先斗町の主とシシ神の木 CITY 01 Spin-off | 三白眼でしましょう。

三白眼でしましょう。

ササリンモームしょっぱいね

五輪したさの緊急事態宣言のとばっちりを受け、京の都はおとなしく自粛モードに入った

 

「こんなバカげた話があったものか」

 

貴族はコロナコロナとあざ笑い、遊興できない憂さをネットショッピングで晴らした。令和の貴族は句会など開かない。茶会はもっぱらアダムの祇園、仮想通貨で羽振りを利かせる

 

禁酒法が発令された東京の歓楽街では、これに近い現象が起きた

 

「コロナ世直り、ええじゃないか!ええじゃないか!」などと狂乱する庶民は京の都では見当たらない

 

閑散とした碁盤の目はいつ辻斬りが出てもおかしくない気配を孕み、人気のない小路では、もののけが生き生きとしてコロナ禍を謳歌していた

 

先斗町おばけ提灯

 

おばけ提灯が招かれざる観光客を冷やかす

 

「そこの旦那、見るからに保菌者だね。悪質な無症状者の自覚をもって遊んだら、ええじゃないか、ええじゃないか」

 

遠慮しておきます

 

河原町のほうから爆音が聞こえた

 

DOVUUUUUUNと図太い轟音がアルファベットを書き殴り、静寂をつんざく

 

誰かが族単のマナーモードを解除したらしい

 

高瀬川の鷺

 

明後日のほうを向き、己をハシビロコウと思い込んだ高瀬川サギ子は滅多なことでは動じない

 

高瀬川サギ子

 

というのも三年前、キモンくんにダブルエンガッチョを指されてフリーズ、まだ金縛りが解けないのだ

キモンくん5無論鬼門

 

そこ鬼門だよ

 

木屋町のトイレは洒落が利いてるね

 
木屋町公衆トイレの犬矢来
 
ダイソンみたいな犬矢来、この屋根に潜んだキリーク(電脳マフィア)の国貞が、田中の谷村野村さまに飛びかかった。それはまた別の話

 

この横に猿の交番があり、裏手に鴨川を見下ろす公園がある

 

先斗町公園

 

酒に飲まれたキモンくんの暴走により、密林と化した先斗町公園。ここの自称ヌシという猫神ボンドは変に人懐っこくなっていた

 

先斗町の主

 

どういうつもりなのか尋ねた

 

「お上に二択を迫られたのさ。歌舞伎町のドブネズミは凶暴化を選んだ。経済が止まれば野良も食いっぱぐれる。ゴミ置き場に餌がない。まったく、世知辛い世の中になったものだ」

 

つまり、君は媚態化を選択したんだね

 

「ひとまず迎合と言え。それでも鴨川に身を投げる奴が後を絶たない。五月末までもつだろうか」

 

緊急事態宣言延長を受け、月末まで閉めますとの張り紙が目立つ

 

コロナ禍の先斗町

 

工事中の店が散見された。コロナ禍に畳んだのか、あるいは休業中に改装するほど儲かっているのか、いずれにしても、恣意的な緊急事態宣言ほど傍迷惑なものはない

 

補償や協力金目当てのヤカラからすれば、ごちごちごっち

 

キモンくん1ごっつぁんです

 

鳥居から鳥居へ、自在に移動できるキモンくんの抜け道かしら……次元のひずみで縦長に見える

 

鳥居はん「うちら常に縦長どすえ。稲荷ふぜいのむっつり横長より断然、ええじゃないか!ええじゃないか!」

 

縦長の鳥居

 

ヒィィ

 

縦長の反稲荷勢は足が速い。自販機の並ぶ路地裏に逃げ込むと、私は思わず立ちすくみ、落としたマスクにぬかずいた

 

木屋町路地裏

 

モルタル二階建ての壁を突き破り、迫り上がるシシ神の木が窮屈そうに曇天を仰ぐ

 

シシ神の木
 

もののけ姫のシシ神が月夜を仰いで巨大化するシーンを彷彿とさせる。宮崎駿はこれを斜から眺めたのではなかろうか

 

正面から見た様相は別の魔物を思わせる

 
木屋町のシシ神様

 

「シシガミの木じゃと?てめえで言うのも何じゃが、大山椒魚づらした人面樹じゃい!ええじゃないか、ええじゃないか」

 

いいですとも、いいですとも……

 

私は後ずさり、高瀬川に飛び込んだ。そこの水深3センチ、腹をこすりつけて砂利を掻くクロールは匍匐前進とも言う

 

すーんとフリーズしてないで、おまえも逃げろ

 

焼き鳥のメニューを見る高瀬川サギ子

 

壁に焼き鳥のメニューでも貼ってあるのか?シュールが過ぎるぞ

 

「いたずらに木目を読んでただけですがな。あの日からぴくりとも動けまへんのや。くるぶしが冷えて冷えて、せやけど別に、ええやおまへんか!ええやおまへんか!」

 

血迷ったか。それに語呂が悪い

 

とりあえず私は、華奢なサギ子のぼんじりをくわえて突き進んだ
 
お、舟がある
 
 
「櫓がありまへん」
 
おまえがオールになればいい
 
「またご無体なことを」
 
棒立ちで固まったサギ子の美脚を握りしめ、私はひたすら漕いだ
 
「せめて、、逆にしてくれなはれ。足の水掻きを使わん手はないでっしゃろ、ぶくぶくぶく……」

その手を使わず三条河原に出た
 
三条大橋と鴨川

 

ここは本編オープニングの地

 

シティーゼロワンはすべてを裏返しながら侵蝕する

 

鴨川三条河原

 

鴨川名物の等間隔座りはソーシャルディスタンス的にグッドだが、カップルどころか鳩すらいない

 

上空に何かいる……おいでなすった

 

移動侵蝕型電脳都市CITY01

 

  ふっと瞼の上が曇り、夜が霞んだ。街を見下ろす大文字の青白い炎が揺れまどい、ジェリーハンドが取り乱す。ヒトデ型の浮遊偵察機だ。騎士ノイドと同じく御所に耳を傾け、おぼつかないホバーリングで落ち着いた。その上空をアメンボの群れが覆っていく。ドローンの編隊飛行と呼ぶには物々しく数がおびただしい。河原に蔓延るヨシのように連なり、羽音はモスキート音より高い。


 網状の影が街を包み込むと、道路がめくれて倒れていった。だばだば波打ち、とち狂ったドミノ倒しさながらに周囲を巻き込み、ねじ伏せる。並木、石垣、自販機、欄干、ビル肌をまくり、町家の格子から瓦まで、完膚なきまでに裏返す。


 唸るサイレン、飛び交う悲鳴、狂騒を尻目に塵ひとつ立てず、三条大橋を畳み込み、粛々と激しく河原に忍び寄ってくる。彼らにも見えているらしく、猿が我先にと逃げていく。地をめくりながら這う、ガンメタの電脳パズルが足下まで迫ってきた。


 01001010001001……白金に瞬く0と1の羅列が浮かんでは消えて、あたかも息をしながらパズルのピースを吐き出すかのようで、飲まれそうな脅威になす術もなく、俺の体は硬直していた。


「時計じかけの街」モザイクが口を崩した。


 おぼろげに黒く漂う夜光虫がちらつき、焦げた蛍のようなそれが、どっと湧いて群がった。貪り食われるようにモザイクが薄れ、宙に溶けていく。


「君は来るな。悲しいけど、忘れてくれ。もし覚えていたら……日本から」


 声が途切れて聞き取れない。


「宗、ありがとう」


 目の粗い蜘蛛の巣みたいなシナプスが音もなく囲い、俺の眼球を掴んだ――。
 

 

移動侵蝕型電脳都市

CITY01 七 Coming Soon

 

city01表紙6シティーゼロワン

 

電脳ぼけしたアダムとイブ

Aging Society忍び寄る米中

おこぼれを狙う露

サイバーテロリストは嗤う

移動侵蝕型電脳都市💋シティーゼロワン

祖母がワクチン接種するまでDLフリー

 

 

Medical Toilet

最新医療トイレとセックス、癌とワイン、スイーツと禁煙、懲りない男女が絡まる不謹慎極まりない短編集をコロナ禍に書きました。梅雨で気が触れるまで無料配布します。KADOKAWAブックウォーカーか楽天koboにてどうぞ

 

デッドキャッツ&スネイルドッグ

 

デッドキャッツ&スネイルドッグ

亡き猫とカタツムリイヌ

 

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キモンくん1そこ鬼門