ペリカン文書   1994年 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

監督・脚本   アラン・J・パクラ

 

キャスト
ダービー・ショウ                  ジュリア・ロバーツ
グレイ・グランサム記者           デンゼル・ワシントン
トーマス・キャラハン教授          サム・シェパード
ギャヴィン・ヴァーヒークFBI顧問     ジョン・ハード
スミス・キーン編集長             ジョン・リスゴー
フレッチャー・コール大統領補佐官  トニー・ゴールドウィン
アメリカ大統領                  ロバート・カルプ
デントン・ヴォイルズFBI長官        ジェームズ・B・シッキング
ボブ・グミンスキーCIA長官        ウィリアム・アザートン
ローゼンバーグ裁判官                  ヒューム・クローニン

 

 

予告編 久しぶりに淀川長治の名調子で

 

感想
いわゆる社会派ジャンル。

今まで「ペリカン文書」というあまり興味を惹きそうにない題名のために、延々とスルーして来たが、たまたま録画してあったものを視聴。

この監督、先日レビューした「推定無罪」も撮っている。

 

最高裁判事が二人殺害された事に端を発して、事件の推理をした女学生のレポートが新たな殺人の火種になる。
テンポも良く、敏腕記者グランサムとの絡みもなかなか好感が持てた。最後の畳みかけの「大団円」的フンイキは、まあちょっとぬるい感じはするが、なにより視聴後の安心感が貴重。

 

つっこみどころと言えば、そもそも裁判を有利にするために判事を二人も殺すという事自体が狂っている。
それを揉み消すためにFBI内部で巨悪が動いている、という図式かとも思ったが、実行犯はマティース側。
そうなるとFBIは、大統領から捜査中止を指示された上に、いろんな追及も後手に回り、いいとこなし。
その中でダービーの暗殺だけ奇跡的に阻止した事になり、中途半端で違和感ありあり。
もう少し脚本練ると、もっと良くなるんだけど・・・・なぁ

 

あと、恩師と肉体関係にあったダービーに、あまり感情移入出来ないという前提があった。やっぱヒロインだからねぇ・・・
しかしキャラハンなんて姓は、ハリー以外に使ってはならない・・・

 

 


あらすじ
ワシントンD.Cで最高裁判事のローゼンバーグとジェンセンが殺害される事件が起きた。
テューレーン大学の教授トーマス・キャラハンは、ローゼンバーグの下で事務官をしていた。
キャラハンの生徒で、かつ恋人でもあるダービーが、判事殺害事件の動機に関してある仮説を立て、それをキャラハンにレポートとして提出した。

 

ローゼンバーグの葬儀に出席したキャラハンは、そこで同窓であるFBI法律顧問のヴァーヒークに再会し、ダービーのレボートを「良く出来た仮説」として手渡す。

そのレポートは更にFBI長官のヴォイルズの手に渡る。

 

一方ヴォイルズは、判事殺害に関して大統領補佐官のコールから非難を受けており、その腹いせに先のレポートをコールに見せ、この文書を参考にして捜査を開始すると宣告。

そのレポートは「ペリカン文書」と呼ばれた。

 

文書の事を大統領に相談するコール。

大統領自身にはやましい所はないが、次期大統領選への影響を考慮して、この捜査を進めないよう指示。

それから数日後、キャラハンはダービーとの夕食の後、彼女と別れて車に乗り込んだが、エンジンをかけた直後に爆発し即死。
病院に送られたダービーだが、身の危険を感じて逃げ出す。

 

キャラハンがヴァーヒークにレポートを渡した事を聞いていたダービーは、彼にキャラハンが死んだ事を伝える。

ヴァーヒークは彼女を保護しようと動き出す。

 

ワシントン・ヘラルド紙の敏腕記者グレイ・グランサムは「ガルシア」と名乗る男から、判事殺害事件に関する情報を持っているとのタレ込みを受けた。そんな折りにダービーからの電話を受けるが「ペリカン文書」の存在は知らなかった。

 

ダービーはヴァンヒークと連絡を取り、翌日に会う約束を取り付けるが、ヴァンヒークはその晩、判事暗殺の実行犯に殺される。

その男は部屋に仕込んだ盗聴器で、ダービーとの待ち合わせ時の目印を知る。

暗殺犯をヴァーヒークと思い込んで落ち合うダービー。だが男が人混みに紛れてダービーを射殺しようとした瞬間、男は狙撃されて死ぬ。

そこを逃げ出すダービー。

 

何とかグランサムとの接触を果たすダービーは、そこでペリカン文書の全容を語る。

ルイジアナ州の実業家であるマティースは、大統領に多額の献金を行っている。石油採掘のために環境保護地区の開発を強行し、保護団体と係争になっていた。

そこには絶滅寸前のルイジアナ・ブラウン・ペリカンが生息しており、それを理由に争ったが、一審ではマティースが勝訴。

だが保護団体が上訴する事になっており、そんな折り、環境保護に熱心だったローゼンバーグとジェンセン両判事が殺された、というのがペリカン文書の骨子であり、マティースが黒幕であるとされていた。

 

グランサムは、この情報を公表するためダービーに協力を求めるが、断るダービー。国外に脱出すると言う。

グランサムはキーン編集長に本件取材続行を申し出るが、証拠不足で同意されない。

 

隠れ家の山荘で記事をまとめるグランサムの下にダービーが現れる。ホテルにも危険が迫っていた。
二人は、マティース弁護を引き受けていた法律事務所に出入りしていた学生に、聞き込みを行った。
「ガルシア」がホワイト&ブレーズウィッチ法律事務所のカーティス・モーガンだと突き止めたが、彼は既に殺害されていた。

二人はモーガンの妻から貸金庫の鍵を渡される。貸金庫の中にはモーガンが証言したビデオテープと証拠のメモがあった。

 

キーン編集長らを交え、証拠品を確認した後、グランサムは記事の公表に向けて動き出す。

 

そんな時、ヴォイルズが情報を聞きつけて協力を申し出た。
ダービーは国外への脱出を申し入れ、FBI長官専用機が用意された。ダービーは出発してから行先を告げると言って飛行機に乗り込んだ。

 

後日、グランサムとダービー連名の記事によってペリカン文書が明らかになる。マティースは起訴され、コールは補佐官を辞任、大統領も再選は絶望的となった。

 

その後TV番組に出演したグランサムは、ダービーの存在について、本当は存在しないので

はないか?との問いに笑って「ほぼ、その通り」。
そのやりとりをTVで観てほほ笑むダービー。