テープオーディオ
私がオーディオを始めたのはCDが登場して4~5年目くらい。
高校生だったので好きなアーティストがアルバムを出したからといって発売日に買うことはできず。
まだレコードが中心だった街のレンタルレコード店でレコードを借りてはテープにダビングして聴いてました。
レンタルも安くはないのでFM東京のランキング番組「コーセー歌謡ベストテン」やNHKFMの「ひるの歌謡曲」などで最新曲をエアチェックしたり。
当時オーディオの中心はカセットデッキでした。
ということでカセットを中心としたテープオーディオ遍歴を書いてみようかと。
〇TEAC R-505
最初に買ったデッキです。
とにかくオートリバースのが欲しくて。
定価ではソニーのTC-R302の方が安かったと思いますけど新品を買う予算はなく。
行きつけ(行って見るだけ)の店で中古で最安値だったこれを購入しました。
タイマーでエアチェックできる時間が倍になる、というシンプルな理由でしたが。
期待のリバースは反転するときに結構なタイムラグはあったり。(コンマ何秒ですが)
録音時にマニュアルでリバースするにしてもテープ終端の前に番組の切れ目でリバースさせれば再生の時もそこでマニュアルリバースさせないと長大な無音部分を聞くことになるとか。
オートリバースのメリットは何?とかなり経ってから考えたりしました。
でもこれでのエアチェックライフは楽しかったです。
NHK-FMのアバドのベートーベン交響曲全曲ライブとか、FM東京でのビートルズのCD発売時の全部放送とか。
これらのテープを音質いまいちと思って処分してしまったのは惜しかったかなと。
〇AUREX XD-80 (リンク先:オーディオの足跡様)
このころのFMレコパルとか読んでるとエアチェックのマスターデッキにはオープンリール2tr38とかPCMプロセッサがグー、とか購買欲を煽る記事がいっぱいで。
いまさらオープンでもないしいつかはPCMプロセッサを、と狙ってましたら近所の中古屋に入ってきまして。即購入しました。
ビデオデッキは何でもよかったのですが、外見的に組み合わせるのに最高のソニーSL-HF705を合わせて購入しました。
CDをコピーして再生してみましたら、まさに寸分違わぬ音が出てきました。
CDプレーヤーを購入した時はきれいな音というくらいの印象でしたが、デジタルショックはこちらの方が大きかったです。
カセットテープはモノラルラジカセの頃から聞いているので違いは身体で分かったのかもしれません。
せっかく手に入れたPCMプロセッサでしたけど、すでにFMエアチェックもレンタルレコードのコピーも趣味的に下火で。
あまり活躍の場はありませんでした。
一度知り合いの吹奏楽団の演奏会に持ち込んで録らせてもらって、これが最初で最後のまっとうな活躍の場でした。
〇A&D GX-Z7100EX (リンク先:オーディオの足跡様)
最初のカセットデッキは本当はAKAIのGX-R70が欲しかったのでしたが予算の都合で叶わず。
でもいつかは使ってみたいと思ってました。
いつしか三菱との協業でA&Dとなり、エアチェックブームの終焉と音質重視への市場の変化でワンウェイが増えてきて。
自分の興味も音質に移ったところで登場したこれを購入しました。
試しにCDをコピー。
ソースとモニターを切り替えても全然違いが分からない、カセットテープもこんなに進歩したんだなと。
とはいえこのころはCDを購入することがかなり自由になったので、レンタルも使わずFMエアチェックもあまりせずで。
AA40号の亡き貝山先生のあとがきにあった「CD化されないレコードをカセットにコピーしてる。カセットの運命や?という客人にはCDからカセットのコピーを聴かせる、するとみんな黙って帰っていく。」のくだりに刺激を受けて。
CD化される見込みのないレコードをカセットにコピーしてました。
岩崎宏美の「シンフォニー」、ダーティハリーのサントラ、斉藤清六「なんなんなんだ」、ほか多数のドーナツ盤。
でもCD化されなかったのはほんと上記3枚くらい、ほとんどの手持ちのレコードはその後CD化されまして録ったテープも役目を終えたのでした。
でも当時のカートリッジの音の記録として取っておいてもよかったかなと。
○ソニー TC-WR990 (リンク先:オーディオの足跡様)
確かスピードのおかしいデッキで録音したテープをDATにコピーするためにピッチコントロールのあるデッキが欲しくて購入したような。
おかしなテープは1本だけだったのでそこで用済み。
その後GX-7100EXが壊れてしまい唯一のカセットデッキとして長く手元にありました。
カセットのハーフを押さえるテープスタビライザーなど装備して、音質的にもこれで十分でした。
録再機能も盛りだくさん、エアチェック全盛時に欲しかった1台でした。
〇ソニー DTC-77ES (リンク先:オーディオの足跡様)
○ソニー DTC-D7+SBM-1
〇アイワ HD-S1
〇アイワ HD-S1000
DAT時代、というのがあったのかどうか。
それなりに投資して使い倒しました。
欲しいCDは購入するのでコピーマシンにするつもりはなく、狙いは生録でした。
PCMプロセッサを持ち込んだ団体へは引き続き、また演奏会情報を聞きつけてはご担当者に電話して録音できないか問い合わせたり。
会社の昼休みに、相手にしてみれば迷惑な話で。
むかしは地元の警察音楽隊なんかも録らせてくれましたけど、最近は厳しいのかもしれません。
5年くらい頑張ったところで、だんだんお断りの団体が増えてきて疲れてきたのと、転勤でオーディオどころではなくなってきたので。
長らく放置していて久々に使おうとしたら3台とも動作がおかしくなり廃棄しました。
テープは捨ててしまうには惜しい内容なので、DATストレージからPCに取り込むツールを使ってできるだけ退避させました。
いまでもたまに聴いてます。
後々知り合った仲間に聴かせたらば「素人臭い」だそう。その人の生録音を聴いたらかなりオンの音で。
自分は引き気味の音が好きだったので、趣味が違うのだなと。
以降は録音するにもPC-USBインターフェースとか、SDカードレコーダーになってしまってテープとは接点がなくなってしまいました。
日本が世界のオーディオを席巻した(と思ってる)時代とテープオーディオの全盛時は重なってるなと思ってます。
当時のカセットデッキにはパネルいっぱいにスイッチやインジケーターが、これこそが日本オーディオの真骨頂かもしれません。
その後のパネルフェースシンプルオーディオでは全くパッとしなかったことからも間違いないかと。
あとはあこがれの機器を少々
〇ソニー PCM-1630
〇ソニー PCM-3324
(リンク先:「ソニー坊やと呼ばれた男」様)
まさにCD起点で日本のオーディオが世界を席巻した時期のCD制作スタンダード。
こんなので録音したらさぞやよい音で録れるのではと夢見た時期もありましたけど。
持ち運びも困難で、普段部屋に置けるわけもなく。
夢で終わらせておいてよかったです。
〇AKAI GX-R99 (リンク先:オーディオの足跡様)
オーディオを始めたころにはディスコンになっていたようですが。
3ヘッドリバースというギミックが商品化されていたのがびっくりです。
ほかTEACのR-999Xあたりもそうでしたか。
なによりかっこいい。オーディオは顔が命です、と長岡鉄男先生もなんかに書いてましたが、そうだと思います。
いまはカセットタイプでヘッド部から信号を出力するMP3プレーヤーもあるようなので、ラックに1台置いておくのも楽しそうです。
いまはレコード終焉時より盛り上がっている「アナログ」復活時代。
やはりアームやターンテーブルの動きが見た目から退屈させないんだと思います。
それから行くと最近のデジタルプレーヤーの動きの少なくつまらないこと。
ソニーのA100
みたいにカセットテープが動いてるようなスクリーンセーバーなんて面白いですが、そんなギミックはこのくらい。
PCオーディオが一時盛り上がりを見せたのはこのあたりのいじる楽しみを彷彿とさせたせいかもしれません。
カセットデッキもレベルメーターやボリューム操作など自分でいじくれるところがあったのが受け入れられたのかも。
またこういう使って楽しいオーディオギミックが現れますことを祈りたいです。