ヒューマニエンス“口腔細菌”知られざる運命共同体 NHKBS 2/5放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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ヒューマニエンス 40億年のたくらみ
「“口腔細菌” 知られざる運命共同体」NHKBS 2/5放送

感想
今さら不勉強を反省している。虫歯菌と歯周病菌はゼンゼン別モノだった・・・
虫歯菌がツルツルの歯の表面に巣食うメカニズムとか、これは確かに「築城」ダ。

「ラクトバチルス ラムノーザス」そんな有難い乳酸菌があるなんて!そのヨーグルトはいつになったら売り出される??

と思ったら売っていた!


昨年10月にやる筈だった歯の掃除を、延々引き延ばしている。
3月になったら行こう。

内容
【司会】 織田裕二、藤井彩子
【ゲスト】宮本亞門(演出家)
【解説】 星野倫範 明海大学 教授
     影山伸哉 九州大学大学院 教授
     二川浩樹 広島大学大学院 教授

最近口腔ケアが注目されている(バランスが大事)
ゲストの宮本亞門は子供の頃虫歯だらけだったという。
口腔細菌は約800種類ある。歯垢1g当たり1000億個(ネズミ算式に増える)数時間で増殖。
口腔は人体の中ではかなり特殊な場所。様々な構造、環境変化。

見えない口腔細菌の世界
体に棲む最近の代表→腸内細菌。多くは嫌気性細菌。100兆個存在。それに負けないのが口腔細菌。酸素に強い菌が多い。
実験 歯と同じ材質の板の上に唾液をたらす。12時間後には口腔細菌が増殖。歯を磨いても簡単に増殖。ヒト細胞よりバクテリア(細菌)の方が多い。人体は複合共存体。
口腔細菌の定着のし方
赤ちゃんと母親の口腔細菌の違い。母親とは全く違う。
1歳半になるとかなり母親に近付く。
食べ物と共に、その人特有の口腔細菌叢が出来る(約200種)
それらが勢力争いをしている。(常在菌99%、悪玉菌1%)

悪玉菌の代表は虫歯菌と歯周病菌。2%に増えたら大事件。
常在菌もバランスが大事。
常在菌の代表→サルバリウス菌(抗菌能力に優れる)
だが増えすぎると虫歯、歯周病になり易くなる(肺炎リスクも)

最近では患者の口腔バランスを整えてから手術するケースあり。
常在菌のバランスは子供の頃に決まり、変化させ難い。
→それをいい方向に導く事で病気予防になる(新しい歯科治療)

 

韓国では歯周病要因となる喫煙率が高く、口腔ケア率が低いにも関わらず歯周病が日本人より少ない。因果関係は不明。
口腔の常在菌のバランスが崩れると歯を失う(5年後)

手術前の口腔ケアで効果が実感されている。


常在菌の内容は遺伝では決まらない→母子伝播
子供の頃に甘いものを多く摂取するのは良くない。
アルコールはさほど影響ない(糖質には注意)

成長と共に変わる口腔細菌叢を4ケ月、1歳半と調べた。

次第に母親寄りに変化する。
次は3歳(解析中)細菌叢固定時期等調べたい。

虫歯菌の進化
昔は歯の中に悪魔がいると表現された。

虫歯菌が見つかったのは20世紀になってから(ミュータンス菌)
口腔細菌の中でも変わり者→歯の表面に棲息する。
歯の上に家を作り集団で暮らす。エナメル質の上に石垣を作る。

まずミュータンス菌の代謝物であるグルカンで土台を作る(粘着性)死ぬと石垣になる。その上に城を築く。
ミュータンス菌の出す酸で歯が溶ける(これが虫歯)


ミュータンス菌はどんな糖でも代謝する。
人類の食料は、1万年前の農耕以来糖質が多くなった。
→糖質がグルカンの材料。


ミュータンス菌に10種の糖質を与える実験。9/10を利用可能。
他の口腔細菌は1~2種どまり。

だが虫歯になって歯が抜けると棲家を失う・・・

城(歯垢)は歯ブラシレベルで取れるが、酸を出した後の土台は取れない(進行する)神経まで行ったらその治療・抜歯が必要。
グルカンはグルコース(ブドウ糖の重合体)分解するとすぐブドウ糖になる→ミュータンス菌のエサ(実はお菓子の家)

ネズミ、サル等にもミュータンス菌は存在するが、砂糖を食べていないので虫歯にはならない。
人類の虫歯の歴史→ネアンデルタール人から。
化石の遺伝子抽出によれば5万年前から存在。
4.8万年前にミュータンス菌に遺伝子変異あり
GTF遺伝子(グルカンを作り出す)→人類の虫歯を加速。

虫歯菌の対抗馬 そして新たなる脅威
ミュータンス菌の対抗馬→ジンジバリス菌


ミュータンス菌→酸を出して口腔を酸性にする(酸に強い)
ジンジバリス菌は酸に弱く歯茎の中に棲息→たんぱく質を食べて口腔をアルカリ性に保つ。両者は犬猿の仲

だがジンジバリス菌の正体は歯周病の原因菌。
野生動物には虫歯はないが、歯周病には悩まされている。

歯周病菌が体内に入ると様々な病気を引き起こす(大悪党)

人類は敢えて虫歯になる事で歯周病菌を防いだ?
たまたまミュータンス菌を手に入れた人類が生き残った?
ミュータンス菌はバクテリオシン(抗生物質)を出して特定の菌の増殖を抑制→外来からの危険な菌を防いでいる。

口腔細菌叢→共生細菌叢と呼ばれている(ヒトとの共生)
ヒトにも有益な何かがあるかも知れない。

閑話休題
口腔pHとの関係 酸性領域→歯垢 アルカリ性領域→歯石

口腔細菌と人類史 現代はミュータンス菌の大繁殖


口腔細菌の救世主
縄文人の歯並びは美しいが江戸人はガタガタ。


ヒトの入れ歯の歴史は古い(インプラントまであった)

江戸時代の義歯


入れ歯には要注意。カンジダ真菌の繁殖→肺炎等生死に関わる。

ある粉が人類の悩みを解決する?
虫歯菌、歯周病菌を抑える乳酸菌の発見。
ラクトバチルス ラムノーザス」ヒトの口腔内で発見された。


きっかけは精神科病院での定期歯科検診。
多くの患者は自分で歯が磨けず歯がボロボロの人が多い。
そんな中、虫歯も歯周病もない患者が見つかった。
→その人たちだけが持つ乳酸菌を発見。
虫歯菌・歯周病菌とも90%以上の抑制効果


全身の健康を促進させる乳酸菌もあるかも知れない。

ラクトバチルス ラムノーザスのデメリットは今のところない。
織田が食べる(独特の発酵臭)宮本は「酸味のあるきなこ」
大元はヨーグルト。健康で2週間放置しても虫歯の出来ない子の唾液から培養した乳酸菌。
メカニズム:この菌が出す代謝物が、各菌の細胞膜に穴を明けたり壊したりする。
ヒト試験でヨーグルトを毎日2週間摂取したらミュータンス菌は8割、ジンジバリス菌は9割減った。
いかに口の中に定着出来るかが課題。
他にもこうした菌が出て来る可能性はある。

口腔は合コン会場
人が生きて来た証が口の中に残る。
アムステルダムにある「微生物博物館 マイクロピア」
各種微生物の展示。
口腔細菌叢を変化させる方法→キス
1週間の親密なキスの回数と細菌叢の関係を調べた。
キス回数が多いほど類似性が高い(もらい、与える)

(相手の)細菌と出会うことは、免疫システムの訓練になる。
コミュニケーションにはいいこと。

但し悪いものをもらうリスクもある。
人を選んでキスする事も大切・・・

歯周病菌でアルツハイマー病が悪化する。
モデルマウスでラムノーザスの水溶液を飲ませると、それが改善するデータが出た。