サイコ  1960年 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

監督   アルフレッド・ヒッチコック

キャスト
ノーマン・ベイツ        アンソニー・パーキンス
マリオン・クレイン        ジャネット・リー
ライラ・クレイン(マリオンの姉)  ヴェラ・マイルズ
サム・ルーミス(マリオンの恋人)  ジョン・ギャヴィン
ミルトン・アーボガスト(私立探偵) マーティン・バルサム
アル・チェンバース(保安官)    ジョン・マッキンタイア
フレッド・リッチモンド (精神科医)サイモン・オークランド
トム・キャシディ(金持ちの経営者)フランク・アルバートソン
チェンバース(保安官)夫人     ルーリン・タトル
キャロライン(マリオンの同僚)  パトリシア・ヒッチコック
ジョージ・ロウリー(不動産会社の社長)ボーン・テイラー
チャーリー(中古車店の店主)   ジョン・アンダーソン
ハイウェイパトロールの警官    モート・ミルズ



 

予告編

 

 

感想
ヒッチコックの代表作。何度か観ている筈だが、ストーリーは全く忘れていた。
4万ドルは今の価値にしたら2000万前後といったところか。ベテランの事務員が横領を決心する金額としては、妥当な線か。
車を買い替えるところでは、警官に見られている状況だから結局逃げ切れないのがミエミエ。
モーテルでノーマンとの会話の中でも金を返す気持ちになっており、それは部屋で奪った金と使った金の計算メモを書いているところでもはっきりしている。だがその晩にナイフで刺殺されてしまう。マリオンの哀れな末路。

 

精神科医による種明かしは、やや冗長な印象だったが、当時のアメリカ社会で問題になっていた、母親による子供への依存行動の様なものに対する批判もあって、それなりに観客の意識に留まったことだろう。

旧き良きアメリカの理想像である郊外の一軒家。

父親は会社員で通勤、母親は専業主婦。

母親の関心が子供に集中してしまう環境。

ラストシーンで毛布にくるまったノーマンの、母親の人格となってニヤニヤ笑っている姿の気味悪さがいつまでも張り付いている様な印象がある。

 

あらすじ
不動産会社に勤めるマリオン。恋人のサムとは仕事の合間にホテルで逢引きする関係。

マリオンは結婚したいと思っているが、サムは離婚した妻への仕送り等もあり、今の生活を変える気力がない。

ある日マリオンの勤める会社へかなりの金持ち経営者が訪れ、結婚する娘に与える家の代金4万ドルを彼女の前に置いた。驚く社長。だがマリオンはその大金にも興味なさげに振舞う。社長がその金を銀行で小切手に変える様指示して経営者と去って行った。
その日は金曜午後。マリオンは頭痛を理由に早退し、自分の部屋の荷物をまとめて車で出かけた。

 

場面変わって道路わきに止められた車にパトカーが近づく。

そこで寝ていたのはマリオン。その晩車内で寝た彼女を怪しむ警官。その場を取り繕って去るマリオン。
車を交換しようと町の中古車屋に来店するマリオン。そこへ偶然か例の警官が来て道路の向かいから様子を見ている。差額700ドルの申し出に、トイレに入り奪った4万ドルから金を引き出して支払うマリオン。
逃げる様にして夜の道を走るマリオン。既に各方面に連絡が行って追われる身になったと確信する。

 

雨の中、モーテルを見つけて飛び込むが誰もいない。クラクションを鳴らすと隣の家から男が来た。ベイツ・モーテルの経営者、ノーマン・ベイツ。マリオンは偽名を使い、ノーマンは事務所の隣のカギを渡した。
周辺に食事の出来るところはなく、ノーマンは一緒に夕食をと誘う。それを受けるが、離れでノーマンとその母親の口論を聞いてしまう。母親は、投宿したマリオンの事を、息子を誘惑する悪い女と罵った。
パンと飲み物を持って離れから降りて来るノーマン。それを食べながらノーマンの話す今までの境遇を聞く。部屋に飾られた多数の鳥の剥製。ノーマンの趣味だった。

 

マリオンがシャワーを浴びている時、そこへ刃物を持った女と思われる者が彼女を襲う。数ケ所を刺され、絶命するマリオン。
ほどなくして異変に気付いたノーマンが死んだマリオンを見つける。モップを持って来てシャワー室の掃除をし、マリオンの遺体をシャワーカーテンで包んで車に運び込む。持っていた荷物と、新聞に包んだ金をトランクに放り込み、車を出す、沼に車ごと沈めるノーマン。

 

マリオンの姉ライラ。サムの勤める店へマリオンの消息を聞きに行くが、彼はその行方を知らない。その話に加わる私立探偵のアーボガスト。警察沙汰にしないため、関係者から雇われている。
近隣のホテル、モーテルを探した末にベイツ・モーテルに辿り着くアーボガスト。ノーマンにマリオンの写真を見せるが知らないとの回答。宿帳を出させ、筆跡からマリオンが偽名で宿泊していた事が確認されると、思い出したと訂正するノーマン。母親に事情を聞けば判ると思われたが、ノーマンに断られる。
その情報を電話でライラに伝え、モーテルに戻ったアーボガストは、ノーマンが見えないので屋敷まで足を伸ばす。屋敷内に入り、階段を上る途中で上から刃物を持った女と思われる者にメッタ刺しにされ、殺される。

 

アーボガストからの連絡も途絶えたため、ライラとサムはベイツ・モーテルに行った。怪しまれない様、仕事で訪れた夫婦を装い、その後サムがノーマンと世間話をするスキにライラが離れに向かった。
2階に行くが何もなく、1階に下りた時、ノーマンが家の玄関に現れた。急いで階下(地下室)に向かうライラ。そこの部屋で後ろ向きの老婆を見つけるが、肩を触れた拍子に振り向いたその顔はミイラだった。
悲鳴を上げるライラに刃物を持った女と思われる者が襲って来た。それを取り押さえるサム。

カツラが外れる。その者はノーマンだった。

 

関係者を集めての、精神科医による全貌の説明(母親の人格としての供述)。
父、母、子のベイツ一家。5歳の時に父親が亡くなり、それからずっと母親と暮らして来たノーマン。

しつけは厳しかった。母親に愛人が出来た時、ノーマンは母親から見捨てられたと感じ、2人を殺害(それが10年前)。
その犯行はノーマンの仕業とは知られなかったが、罪の意識から逃れるため、母親の死体を掘り返し、防腐処理をして、生きていると暗示をかけた。だがそれだけでは不足で、ノーマンは母親の代わりに話をする様になり、二重人格者となって行った。
ノーマンの女装は、母親が生きているという幻想を維持するために必要な手段であり、その時ノーマンの人格は封殺されていた。

この様な生活の中で、ノーマンが女性に惹かれるともう一方の人格の母親が激怒するという事態が発生。マリオンとアーボガストはそうして母親の人格となったノーマンに殺害された。
最終的にノーマンは母親の人格に支配されてしまった。