NHKスペシャル 南海トラフ巨大地震 第2部 "最悪のシナリオ”にどう備えるか 3/5放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

ドラマ編

南海トラフ巨大地震 第1部

 

感想
ドラマ編でも言ったが、今回強調されているのは「半割れ」
過去の東南海地震でも半分がやられた後、呼応するかの様に残りの半分で地震が起きる場合があったという。
最初の地震で地盤が移動し、それに引きずられる様に発生するのだろう。ただ今回は発生メカニズムよりも、起きた後の対処という面に力点が置かれている(それなりに評価)
また「臨時情報巨大地震警戒」が出されると、地元対応のために、最初の被災地支援に支障が出るという。この辺りは国力の問題もあり、なかなか難しいところか。
苦言
今回、東日本であれだけ痛い目に遭った「原発事故関係」の事には全く触れていない。あの時には想定以上の津波により重要施設が水没して電源喪失。まさかのメルトダウンまで発生。
その後始末が12年経っても延々と続いている。
せめて日本全国の、原発の対策状況を報告するとか、その程度は最低限言うべきだろう。標題の「最悪のシナリオ」が泣くゾ。

電気事業連合会による資料 これの各原発での星取り表が欲しい

だから解説の名大教授が「我が家の電源は4系統」と自画自賛するノー天気さに余計腹が立つ・・・

オマケ(ドラマの後日談について)
バネ屋のオヤジがどうして缶詰工場のコンサルタントになれる?
それに、身売りしようとしていた相手企業が再建に協力してくれるって、フツーはないわな・・・・

内容
第2部 "最悪のシナリオ”にどう備えるか 

3/5放送

進行 高瀬耕造、林田理沙
解説 福和伸夫(名古屋大学名誉教授:ドラマを監修)
スタジオゲスト 松尾諭、仁村沙和


ドラマの振り返り
高知を中心にした西日本で発生(西の半割れ)

高層ビルの超低周期地震。家屋全壊62万1千棟。

液状化被害8万4千棟。焼失25万棟。死者最大10万2千人。
半割れのケースでは、残った部分が連動して発生する可能性。
ドラマではその後、東の半割れが発生。M8.6。死者8万4千人。
度重なる地震で、建物にダメージを与える(超高層ビル)
鉄骨25階、高さ100mの例。
西の半割れで鉄骨が変形し、対策なして次の地震を受けると下部で鉄骨がちぎれる現象が起きる。

次の地震を受けた時


1.M8クラス 連続する"激震"
松尾は19歳の時、西宮で被災(阪神・淡路大震災)
阪神・淡路大震災(1995年)は直下型。南海トラフは東日本大震災の要素も併せ持つ(強くて長い)
東京の超高層ビルはすごく揺れるだろう。エレベーターでは、速報出たら最寄り階を押す。
①家の耐震化が重要(失うと基盤がなくなる)
②家具のない部屋を作る。

東京の公団住宅では、耐震のための家具補強は退去時の現状復帰不要。
ドラマでは短期の西の半割れの後、東の半割れが発生。
(南海トラフの)一回前は昭和。
東南海地震(1944)2年後→南海地震(1946)東が先
その前(幕末)
東海地震(1854)32時間後→南海地震(1854)

2.数分で到達 大都市を襲う大津波
国の想定では死者の7割が津波によるもの。早くて3分で到達。
高知黒潮町で最大26m。ドラマでは津波避難タワーに逃れた。

大都市を襲う津波。大阪の夕方浸水域人口145万人。
うち市外の者3割。梅田駅周辺では各店に誘導旗設置。店員が率先して避難者を誘導する。全国ハザードマップで確認可。
三陸の教訓「津波てんでんこ」無事を信じてめいめいで逃げる。

視聴者質問:地震が富士山の噴火を誘発するか?

宝永地震(1707)では49日後に富士山が噴火。
安政(1854)と昭和(1944)では噴火せず(噴火する事もある)
地震は太平洋側だけで起きている。
大地震の前後には日本海側でも発生。


3.臨時情報巨大地震警戒 孤立する被災地
当該警戒を出すのは南海トラフ沿いでM8.0以上発生時。
対象は29都府県 約6,000万人。高リスク地は1週間避難。
これが出る事で、最初の被災地への支援が遅れる。
救援する側が被災地に向かえない事情
緊急消防援助隊→南海トラフ沿いの10県の部隊はその地域の活動に特化し、県外への支援が出来ない(次の地震に備える)
それ以外でも後発地震による被害を考慮すると課題が大きい。
72時間以内に到着出来る部隊は全体の45%

救援が来なくても対応出来る体制整備が必要。
被災後に亡くなる震災関連死→東日本で3,789人。
南海トラフでの想定は7万6,300人。

段ボールベッドを松尾が確認する。イザという時組み立てる。

「フェーズフリー」の考え方(防災の日常化)
普段使いのものが防災品にもなる(ローリングストック)

自宅では4系統の電源を運用している(福和) 
太陽光発電、蓄電池、燃料電池、プラグインハイブリッド車

フェーズフリー思想は企業でも対応が進む。災害関連死をどう防ぐか。災害国 日本でしか生まれない事かも知れない。

4.国難級の災害 経済崩壊のリスク
企業生産額の推移
西の半割れだけなら早期回復出来るが、東の半割れが加わると長期に影響が残る。

サプライチェーンに注目。

全国100万の企業情報と500万の取引データから全体像をPC上に構築。震災における企業が受ける影響をスパコン「富岳」で計算。
西の半割れの場合、20日間で影響が北海道まで拡大。
東日本大震災の時より深刻。

ネジ1本なくても製品完成せず。連鎖的な破綻(ドミノ倒し)
西の半割れの半年後に東の半割れが起きた場合、生産額は半分まで落ち込み、1年経っても元の水準に戻らない。
年間GDPの減少は134兆円(東日本大震災の10倍)

 

企業の対策。災害時に供給を止めない方策。被災時に互いの設備を融通し合う。遠隔地に対しても働きかける。
代替先を増やした場合のシミュレーション。GDP減少は1/4に。

この効果は経済全体でのレジリエンス(回復力)に寄与。
 

もう一つ課題がある。昨年愛知の明治用水で漏水事故があり、農業だけでなく発電、自動車産業にまで影響が及んだ。
インフラ、ライフラインの老朽化等に対する目配り。
まとめ(感想)を・・・・
仁村:正しく「怖がる」のが大切。
松尾:覚悟をもって臨む(楽しみを防災に組み込む)

ドラマの後日談
3年後。妻の墓に参る誠一郎と孫の巧海(中学生)
「高知しおなみ缶詰工場 開所式」の準備中。
緊張している貴彦。開所の挨拶をする貴彦。

缶詰工場のコンサルタントに就任した。

有事の際の非常食にもなる缶詰事業の意義。
実は受け継いだバネ工場を売却しようとしていた。その矢先の震災。買収相手だった会社が、再建に協力してくれた。
起こった事を忘れず、歴史に刻んで行く。皆で共に進みましょう!