デジタルMTR
むかし「テープオーディオ」という記事でデジタルのマスターレコーダーに憧れた、みたいなことを書きましたが。
その黎明期の詳しく書かれたブログを見つけてじっくり読みました。
Luminescence様「空間喪失」より
・3M デジタルレコーディングシステム
世界初のデジタルマルチトラックレコーダー
Donald Fagen「The Nightfly」
使用実績:YMO「BGM」
・三菱 X80→X800→X850
ProDigiフォーマット
使用実績:松任谷由実「ALARM à la mode」
・SONY PCM-3224→PCM-3324→PCM-3348
DASHフォーマット
のちのCD製作の業界標準
そして現在まで続くProToolsを始めとしたPCレコーディングシステムに移行していくと。
各レコーダーの音を直接聞くことはもちろん叶いませんが。
完成したアルバムから片鱗は感じられるのかなと、あれこれ聴いてみます。
3Mで録音のDonald Fagen「The Nightfly」はずいぶん聴いてて。
3Mのレコーダーは安定性に欠いた代物だったようですが、よくここまでまとめたものだなと感心します。
三菱のX800のくだりで松任谷由実「ALARM à la mode」がこれで録音というのが書いてあったので、聴いてみました。
最初にCD化されたのが「CA32-1330」、その後リマスタリングされて発売されたのが「TOCT10651」。
先に聴いたのは「TOCT10651」の方で。
リマスタリングというと昨今はオリジナルの雰囲気を破壊するイメージがありますが。
これはなかなかいい感じです。
あとから「CA32-1330」を聴いてみると、レコード向けのマスタリングはこんななんだろうなという感じの音。
少々低域が膨らみ気味で、上の方はやや硬め。これでも最近の音圧アップの名のもとにぶち壊された物よりは全然良いです。
これもレコーダーの音というよりは、やはり作り手の音作りをきっちり感じられるものです。
ソニーPCM-3324~3348は業界標準だったので使っていないものの方が珍しいでしょうけど。
黎明期から保守終了時まで使い続けた山下達郎さん「POCKET MUSIC」。
「32XM-15」がおそらく最初の盤、時期はわかりませんがリマスタリング盤の「WPCV-10022」。
職人山下達郎が手掛けるリマスタリングなので、これはよい方向になってると思います。
ただ本人があまり気に入らなかったような「32XM-15」もすっきりした好みの音ではあります。
PCM-3324の初期のフィルタ特性があまり良くなかったといわれますが、当時の再生機器の性能もあったんだろうなと。
CDにどれだけの音が入っているのか当時はわからなかったのではないかと。
プレーヤーの進歩、CD作成技術の進歩、アンプ、スピーカーの進歩などで、それなり収音されていたんだということがわかってきました。
これも結局山下達郎の音かなと。
レコーダーの音というのは掴めませんでしたけど。
本来は色付けなく録音してそのまま出力してというのがレコーダーに求められる性能でしょうから。
きっちりその役割を果たしたんだろうなと。
当時のデジタル技術の一つの完成形だったのではないかなと。
やはりロマンを感じます。
参考:デジタルMTR関連記事
MITSUBISHI ProDigi Digital Reel-to-Reel Recorders - From X-80 to X-880
MITSUBISHI ProDigi Digital Reel-to-Reel Recorders - From X-80 to X-880, Part 2
世界のスタジオに受け入れられたデジタル・マルチトラック・レコーダー
Audio Master Files-ディジタル録音の歴史について(2)
Sunset City Studio-Introduction
kenzee観光第二レジャービル-ゼロ年代、製作現場ではなにがおこっていたか?(J-POP論最終回)(web.archive.org)
www.geocities.jp/garage_miho/essay/tatsuro_interview_200506.htm
ProSoundWeb-R/E/P Community >R/E/P >R/E/P Archives >Whatever Works >Sony PCM-3324