連休の狭間の不慮の事故 | 救急医の戯言

救急医の戯言

元呼吸器内科医であった救命医が、患者として2回手術を受けたこと、最近の医療について思うことを思いつくまま書いてみました。

 連休の狭間では、流石に一応平日だけあって救急外来も意外なほど静かだった。が、思いも寄らない怪我が多いのは事実。

 庭樹木の剪定作業をしていて、丸鋸で自分の手をざっくり切ってしまった高齢者。

 自転車で転倒して右前腕の骨折で緊急手術となった中学生。

 自転車で坂道を兄弟で走っていてスピードが出すぎて投げ出されるように転んで頭を打った小学生。

 などなど、いかにも連休中(といっても学校は授業があるので放課後の出来事だ)に校長から戒められているのに、といった不慮の事故が目立った。

 

 その中で、自転車少女は来院時意識が悪く、受傷の状況から緊急手術が必要な硬膜外血腫などを最悪予想していたが、それはなくホッとした。が、わずかだが外傷性くも膜下出血が認められて入院となった。

 このお子さんは、ヘルメットをしていず、お母さんはいつも兄弟でしていることとして近くで見ていたらしい。

 両親は、え?、入院なんですか?(こんな転び方すれば、どう考えても入院です)

 なんともないんですよね? (いや、頭蓋内に出血していれば通常1週間は入院です)

 後遺症なんて起きませんよね?(いや、今の段階ではなんとも)

 と畳み掛けてくる。親さんの気持ちはわからなくもないが。

 成人だったら、通常1週間は入院が必要な状態で、回復が予想外によくないようなことが万一あれば更に検査が追加になるでしょう。そういう意味の入院です、と説明したら、そんなかんじで入院させていただくのは当然ですね、と父。

 

 なんだ?なんだ?その上から目線は?

 下手をしたら、緊急開頭血腫除去のため手術になるかもしれないような受傷機転で、それもヘルメットをさせていなかった親の責任は重大なのに、、、、とムカッとしながら顔色を変えずに、兎に角、専門医にて評価していただきながらゆっくり療養しましょう、と申し上げた。

 同僚の医師は憤慨しながら、ノーヘルで、と100回ぐらい説教したと思う。先生やさしいね、というので、

 いや、下手なことを言うと逆ギレするタイプの親だから、無用な刺激はしなかっただけ、と答えた。