おはようございます看護師Aです
臨床倫理の流れは一通りご説明できたかと思うので、あとは実践ですね
ブログ内でカンファレンス形式はなかなか難しいので、
今日は模擬事例を使って
どうやって最善を考えていくかお伝えします
これは私の考え方なので、絶対正しい答えではありません
皆様の価値観のフィルターを通していろんな視点で考え続けることが重要なのです
思考も訓練ですからね
では、事例の紹介です
〜架空事例〜
Nさん88歳女性。
足の骨折で手術を受け、経過は順調。
現在リハビリ訓練中。
看護師が介助して車いすに乗ってトイレに行っている。
頻尿であり時々失禁もあるのでリハビリパンツを着用中。
Nさんからナースコールがあり看護師が訪室。
Nさん「出るかわかんないけど、なんかトイレに行きたいです」
看護師「またおしっこ出そうなんですね。でも。30分前にトイレに行って出てましたよ。お水もそんなに飲んでいないし出ないと思いますよ。」
Nさん「そうですか・・・」
看護師「万が一の時に備えてリハビリパンツも履いているし、しちゃてもいいんですよ。」
Nさん「・・・(赤面して黙っている)」
看護師(なんか患者さんの様子が変。私まずいこと言っちゃったかな?
・・・あ、ナースコール鳴ってる!!!
一人動いて転んじゃうかもしれない患者さんだ。早く行かないと。)
もやもやした気持ちのまま、他の患者に呼ばれ看護師が退室
〜情報整理〜(この事例からの情報から4分割を作るので薄い内容です)
医学的情報:足の骨折術後、リハビリを受けている。経過順調(創部は問題なし)。頻尿であり時々失禁もある。
患者の意向:排尿があるかわからないがトイレに行きたい。看護師の言葉に対して赤面して黙っていた。
周囲の状況:看護師は先ほどトイレで排尿があったため、まだ出ないだろうと考え、患者を安心させるためにそれを伝えた。万が一間に合わなくてもリハビリパンツを履いているから安心して欲しい思いもあった。車椅子の移乗やトイレへの介助は必要だが、頻尿でかつ尿意が曖昧なNさんより、転倒リスクの高い患者に呼ばれたためそちらに行かなければいけない状況だった。
QOL:本人の身体能力は看護師の介助があれば車椅子に乗ることができるレベル。
トイレの機会を利用して身体を動かすことはいいことである。
動けるようになれば本人の自信もつく。
「リハビリパンツに(排尿を)しちゃってもいい」という看護師の言葉の後に赤面していた。
〜倫理的推論〜
・看護師のもやもや「なにかまずいことを言っちゃったかな」その原因は何か。
患者さんの反応が変だった→その発言は「万が一の時に備えてリハビリパンツも履いているし、しちゃてもいいんですよ。」ここを探る。
・失禁しても大丈夫だと伝えたくて看護師は発言したが、これは患者さんの自尊心を傷つけている可能性がある。
・もやもやしながらも、他の患者さんのところへ行かなければいけない状況だった。
4原則に当てはめてみる
自律尊重(患者さんの自尊心を尊重する):トイレに行きたい気持ちを尊重する・パンツに失禁を勧めるのではなく、かつそれを言葉にせず、トイレに連れて行ったほうがいい。
善行原則(医療者として善いことをする):尿意が曖昧な患者さんに、さっき出ていたことを伝え安心してもらいたかった。
無危害原則(患者に危害を与えるな):トイレにいけず我慢することになるのは患者さんにとって危害となる。自尊心を傷つけるのは危害となる。
公平、公正原則(平等に扱う):他の患者さんに呼ばれてしまい対応が必要だった。Nさんをトイレに連れていく時間がなかった。
〜今後の方策〜
看護師の言葉で赤面したNさんは自尊心を傷つけられた可能性が高く、看護師の対応が正しかったとは言えません。
ただ、一時のやり取りで「患者さんの様子が変だな」と気づいたのは、
看護師の観察力の高さを表しており、倫理的ジレンマに気づくことができたことで次に繋げることができます。
今後同じような場面に遭遇したらどうすれば良いでしょうか?
私が考えるのは、
・頻尿、尿意が曖昧だとしてもまず患者さんの気持ちを受け止める
(本当に排尿があるか?と患者さんを疑わない)
・トイレに行ったほうが良いと答えが出たら、ナースコールがあった他の患者さんの対応は誰かにお願いする。
・病棟の看護師それぞれが上記のような考えで看護ができるよう、お互いフォローし合う
だと思います
もちろん、それが叶わない状況は私も数多く経験しています。
しかし、倫理的思考を知っているか知らないかで、
その人の言動は変わり、患者さんの反応も変わっていくのです
自分の頭の中を文字にするって大変
やる気と気力があったらまた架空事例解説やろうと思います
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました