ブレードランナー(ファイナル・カット) 2007年(1982年) | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

本作品については以前にもレビューしているが(オリジナルは1982年公開)、今年公開の「ブレードランナー2049」に向けて再視聴。

今回は字幕のセリフを重点的に。

なおこの映画のメイキングをまとめたものがめっぽう面白い。

デンジャラス・デイズ/メイキング・オブ・ブレードランナー

 

監督 リドリー・スコット
音楽 ヴァンゲリス

 

キャスト
リック・デッカード       ハリソン・フォード
ロイ・バッティ         ルトガー・ハウアー
レイチェル           ショーン・ヤング
ガフ                エドワード・ジェームズ・オルモス
H・ブライアント        M・エメット・ウォルシュ
プリス                        ダリル・ハンナ
J・F・セバスチャン        ウィリアム・サンダーソン
リオン                          ブライオン・ジェームズ
エルドン・タイレル        ジョー・ターケル
ゾーラ                         ジョアンナ・キャシディ
ハンニバル・チュウ       ジェームズ・ホン
ホールデン                  モーガン・ポール
スシバーの店主           ロバート・オカザキ

 

 

予告編

 

超あらすじVer.+エンディング(エンディングは通常Ver.)

 

感想
本作が初めて公開された時は、えらいものを観てしまったなー、という印象。特にヴァンゲリスの音楽に圧倒された。ヴァンゲリスはこの前年に「炎のランナー」でFM番組でもその映画音楽がガンガン流されていたが、同じ”ランナー”でもずいぶん趣きが異なる。

 

Soundtrack

 

スピナー(飛行する乗り物)からの航空映像と音楽がマッチして、一種独特の浮遊感があり、これはやはり大スクリーンで追体験したいところ。

 

世界観としては、環境破壊によって地球が住みづらくなり、多くは宇宙に進出。地表は酸性雨に晒される劣悪な環境の中、貧富の差が激しい。セバスチャンの様な病気を持った者も宇宙に行けない。
そうした中、宇宙開拓のために開発されたのがレプリカント。

 

オリジナルでは、ラストでデッカードとレイチェルが逃げ延び「彼女には4年の寿命が設定されていない」的なナレーションが付いてハッピーエンドを思わせるが、ファイナルカットでは部屋を出るところでスパっと切れている。
またユニコーンの夢をデッカードが見る場面が追加されており、エンディングでガフが作ったユニコーンと絡めて、デッカードだけの記憶である筈のユニコーンをガフが知っていた→デッカードもレプリカントではないか?との謎を加えている。

 

ただ「ブレードランナー2049」でのデッカードは、キッチリ30年分歳を食っており、老化の再現まではせんだろう、という事で、ハリソン・フォードを再出馬させた時点でこのアイデアはボツ。


次の段階では「ブレードランナー2049」の事前情報集めか。楽しいような、辛いような・・・・・

 

あらすじ
冒頭テロップ
21世紀始め。タイレル社はロボット開発を”ネクサス段階”へと進めた。彼らは人間そっくりで”レプリカント”と呼ばれた。ネクサス6型は体力、敏しょう性に優れ、知能も彼らを作った遺伝子技術者に匹敵した。レプリカントは宇宙での奴隷労働や、植民地建設に使われていたが、反乱を起こしたため、地球上での存在は非合法とされ、死刑が宣告された。
そして特別捜査班ブレードランナーには、発見したら殺せとの命令が下った。それは処刑ではなく、解任と呼ばれた。

 

2019年のロサンゼルス。取調室でレオン・コワルスキーが聴取を受けていた。職業は廃棄物処理技術者。取調官が質問を始める。レオンの前には瞳孔の動きを調べる装置が。
たわいもない質問が続く中、トータス(tortoise)の話題が出る。聞き返すレオン。カメ(turtle)の事だという返しに「見たことはないが」と続けるレオン。そこでまず疑いを持った取調官は質問を続ける。母親の話などして少し感情的にさせると、男の態度がだんだんおかしくなり、突然机の下から銃を撃つ。飛ばされる取調官。

 

 

宇宙植民地があなたを待っている。チャンスと冒険に満ちた夢の世界へ出かけよう(移動広告のメッセージ)。
雨の市街、日本食の屋台で食事をしようとしているデッカード。二人の男に尋問される(警官と私服)。店主の話だとデッカードを逮捕するという。人違いだと返すと、私服の男はブライアント署長の名を出した。

 

 

エアカーに乗り込む三人、そして離陸。署でブライアントから状況を聞くデッカード。レプリカントが4匹街に入り込んだという。私服はガフ(ブライアントの部下)
シャトルを奪って乗客全員を殺した。やっかいだと言うデッカードに、お前が殺すから地球に来たことはバレないさ、とブライアント。もう引退したと言うデッカードに「辞めれば、ただの人だ」。

 

レオンの尋問映像を確認するデッカード。その間にブライアントが事件を説明。2週間前に男女3体づつのレプリカントがシャトルを奪って23人を殺した。
3日前にタイレル社に侵入し、2匹が感電死。残りは行方不明。
社員全員に「ヴォイド・カンプフ」テストを実施。それで見つけたのがレオン。核兵器の運搬作業に従事していた。殺すしかない。
「なぜ危険を冒してまで地球へ戻った?」との問いに「それを探るんだ」。

 

他に逃げた者のリスト。ロイ・バッディ。完全自立型戦闘ロボット。ゾーラ(女)、プリス(女)。製造後数年で感情を示すという。憎悪、恐怖等への対応で、安全対策として4年の寿命を設定した。
タイレル社にも1匹紛れ込んでいるから、テストで暴いてくれ、とブライアント。

 

調べのためタイレル社に向かうデッカード。そこで「テストを見たい」と言うタイレル社長に請われるまま、秘書のレイチェルに対して「ヴォイド・カンプフ」テストを行う。
ごく一般的な会話の中にキーワードを埋めて行く。かなり会話が進んだところで最後に、劇の一幕の質問。宴会の場面で前菜に生ガキが出た後、主菜で犬が出た。虹彩の反応はなく、レイチェルは沈黙。タイレルはレイチェルを下がらせた。
レイチェルをレプリカントだと見破ったデッカードを高く評価するタイレル。彼女には自分がレプリカントだとは教えていなかった。

 

ガフに送られてレオンの居たホテルに行くデッカード。浴槽で鱗のようなものを見つける。暇つぶしにどこでも折り紙を作るガフ。その後引き出しから数枚の写真を見つけたデッカード。
バッディとレオンの会話。写真を取りに行こうとしたが、人が居て出来なかったと言う。

 

レプリカントの目を作っている職人。そこに現れるバッディとレオン。寿命、製造年月日等を聞くが、職人は知らない。タイレル社長が知っていると言った。だが彼には簡単には会えない。J・Fセバスチャンなら会える、と職人。

 

自宅に帰ったデッカード。そのエレベータで待っていたレイチェル。
私はレプリカントね、と言うレイチェル。母と自分が写った写真を出す。レイチェルの子供の頃のエピソードを話し始めるデッカード。それらはタイレルの姪の記憶だと宣告する。
だがショックを受けたレイチェルに、悪い冗談だと訂正し、酒を作りにキッチンへ。戻った時にレイチェルは居なかった。

 

夜の街を歩く女。ゴミ捨て場で横になり仮眠。そこへ気弱そうな男が来て女を見つける。女は逃げ出すが、男に声を掛けられて戻る。名前を聞かれて「プリス」と答える。男はJ・Fセバスチャンと名乗り、迷子だと言う女を自宅まで連れて行く。
家にはロボットがたくさんおり、皆セバセバスチャンが作ったもの。

 

うたた寝をして、ユニコーンの夢を見ていたデッカード。我に返ってレオンの部屋から持って来た写真の一枚を分析にかける。数度の拡大を繰り返して、手配の一人の女(ゾーラ)の顔を抽出した。

 

鱗を街の業者に見せるデッカード。多分作り物だという。顕微鏡映像で9906947-XB71という製造番号が現れる。蛇の鱗らしい。
作ったと言われるアブドゥル・ハサンを訪ね、人工蛇の売り先、チャイナタウンのタフィ・ルイスを聞き出す。タフィに蛇の場所を聞くがはぐらかされる。デッカードはレイチェルにTV電話を掛けて、出てこないかと誘うが、断られる。

店内アナウンスで「ミス・サロメのスネーク・ショーです」とのアナウンス。楽屋前で踊り子のチェックをするデッカード。一人の女に声をかける。芸能人組合の者だと言って彼女の控室まで入り込む。
虐待されていないか、とか様々な質問をするが、怪しんだ女はシャワー室で身支度をした上でそこを逃げ出した。追うデッカード。
何度もまかれそうになるが、ショーウィンドウの前で射殺。ガラスの飛び散る中で息絶える女。その始終を見ていたレオン。

 

デッカードの前に現れるガフ。ブライアントが同行していた。レイチェルが、自分をレプリカントだと知って姿を消したという。彼女も始末しろとの指令。
ガフらと別れた後、レオンに捕まるデッカード。わき道に引きずり込まれ殴られる。銃も吹き飛ばされた。「死の恐怖がわかるか?」と強烈な暴行。
とどめを刺される寸前、銃声と共に、レオンの額に穴があく。レイチェルがデッカードの銃で撃った。

 

レイチェルを部屋まで連れて来るデッカード。私が逃げたら追って来る?と聞くレイチェルに、いいや、借りがある、と返す。そして「でも誰かが追う」と。
自分の生年月日や寿命の記録を見たかを聞くレイチェル。見ていないとデッカード。
あのテストを自分で受けたことは?それには答えない。
部屋のピアノを弾くレイチェル。これもタイレルの姪の記憶かも知れないと言うレイチェルに「上手だった」と言ってキスしようとするが、彼女は急に部屋を出ようとする。
その行く手を阻み、強引にキスする。そして「キスしてと言え」と。「キスして」「離さないで」と言うレイチェル。

 

セバスチャンの家。顔をメイキングして遊ぶプリス。そこに向かうバッディ。セバスチャンは老けた外見だが25歳。「長命症候群」であり地球外には行けない。リンパ腺が急激に老化する。
バッディが部屋に来てセバスチャンに、タイレル社長に会えるよう頼む。

 

タイレル社のエレベータに乗っているセバスチャンとバッディ。セバスチャンの深夜面会に訝るタイレルだが、対戦中のチェスの手を言われて熱くなり、上がって良いとの指示を出す。
部屋に入ったセバスチャンのすぐ後ろのバッディを見て状況を知り「やけに遅かったな」。

長生きしたいと言うバッディに、それは私の管轄外だと逃げるタイレル。有機体のシステムを変えれば命取り。コード配列は変えられない。外部から干渉を受けた細胞は、ネズミが沈没寸前の船から逃げ出すようにパニックを起こして命を絶つ。
EMS組み換えは?EMSは毒性のある化学薬品で、有害なウイルスを作り出し、被験者は即死した。
細胞活動を抑えるたんぱく質は? やはり細胞複製の際に突然変異を誘発する。変異したDNAはウイルスを作り出す。

明るい炎は早く燃え尽きる。君は輝かしく生きて来た。君はすばらしい。
大いに楽しめ、というタイレルにバッディは「生物工学の神が呼んでいるぞ」と言って、彼の頭を両手で挟み、口づけをしてから押し潰した。

 

車でタイレルの死亡を聞くデッカード。同じく死亡していたJ・Fセバスチャンのアパートに向かった。
部屋に入るデッカード。プリスは人形に化けている。彼女の目の前に立ち、調べようとするところで蹴り倒される。バク転を繰り返し、デッカードの首にまたがるプリスは、その首を力づくでひねる。たまらず倒れるデッカードに向かってバク転で迫るプリス。銃で腹を撃つと、その場でバタバタとケイレンを起こす。続けて二度発砲し、ようやく絶命するプリス。

 

そこに駆け付けたバッディ。迎え撃つデッカードに「無防備の相手を撃つのか」と非難。
壁越しに腕を引きずり込まれ、右手の指を数本折られる。その後、手は放されるが利き腕でないため銃を撃っても当たらず、弾がなくなりデッカードは逃げ回る。
追うバッディにも寿命が近づくにつれての副作用が出始め、痛みで抑えるために手の平に釘を突き刺す。
なお逃げるデッカードは雨の降る屋上まで追い詰められた。

 

向かいのビルに飛び移ったが、足りずに鉄骨にしがみつく。バッディは楽々向かいのビルに飛び移り、デッカードを見下ろす。「怯えて生きる気分はどうだ」「それが奴隷の一生だ」握力が落ちて来て、もう支えきれない。
デッカードが落ちる寸前、バッディがその手を掴んだ。そしてデッカードを屋上へ。
へたり込むデッカードの前に座るバッディ。

俺は、貴様ら人間が想像も出来ないものを見て来た。オリオン座の近くで炎に包まれた戦艦、タンホイザー・ゲート近くで輝くCビーム。それらの瞬間もすべて失われる。時が来れば、それは涙のように雨に洗われる。

 

死ぬ時間だ。

そしてバッディは動かなくなる。彼の手から白い鳩が飛び立った。
警察からの応援。ガフが「やりましたね、これで片付いた」。そして「彼女も短い命、でも誰もが死ぬ」と。

 

自分の部屋に戻ったデッカード。眠るレイチェルを見つける。
「愛してるか」    「愛してるわ」
「信じてるか」    「信じてる」
そして身支度をさせてから、警戒しながら外へ。そこで床に落ちているものを拾い上げる。ユニコーンの折り紙。ガフの「彼女も短い命、でも誰もが死ぬ」との言葉を思い出す。
何度も頷きながらその折り紙を握り潰し、エレベータに向かうデッカード。