手書きの残暑見舞いを毎年ポストに落としてくれる彼女とは
年賀状のやり取りを一度もしたことがない
なぜなら、年末から年始にかけてほぼ毎年おひとりさま海外旅行へ行っているから
たまたま神戸へ彼氏と旅行へ行っていて、
別行動をしていた彼女は、彼を震災で失った
もうすぐ結婚を誓い合っていた2人
その後、彼女はずーっと独身のままだ
彼女は人と適度な距離を保とうとする、群れるのがイヤな人
こうやってポトリと毎年残暑で近況を知らせてくれる彼女の
奥ゆかしいヤリクチに彼女ならではの「粋」を感じてしまう
ポストに落ちている葉書を手に取るたびに
もう夏が終わるんだなぁ~~と感じさせてくれると同時に元気でやっているんだな
と過去の彼女との会話を思い出しながら妄想を膨らませる
彼女はいつもクールだ
右往左往しない強さが見える 人を寄せ付けないオーラが漂っている
だけど相変わらず学校の保健室で、白衣を着て
様々な問題を抱えている子供たちを、ズレ落ちてきたメガネをひとさし指であげながら
うまくコントロールしている
そして自分の力では及ばないと判断したら、それ以上介入はしない
取り込まれすぎてダメになる自分の限界をちゃんと知っている
「そうじゃないとやってられないんですよ、この仕事は」と彼女は笑みを浮かべて言っていた
「エナジーさんは一見優しいけど、ひどく冷たいモノをもっている」
とずーっと昔にズバリ指摘してくれたのが彼女だ
その言葉は自分が感じていた意外では誰も指摘しなかった言葉だ
彼女は一見冷酷のように見えるけど、芯はとても温かい
ワタシはワタシ自身、火のような熱さの中にある「冷たさ」に救われてきた
その会話を取り交わしたとき、ワタシはお互いの性格を見抜きあい
ある種の「絆」のようなものを結んだ思いを勝手に持った
そして・・・・・・
ワタシが職場を離れた翌年からこうやって毎年残暑を送ってくれるようになった
彼女とは群れるような間柄ではなかったけど、
こうやってワタシの人生に年に一度だけ簡単に絡んできてくれる彼女
ワタシはその絡みを倍にして返す
季節感というものは、自分で感じる方法と他から受け取るものの両方があり、
ワタシは彼女からの葉書を見る度に、失われつつあるものを
取り返したような気持ちになるんだ。。。。。。。