ナラ枯れ病 研修会 | 登山ガイド「らっせるまん」のブログ

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 先日、総合支庁と森林組合主催による、ナラ枯れ病研修会が開かれた。ナラ枯れ病というのをご存知でしょうか?日本海側の県で、夏に葉をつけたまま真っ赤になって枯れているナラの木を見かけたことがある人もいるかと思います。それがナラ枯れ。残念ながら、これから加速度的に増えていくことが懸念されています。

 松くい虫は有名ですが、ナラ枯れも発生の仕組みは同じ。カシノナガキクイムシという昆虫がナラ菌を運び、被害が広がっていくというもの。現在、日本海側の県を中心にどんどん被害が広がり、山形県が北限だが2年後には秋田県に間違いなく入り込むことになるらしい。ナラ類だけが感染するのだが、特に弱いのがミズナラで、カシワ、コナラ、クリ・・と続く。なぜ日本海側かというと、単純に言えばナラの木が多いためで、ミズナラを通して内陸へと被害が広がっていき、カシワを通して海岸沿いに被害が北進している。まずはミズナラとカシワに要注意のようである。ただその防除に動き出しているのは、まだ京都府と山形県だけらしい。

 山形県内でナラ枯れの話が出てきたのは、15年ほど前。その時はたった1つの村だけが被害地だったのだが、今では19市町村。新潟県から海沿いに広がっていき、どんどん内陸に進行している。小国町には昨年度から入り込み、被害木は300本。今年度にはその10倍の被害本数になることが予測されている。

 ナラ枯れがなぜ広まってきたかというのは、「里山を利用しなくなったからとか」、「温暖化のせい」とか言われてはいるが、はっきりとしたことはまだ分からないらしい。防除法は薬剤注入が主流だが、面白い方法としてはほだ木の原木としてシイタケなどキノコの菌をそのまま打ち込むこともされているとのこと。たしかにマイタケの出るミズナラの木にはナラ枯れは出ないらしい。また若い木は体力があるためナラ菌が付かず、被害に遭う前にある程度太くなったミズナラは伐採して利用した方がいいようだ。そのことは幼木の生長、萌芽更新にも繋がっていく。また植栽してブナ林に変えていくという方法もある。被害にあったナラの木はチップ材にもならず、原則的には移動もしてはいけない。怖い話であるが、本当にミズナラ林がなくなってしまうという事態も起こりかねない状況に来ているようだ。