先日からやっている3XV-SP。

 

どうやら本物のSPレーサーを公道用に戻した代物。

いろいろと不具合があるのよ。。。

 

IMG_7358_R.jpg

 

まずアイドリングがおかしい。

SPレーサーはエンブレ強化のためにまずアイドリングしないようにする。

 

そのためセッティングマニュアル等にもアイドリングは考慮しないセッティングが記載されている。

当然ジェット類もアイドリングは考慮されていない。

 

そこを公道用に戻してあるのだが、この車両はジェット類は一応、公道車標準になっていた。

が、アイドリングが不安定。

 

回転上げると3000から下がらない上に、放置すると7000まで上がってしまう。

かといって回転を下げるようにするとストールする。

 

全くアイドリングしない。

 

これは何か違うだろっていろいろ見てみるも目立ったおかしな点はない。

スロージェットは上げても効果なし。

むしろ悪化する。

 

A/Sも標準値では合わない。

 

。。。?

 

ここでSPマニュアルを見てみると。。。

 

IMG_7361_R.jpg

 

スロットルバルブ。。。??

 

もしかしてカッタウェイが変わってる?

3.5が標準。

 

2.5??

 

変えるのかコレ。

 

つーかいろいろ違うよねコレ。

 

てことでもう一度見る。

 

IMG_7364_R.jpg

 

。。。3.0。。。??

 

ん?

 

2.5ですらないが。。。

 

3.0?

 

純正でもないな。

 

これだな多分。

 

カッタウェイの角度が変わるとアイドルから低速領域での特性が変化する。

シビアなのはこのせいかな?

 

あとニードルジェットもSTDはQ-3。

SPはR-4になってるけど。。。

 

付いているこの筒、刻印が無いのだが。。。

 

正体不明だなコレ。

 

てことで。。。

 

IMG_7365_R.jpg

 

これだけマニュアルが有っても、何一つ参考になるデータが存在しないわけだ(笑)

 

ってことはやっぱり基準無しからの再セッティングになるのよ。

まあ完全にゼロからではないから多少はマシ。

一応標準ジェットの記載があるのでね。

 

EFIのマップを作るときは完全にゼロからなのでそれよりはマシかな。

 

結局A/F測定と実走を繰り返してのデータ取りからの再調整を繰り返し。

 

測定の結果、1番側と2番側の特性差は多少あるものの、NSRとかと比べるとかなり差が無いほう。

キースターさんのキットを使いながらセッティングを進める。

 

Zeel側でエア制御もできるけど、制御しているのがなんせコンペなので制御はできるものの、基本的にON/OFFで制御する。

厄介なことにコンペは基本ジェット、穴小ソレノイド、穴大ソレノイドの3穴で調整する仕様。

 

つまり基本ジェットは常に開いていて、これが基本的なエアバイパスとなる。

さらにこれに小ソレノイドで少しだけ薄める、大ソレノイドでかなり薄める、両方開いて思いっきり薄める、の3パターンで吸入燃料を調整するのですわ。

 

ここで問題となるのが1番2番気筒間での吸入特性の差。

 

仮に1番が6000rpmで濃くなりすぎたとする。

この時2番は6000で薄かったらどうする?

 

コンペは基本的に前後とも同時に動作する。

小ソレノイドは前後とも開く。

大も同じ。

 

ということは1番のためにソレノイドを開けると2番側ではA/Fが極薄となり、走らなくなってしまうのよ。

これがV型エンジンの吸入特性差。

 

このおかげでまともにセッティングが出来なくなってしまう。

 

そのために1番2番気筒をそれぞれ独立して制御する必要があるのよ。

 

そのためのPDCI-25Vなんだよね。

20Vでは同時制御になるので。

 

さらに25Vはソレノイド制御がすべてデューティ制御。

なのでどうしても合わない場合、コンペのソレノイドをデューティ制御してしまえばかなり補正できるのですわ。

 

さらに深く追っかけると、コンペの大/小それぞれを連携して制御するか、大側のみを使用し前後気筒で割り振り完全独立制御とすることも可能、両方のソレノイドを使用してノーマルのような制御をさせることも可能。

それをデューティ制御して細かく調整することも可能になる。

 

この接続方法の選択は結果的にキャブの吸入特性を把握し、気筒間特性の差で判断することになるのである程度の知識と経験が必要だね。

点火時期でも変わるしね。

 

今回の3XVは気筒間特性にほとんど差が無かった。

おそらくSPキットの何かが付いている、おそらく筒のせいでこれがかなり軽減されている。

 

なので純正と同様の接続をデューティ制御することにした。

 

これで全開領域の調整を行い、メインジェットを決めていく。

 

結果的にF:235/R:275、標準針の3段目でかなり良くなった。

ココに到達するまでかなりの調整をやったよ。

 

なんせ全部変えられるからね。

点火時期もYPVSの開閉タイミングもエアソレノイドの開閉も量も。

ジェットの交換以外にも相当なテスト内容の中からA/F値のデータを参考にあたりを付けて調整していくのよw

 

25VはこれがYPVS以外、1番気筒2番気筒それぞれが独立して調整できるから。。。

 

まあ理解していないとセッティング無理よねコレ。

 

IMG_7357_R.jpg

 

てことでなんとかセッティング完了。

 

アイドリングは吸入バランスを取ったうえでかなりシビアに調整することでなんとかまともになった。

何気にメインジェットを変えたら安定するようになった気がする。

 

コレ、メイン系からもちょっと出てるっぽいね?

カッタウェイの違いからくるものだろうけど、純正カッタウェイだとこうはならないんだろうね。

 

これに気付くまでほんと難解だったわ。。。

 

ちなみにアイドリングの回転数調整がものすごくシビア(笑)

片側だけいじると途端に不調になります。

 

全開加速だとパワーバンドからの全開では何の不具合もなし。

両気筒ともに伸び切りでA/F13.4付近となり、ものすごくパワフル。

リミッターを12000に設定してあるけど余裕で回っちゃうんだよね。

 

ちなみにSPレーサーはリミット13000みたいね。

12500は普通に回す感じ。

 

まあ街中仕様だし、12000回れば良いよね。。。?

12500でも良いけど。。。

 

問題があるのはパワーバンド前の低回転からアクセルを全開にして加速させたときに1番側が若干薄くなってしまう。

2番側は許容範囲内。

36φキャブなので燃料噴射が出来ない限りこうなるよ。

まあエアソレノイドの能力をフルに使えばもっと大きなメインジェットを使用して合わすこともできるけど、現状の高回転の爽快さを考えるとジェットの変更は無いほうが良い。

 

アクセルを合わせていけば普通に薄くならないし、加速する。

この辺りはやはりレーサーなのよ。

 

レースではパワーバンドを外して走るなんてありえないので。

どうしてもコースレイアウト的にパワーバンドを外してしまうところもあるけど、勝負ポイント以外なら乗り手の技術で何とかするところ。

勝負ポイントでパワーバンドを外すのは車両セッティングが未熟なのよ。

 

そこが重要なのよね。

勝負できるポイントを作って、そこだけは完全にする。

後の不具合は可能な限り最良に近づけて、どうしようもない部分は何とかしてライダーが補う。

すべてにおいて完璧なんて車両は存在しないよ。

 

これが~90年代のライダーの仕事なのよ。

 

今どきの車両はフラットだからね。

パワーバンドなんて気にすることないもん。

 

ってことで、可能な限り合わせてみたけどパワフルなのは間違いないですよ。

パワーバンドからの加速でちゃんとフロントリフトするので。

 

中間が出ているからウイリーしてまくれるほどではないけど、ちゃんとフロントが地面から離れます。

 

かなり気持ちよく加速するので良いと思いますw

 

SPレーサーってこんなだったのよねw

今どきの250ccレーサーではまずありえない加速しますよw

 

ということで明日試乗してもらって問題なければ納車ですのぜ。