稀勢の里がついに引退した。

 

 運が無かったのか、周りの期待値が高すぎたのか。結局短命横綱と言うことで記憶に残ってしまった。

優勝と引き換えの負傷で休場してから何年経っただろう。再起を賭け何度も場所に挑戦したが、勝負勘は戻らず体力も衰えてしまった。

 

 ネットのコラムにあった「最弱横綱を作ったのは横審の責任」確かにそうは思う、しかしあの時誰もが日本人横綱を熱望した。横審も期待を込めて日本人横綱として推挙した、素人の私も相撲界を席巻しているモンゴル人旋風を何とかして欲しい思ったことは事実、稀勢の里自身も最高の状態で遅かりし出世の階段を上り詰めたことだろう。どこかに不安はあった、強さは本物か、この後も続くのか・・・。

 挑戦者であった時は、何でも上手く行くこともある。立ち向かうモチベーションは一回りも二回りも強くしてくれる。あの時手が届きかけた横綱の地位だった。他に強靱な日本人横綱がいたのであればあの程度の成績で横綱になれる訳も無い。しかしあの頃他に横綱候補者がいなかった訳で、無理をしてでも千載一遇のチャンスを稀勢の里に賭けたのだ。

 

 良い力士の特徴は、メンタルが強くなければならない。怪我をしないことが何より、致命的な怪我は力士生命をも左右する。

二度目の優勝がかかった時捨てられない勝負をものにしたが、失うものも大きかった。大きな怪我をしないで大関まで上がってきた。何度も横綱に挑戦する機会は会ったが、精神的にもろくていつもここ一番という時に優勝を奪われてきた。下位に強くて上位に弱いという感は否めない。努力は、人を裏切らないとは思う。しかし、チャンピオンになれば本場所15日は対戦相手の誰からも狙われてしまう。一切寄せ付けない程の圧倒的なパワーで乗り切らなければその地位を維持できないであろう。

本当に強い横綱は、あんなにぽっちゃりな身体はしていない。運動能力の差も有るだろうし。

 

 何度も休場しながら、場所に再起を賭けたが体力の衰えと筋力の衰えはそれを赦さなかった。ただ一人の日本人横綱である稀勢の里を相撲協会も辞めさすタイミングを失ったようだ。

 再起を賭け場所に上がる度に負けが続き途中休場を余儀なくされる。当然当たる力士達もここぞとばかりに金星狙いで挑戦してくる。あの横綱には負ける気がしないのである。

本場所で、横綱を倒すなどと言うのは滅多に無い事で、それだけ下位力士と横綱との力の差は有るはずなのだが、ここに来て休場明けの稀勢の里にはその挑戦者達を退けるだけの気力は無く金星提供横綱となってしまった。

金星、銀星にはその数において引退をしてもボーナス的報償が与えられる。滅多に無いから価値があるのに金星を量産してしまう横綱になってしまってはもうこれ以上横綱に置いとく訳にも行かない。

限界を察すれば引退という道を敷いてやるのも致し方なしと言うところか。もっと早く辞めたかったのに違いないとは思うが。

 

 今場所の白鳳は絶好調の様子、取り口もスピード感が増している、鶴竜も休場となればほぼ優勝は間違い無しの様相である。又今場所もしっかり白鳳に稼がれてしまうわ。もはやどれだけ記録を伸ばしても興味が薄くなっていく、日本人のスターは出ないものだろうか。

日本人力士が彼を倒さなくてはとどまるところを知らない訳でどうにかならんもんかね。