞書が同梱されていることを確認しており、ゲーム内チャットでの日本語入力/表示が可能です。今後、日本人ユーザーが増えれば正式対応も期待できます。
LMUは各種ハンドルコントローラ、ゲームパッド、キーボード、マウス(UIのみ)に対応しています。ステアリングのマウスコントロールには対応していません。
VR起動
LMUはVR、TrackIRに標準対応しています。VRを使用する際はSteamVRモードで起動します。また、ゲームプロパティの”選択中の起動オプション”欄から通常起動方法をVRに設定することが可能です。
ゲーム起動後は、”VR Center Head Position”ボタンを使用して、初期ヘッドポジションを設定する必要があります。またGraphicsメニューにてVRのスケール設定が可能となり、HUD、メニューなどもスケール変更が可能となります。
残念ながら筆者はVRを持っていないためこれ以上の解説はできませんが、どうぞ様々な設定を駆使して快適なVR環境を構築してください。
レースアカウントの作成
ゲームの初回起動時にはアカウント登録画面が表示されます。オンラインレースを楽しみたい場合は、RaceControlサイトへのアカウント登録が必要になります(登録は無料です)。
登録されたメールアドレスには認証URLが送付されますので、24時間以内に認証手続きを行ってください。完了しない場合、オンラインレースが遊べなくなります。
この画面をスキップした場合でもオフラインのゲームは楽しめます。また、PROFILE設定からのオンライン登録も可能です。
登録時の注意点
LMUの登録名とメールアドレスの登録にはクールダウン期間が設けられており、一度変更すると3ヶ月間は変更/修正ができません。また、RaceControlに登録するドライバー名には、原則、本名での登録*が求められています。公序良俗に反するもの、商品名などを使用することは禁止されており、違反した場合は同サイトからの追放、もしくは管理者から修正を要求されることがあります。
*海外事例を見ると厳格には適用されていないようですが、登録は自己責任で行ってください。
コントローラ設定
ステアリング / ペダル設定

重要:LMUで最適なFFBを得るためには、Steam設定>コントローラの”一般的なSteam入力を有効にする”をOff(無効)にすることが推奨されています。
*ONの場合、FFBが鈍くなるだけではなく、ステアリングが左右に振られるなどの症状が報告されています。
LMUは初期設定で多くのステアリング/ペダルメーカーをサポートしており、コントローラを繋いだ状態でゲームを起動すれば、大体そのまま遊べるようになっています。初期設定が無いコントローラを使用する場合は、SETTINGS>CONTROLS>WHEEL & PEDALSで各種設定を行う必要があります。
キャリブレーション
CALIBRATEではステアリングを左右の最大まで回し、中央で0、最大で100%になることを確認してください。最大値とステアリングの移動量が合わない場合は、ステアリングを最大限まで切った状態で[Set Max]をクリックしてください。
スロットル、ブレーキ(クラッチ)についても同様に0~100%の確認を行ってください。スロットルやブレーキの0%時に少しでも入力が残ると、回生ブレーキが使用できなくなったりエンジンパワーが失われてしまうことがあります。その場合は僅かにスロットル/ブレーキを踏んだ状態で[Set Min]をクリックし、0%付近に遊びを作ってください。
より現実に近いステアリング操作を体験したい方は、CALIBRATEの”Use Steering Wheel Range From Vehicle”をONにしておくことが推奨されています。
FFB調整
LMUでは多くのステアリング機種毎に個別設定が用意されており、多くの場合はそのまま使用しても問題ありません。もっと自分好みに調整したい場合はFORCE FEEDBACKで変更することが可能です。
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Force Feedback Effects
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FFBのON/OFFを切替えます
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Invert FFB
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メーカーによっては(スラストマスターなど)、このオプションを使用してFFB方向を逆にする必要があります。まっすぐ走りたいのに車が強烈に左右に引っ張られる場合、これを切り替えてみてください。
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FFB Strength
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FFBの強さを設定します。
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FFB Smoothing
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スムージングを大きくするとFFBの振動が穏やかになります。ただし、あまり大きくしすぎるとLMUの誇るきめ細やかなFFB情報は失われてしまいます。振動・騒音にお困りの場合、少しずつ数値を大きくして最適値を見つけてください。
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Minimum Steering Torque
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低速、低FFB時の最低FFB出力が設定できます。DD(ダイレクトドライブ)など強いトルクを持つコントローラでは使用しないことが推奨されています。
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Collision Strength
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クラッシュや接触時のFFB強度を設定します。
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Steering Torque Sensitivity
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トルクの上昇カーブを調整できます。DDでは100%以上に設定しないことが推奨されています。
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Constant Steering Force Effect
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古いコントローラを使用する場合、ONにする必要があるとされています。
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ステアリング・トラブルシューティング
- ステアリングやペダルがゲーム内で動作しない場合は、
Windowsの設定>Bluetoothとデバイス>その他のデバイス
にてゲームコントローラとして認識されているかどうかを確認してください。認識されていない場合は、各メーカーの説明書を確認し適切な操作(ドライバインストールなど)を行ってください。 - ゲームにコントローラが認識されている場合は、
Settings > Controls > Wheel & Pedals > Primary Controls
でステアリング、ペダル、ボタンの再設定を行ってください。 - 上記2までに認識しない場合は
\Le Mans Ultimate\UserData\playerフォルダにある
input.json
current controls.json
keyboard.json
gamepad.json
の削除を行い、ゲームを再起動してみてください(ファイルが再生成されます)。
- ゲーム内のステアリングと手元のステアリング角度が一致しない場合、
- Settings > Controls > Wheel & Pedals > Calibrate
のホイールレンジ設定が自身のステアリングと同じであるかを確認してください。 - Gameplay設定のSteering assistはOffにしてください。
- Settings > Controls > Wheel & Pedals > Calibrate
- チャタリング(ダブルシフト)が発生する場合は、Settings > Gameplayの”Repeat Shifts”を変更してください。数値を大きくするとチャタリングしにくくなります。
- シフトダウン時に思うようにギアが下がらない(beep音が聞こえる)場合、エンジン回転数の上がりすぎを防止するシフトプロテクション機能が作動しています。この場合は、もっと低回転になってからシフトダウンを行ってください。
- 上記で解決しない場合、LMUのコミュニティサイト(フォーラムやDiscordなど)に問い合わせてください(EU時間の平日営業時間内であれば即回答が可能とのこと)。
その他キー設定
LMUを遊ぶのに最低限必要と思われるキーアサインです。より詳細な設定についてはこちらをご参照ください。
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各種MFD操作
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画面左下に表示される各種情報窓をMFD(後述)と呼びます。ピットメニューなど様々な用途があるためキー設定は必須、タブの左右切替、メニューの上下移動、数値の増減で最低6個のボタン設定が必要です。
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Ignition / Starter
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スピンなどのエンジン停止時に必要となります。イグニッションが電装系全般のスイッチ、スターターでセルモーターを回します。
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Speed Limiter
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ピットロードで使用するスピードリミッターです。LMUでは速度違反ペナルティが厳しいのでご注意ください。
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Reset FFB
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セッション移行時など、稀にFFBが失われることがあります。その際、リセットFFBを設定しておくとコース上でFFBを回復させることができます。
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Headlights / Wipers / Clutch
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これらは本来はドライビングに欠かせない存在ですが、Gameplay設定でオートヘッドライト/ワイパー/クラッチを設定しておくと、自動的に動作するようになります。2ペダルの方はオートクラッチは必須、オートヘッドライトも点灯忘れによる失格防止におすすめです。
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Increase / Decrease FOV(Pitch)
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LMUでは視点が車種によって異なります。視点を調整したい場合、シート位置調整よりもFOV調整が効果的であると推奨されています。
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LMUの遊び方
さて、設定も大事ですがせっかくですし早速サーキットに行ってみましょう。
MENU
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RACE WEEKEND
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オフライン/シングルモードでAIとのレースが可能です。ピットインではレース状態を保存することもでき、1人でも長距離レースを楽しめます。AI車両を全てオフにすると1台だけのプライベートテストも可能です。
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ONLINE
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LMU公式オンラインレースが開催され、SR(セーフティランク)を上げることで出場レースを増やすことができます。プライベートサーバーの開催も可能で、筆者も国内のPlumサーバーさんにお邪魔しております。
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CO-OP
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自分の都合の良い時間に走って次のドライバーにバトンタッチし、チーム全員で完走を目指すモードです。ポジションアップやクリーンドライブによって得られるポイントを世界中のチームと競います。
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REPLAYS
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LMUではリプレイが全て保存されます(初期設定)。オフラインでは走行中でもインスタントリプレイが見られ、オンラインでもガレージ画面で再生可能です。
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SETTINGS
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各種設定ページです。
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RACE WEEKEND-シングルモード
1.シーズン選択
RaceWeekendを開くとシーズンの選択画面が開きます。シーズンごとに走る車両は異なりますが、後から変更することも可能です。
2.サーキット、車両選択
サーキットによってはWECでは使用されない追加レイアウトを選択することもできます。画面右側にあるCircuit layoutで走りたいレイアウトを選び、CONTINUEで車両選択に移ります。
*”CHAMPIONSHIP”ではそのシーズンに使用されたサーキットだけが表示され、”ALL”を選択するとLMUの全てのサーキットが選択できます。もしそのシーズンに使用されていないサーキットが選択された場合でも、コース上にはシーズン車両が再現されます。
車両選択ではクラス>メーカー>チーム/車両の順に選びます。右側にあるメニューではWECやLeMansなど、レースによって異なる車両スペックが選択できます。ルマン仕様とWEC仕様では、ダウンフォース、最高速度などに違いが発生することがあります。
3.レースの基本設定
この画面ではレースの設定を簡単に変更することが可能です。より細かい設定はADVANCED OPTIONSから変更可能です。
- SESSION SETTINGS
- プラクティスや予選を飛ばしてレースをしたい場合は、それぞれのボックスをクリックしてチェックマークを外してください。時間は左右の<>マークで変更可能です。
- STARTING GRID
- 選択したシーズン車両のみ、もしくはLMU収録全車をの出場を変更できます。
- 例えばGT3車両のみでレースをしたい場合は、HYやP2をグレーアウトさせることでグリッド上に登場しなくなります。
- その他
- Event Length:全セッションの合計時間。
- Rules:カット判定の厳しさ、Strictはかなり厳しく判定されます。
- Fuel Usage:燃費倍率、REALは現実と同じ早さで燃料を消費します。
- Tyre Wear:タイヤ摩耗倍率、燃料と同様に変更できます。
- Tyre Warmers:通常、WECではタイヤウォーマーは使用できず、冷えたタイヤではグリップを上げるまでに時間がかかります。この設定をONにすることでスタート/ピットアウト直後のタイヤ温度を上げることが可能です。
- Available tyres:WECではレースウィークにタイヤ本数制限ルールが適用されます。ここでは本数を変更できます。
4.ADVANCED OPTIONS
レース中の天候変化など、更に細かい設定はADVANCED OPTIONSから変更できます。
- Difficulty
- Opponent Difficulty:対戦するAIの強さを変更できます。100%以上は宇宙人レベルと言えるでしょう(と公式サイトに書いてあります)。
- Damage Simulation:接触時のダメージ%を変更できます。すぐに壊れてしまう時は低めに設定してみましょう。
- Tyre Wear:タイヤ摩耗のON/OFF、倍率の変更ができます。
- Tyre Warmers:タイヤウォーマーの使用可否を選択できます。
- Available tyres:タイヤ制限の本数を設定できます。
- Fuel Usage:燃費のON/OFF、倍率の変更ができます。
- Assists:Settings>Gameplayやセッション中に変更することも可能です。
- Sessions
- セッションのオン/オフを切替えます。
- セッション長さ(時間)を設定します。
- Start time:ゲーム内スタート時刻を設定します。
- Private Practice/Qualifying:”invisible”を選択すると、プラクティス/予選でAI車両表示をオフにすることが可能です。
- RealRoad:路面のラバーやウェット表示について設定します(詳細は後述)
- Weather
レース中の天候はセッション時間を5分割にして設定され、変化量やタイミングは設定範囲内でランダムになります。注:プリセットは現実の天候を再現しています。- 空模様
- 降水確率(雨を含む天候設定時のみ設定可能)
- 気温
- Advanced
- Time Scale:イベントの時間経過倍率を設定します。例えば倍率x10で2.4時間のレースを設定することで24時間レースを短時間に楽しむことも可能です。
- Flag Rules:fullがデフォルトですが、お好みでルール設定をオフにしたり、失格なしのフラッグルールありを選択することが可能です。
- Track Limits Rules:トラックリミットルールの適用方法を選択できます。
- Mechanical Failures:エンジンやブレーキなど、接触によらないダメージの進行度帯を変更できます。Time Scaledを選ぶと時間倍率に応じてダメージ蓄積も変化します。
- AI Aggression:AIの攻撃性を設定できます。高くすると頻繁にブロックラインを取り突っ込んできやすくなります。
- Track Limits Points allowed:トラックリミットポイントの許容値を変更できます。設定超過、もしくは一度に3ptを超えるとペナルティが課されます。
5.レースウィーク
右下の"START RACE WEEKEND"をクリックしサーキットの読み込みが完了したら、いよいよレースウィークがスタートします。
通常、LMUのレース進行は
- プラクティス
- 予選
- レース
の3段階で行われます。
各セッションの時間は設定によって異なりますが、全各セッションは車両がチェッカーを受けたらすぐに次へと移行します。レース前のトイレやドリンク補充は早めに済ませておいてください。
レーススタート手順
WECのスタートは全てローリングスタートで行われており、LMUでもスタート前の整列が既にレースの一部となります。しかし、LMUではその方法がちょっと独特で慣れるまでは少し難しいかもしれません。
ここでは公式オンラインレースで頻繁に採用される”ショートフォーメーションラップ”を題材に、LMUのスタート手順をご紹介します。
1:準備
ショートフォーメーションでは、最終コーナー付近のコース上に配置されます。車両は最終セクター付近の左右どちらかの列に並び、セッションが動き出したらグリーンフラッグまではこの関係性をキープしながら走行します。
- ルール
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路面が緑色にガイドされる部分に車両をキープしてください
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左右列を維持してください-ウィービングは禁止
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スムースなコントロールを行ってください-急激なブレーキ/アクセル操作は”erratic driving(不規則運転)”ペナルティの対象となります
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指示のない限りオーバーテイクは禁止です
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画面中央テキストには自車の状態が表示され、必要な場合にはスピードアップ/ダウン、ラインキープなどの指示が表示されます。画面上の文字が点滅し始めたらペナルティの可能性があることを示唆しています。点滅間隔が早くなるほどペナルティの可能性が高くなります。
2:スタート直前~スタート
隊列がスタートライン近くまで進行すると制限速度(60)が表示され、スタート進行の一番難しい場面へと移行します。
ここでは隊列を維持しながら速度を60kphに保つ必要があり、速度域を大きく外れるとペナルティが課されます。特に速度が速すぎる場合にペナルティの対象になりやすいのですが、サーキットによってはシケインでスタートすることもあり、そのような場所では速度キープも難しいのが実情です。
速度維持が難しい場合はスピードリミッターを使用すると効果的で、どうやっても60kph以下でしか走れなくなりますので速度超過ペナルティを回避しやすくなります。
グリーンシグナル/フラッグが表示されたらレーススタート、直後から追越しOKです。スタート直後はタイヤとブレーキが冷えて十分なグリップは得られません。1周目はこれを十分に意識し、できるだけ接触やスピンを避ける走りを心がけましょう。
クラス混走レースの走り方
LMUのレースはACOとLMEMの主催するFIA世界耐久選手権(及び関連シリーズ)に基づいて行われています。
LMUの車両クラス
各クラスは異なるペース、加速、コーナリング性能により、一つのイベントで様々なレース階層を構成します。
WECのレースには2024年よりHypercarとLMGT3がレースに参戦しています。2023年まではLMP2とGTE車両が参戦していました。
European Le Mans Series(ELMS)にはLMP2クラス(WECより高性能)、 LMP3、LMGT3が参戦しています。
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Hypercar
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ハイブリッドシステムやエアロダイナミクスなど、最先端技術が投入される最上位クラスです。
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LMP2
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ハイダウンフォースを誇るプロトタイプクラスです。近年のWECではルマンにのみ登場します。
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LMGT3
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国内レースでもお馴染みのGT車両が走ります。WECのGT3はECU調整などで他シリーズより少し遅めになっています。
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LMGTE
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2023年シーズンのGTクラスです。GT3よりも若干速くABSはありません。
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LMP3
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プロトタイプの入門クラス、LMUではELMSでのみ走行します。
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同じサーキット、同じ時間、別レース
- 各車両は同じコース、同じレース時間を共有しながらも、実際にはクラス毎に別々のレースを戦います。
- 各ドライバー/チームは総合順位にとらわれずクラス順位を競います。
- 様々なクラス/車種を楽しむのも一興、スキルや趣味で特定の車種に特化するのも一興、お好みの楽しみ方を見つけてください。
レース戦略
- 上位クラスと下位クラス:上位クラスは下位クラス車両を安全に追い越す義務があります。下位クラスは予測可能なラインを維持する義務があります。
- トラフィックマネジメント:レースの肝です。譲るべき時、プッシュする時を知ることで、時間を得ることも失うこともあります。
- ブルーフラッグ:青旗は勧告であり、義務ではありません*:上位クラスはクリーンな追い越しを行う責任を負います。
- *オンラインレースで青旗を譲らないと稀にぶつけて来る外人さんもいます。要注意です。
Hypercar(ハイパーカー)
Hypercar(ハイパーカー)クラスは耐久レースの頂点に立ち、WECでは高度なハイブリッド機能を持つ車両と非ハイブリッド車両が同じレースを戦います。
ハイパーカークラスには2種類の車両タイプがあります
- LMH
- 完全メーカー開発車両
- ハイブリッド、非ハイブリッドのどちらもデザイン可能
- 例:Toyota GR010 Hybrid, Ferrari 499P
- LMDh
- メーカー製パワートレインと認定サプライヤからの標準化シャシーを使用
- ハイブリッドシステム必須
- 例:Porsche 963, BMW M Hybrid V8
ハイブリッドマネジメント
- ハイブリッドシステムは燃費向上に使用されます、速度には全く関与しません。
- エネルギーは回生ブレーキによってバッテリーにチャージされ、これがエンジンを補助することにより燃費削減に繋がります。
- バッテリーがフルチャージ状態を保つことは避けるべきで、これによりブレーキによる回生が妨げられ、ブレーキパフォーマンスの低下とオーバーヒートを招きます。
- 燃費とブレーキ力を最大限に発揮するため、各ラップに渡りバランスよく戦略的にバッテリーを使用することが必要です。
バーチャルエネルギーについて
- バーチャルエネルギー(NRG)とは、1スティントに使用を許可されるエネルギー総量を指します-これはバッテリー(ハイブリッド)と燃料を組合せたものとなり、車種やサーキットによって様々です。
- NGRゲージが0を下回ると100秒間のストップ&ゴーペナルティが発生します。このペナルティは繰り返すと更に重くなります。
- 戦略的なハイブリッド展開とモニタリングを行い、許容エネルギー総量内に維持することが重要です。
- Fuel Ratioの調整を行えば、1スティントに搭載する燃料量とNRGの関係性を変えることができます。
※バーチャルエネルギーの詳しい解説はこちらの記事もご一読ください(製作中)
LMHとLMDh、ハイブリッドシステムの違い
- どちらの車両も統合最大出力は500kW/671bhpに制限されます。
- LMHハイブリッドは200kW以上を出力可能で、通常は特定の速度を超えるとフロント駆動MGUが機能し(一時的に)四輪駆動となります。
- 全てのLMH車両がハイブリッドシステムを使用するわけではありません(例:Aston Martin Valkyrieなど)
- LMDhではMGUスペックが50kWに制限され、リア駆動輪にのみ使用可能です。
- MGUはトータル出力を向上させるのではなく、エンジントルクを置換え、出力は671bhp以下に制限されます-これにより効率が向上するため1スティントの搭載燃料が少なくなります。
ハイブリッドセットアップ&ストラテジ
- 回生ブレーキ (“Regen Level”)
- regenを増加するとブレーキ中により多くのエネルギーを獲得し、ブレーキパフォーマンスとバッテリー充電の双方が向上します。
- ブレーキバイアスは回生を見据えたセットアップが必要です。
- バッテリー出力 (“Electric Motor Map”)
- マッピングを上げる=加速時のバッテリー使用量増加
よくある間違い
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バッテリーを100%にしない-回生が停止しブレーキ性能が低下します=タイヤロックの可能性が増えます
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ピットストップ前にバッテリーを0%にしない-特にLMDhにおいて、車両が動かなくなってしまいます(ピットレーンはバッテリーのみでの走行義務があるため)
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NRGリミットの遵守-重大ペナルティが課されます
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燃料を積みすぎない-過剰な燃料給油により回生エネルギー容量が得られず、重量が増加します
ドライビングのヒント
- ハイブリッドの展開タイミングを捉え、最適な燃費セーブを行ってください。
- タイヤ摩耗管理と燃費戦略を優先してください。
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トラフィックを予想し優れたストレースピードを効率的に活用してください。
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安定したブレーキ回生のため、バッテリー充電は常にパーシャルを維持してください。