三菱自動車不正に思う | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

自分もかつて製造業に携わっていた関係上、今回の事は本当に残念。

 

連日報道されている三菱自動車(以下自工と省略)の燃費偽装。今回判った事は、燃費計測(排ガス含む)は台上のスタティックな状態でドラムを回す事により計測し、市場走行時に発生するころがり抵抗と空気抵抗の値はメーカより提出されるものを使用していたという。国の定めた検査方式の穴を突いたものだが、この性善説を破ったのが自工だけ、というのが象徴的。

 

カタログ燃費と実力燃費に差がある事ぐらいは世間一般の常識だが、そんな中でもカタログ×0.8掛けとか、ある程度比例関係にある筈。カー専門誌辺りでは既に自工の車について実力値とカタログ値の乖離が問題にされていたという。

 

自工も当然自動車の製造業だから ISO/TS 16949(自動車産業向け品質マネジメントシステム)の認証を取っている筈だが、この認証を維持する過程で、自分らの不正について思いを巡らすという事がなかったのだろうか。本当に不正を知らなかったという事???
自工は、この偽装は100%子会社の「三菱自動車エンジニアリング(MAE)」が行ったと言っているが、先のTS認証は製造メーカが受けるものであり、自動車の重要な品質に関わる部分をコントロールしていない点について、徹底した検証が必要。その上で認証はく奪が妥当だろう。
製造業として死んでいる。

 

また、日産自動車が出資して自工を傘下に入れるとの事だが、これも視野に入れて「デイズの燃費オカシイですよ」と言ったのだとしたら、こちらも食えん会社。この不祥事で自工の株価は800→500円と4割も下げて、企業価値が落ちている。出資額も、落ちた価値を基準にして決めているわけだから、日産としては安く買い叩けた事になる。

ただ、現状の三菱グループの懐事情ではとても支援の話がなかったところへ、この日産の話は彼らにとっても有り難い事だったろう。
日産としても、この信頼の毀損がどれぐらい広がるかが読めない時点での支援決定は、勇気があるなーという印象。カルロス・ゴーン社長がNHKと報道ステーションのインタビューに答えているのを両方とも見たが、これを見る限り素晴らしい経営者。

 

しかし、自工の益子会長、従業員の知らないところで日産の出資話にホイホイ乗ったのもどうかと思う。大部分の社員はマジメに自社の車を作って来た人たち。せめて決心する前に組合への説明を入れるべきだった。

 

ただ、自工の車は好きだった。まあ、中古車市場で安く買えるというのが最大の理由だったが。
最初はニューギャラン。同じニューギャランで乗り換え、次がシグマエテルナ。シグマターボ→シグマエクシード。そしてギャランヴィエントまで来た時に自工のリコール隠しが発覚。
中古車といえども、やっぱりリコール隠しは許せなくて、トヨタのbBに乗り換え。そして昨年、また同じbBの新型に乗り換えて現在まで。

 

そういえば2000年/9月の「東海豪雨」の時、帰り道で水深30cm超えの道路を脱出した時、トヨタ、ホンダがエンストしているのを横目に水陸両用車の如く波を立てて走破した車は「ヴィエント」だった。車としての基本はしっかりしたクルマ。

 

膿を今度こそ全部出して ガンバレ!!


 

5/13新聞情報による追記
やはりと言うか、不正を指示したのは自工本社の人間だった。情報か確実に把握出来ていない状態で「子会社がやった」などと言って更に傷口を深くする。

この会社の管理職はどこまで性根が腐っているのか、ゾッとする。

 

三菱と言えば、重工に代表される「ガスタービン」「蒸気タービン」「宇宙ロケット」また納期遅れで苦戦はしているものの「MRJ」などいずれも業界でトップクラスの信頼を得ている。「三菱」は信頼の証しである筈。

 

自工一社でその信頼をブチ壊しているとなれば、ゴーンさんが配慮する「三菱ブランドは守る」なんて考えなくてもいいのではないか。三菱グループ各社も多分そう考えている・・・・