これまでのあらすじ
メガゲロは、小学生時代、ベリーちゃんという女の子と付き合っていました。ベリーちゃんは、とても可愛く、オシャレが大好きな女の子なので、みんなに人気がありました。しかし、ベリーちゃんを彼女にしようとした男子がいました。もちろん、メガゲロも――ほかに、スカイくんとまくゲロくんもです。
三人は、毎日、ベリーちゃんを争奪するため、争っていました。そして、争いの結果、メガゲロがベリーちゃんと付き合うことになったのです。
そして、メガゲロたちが大人になったころ、二人とも小学生時代の記憶は薄れ、お互い、別の人生を歩んでいました。しかし、メガゲロがふと思い出し、同窓会の時、二回目の告白をしました。
ベリーちゃんが驚いているのもつかの間、スカイくんとまくゲロくんも告白。そして、ベリーちゃんは、メガゲロとまた付き合うことに決めました。最近は、デートをたくさんして、ラブラブになりました。
第三話、第五話、第十二話だけでは分からない、メガゲロとベリーちゃんの真実の恋の物語。それが今、明らかになる。
この間に何が起こったのか――。
恋の物語を、まとめてお届けします。
1 小学生生活日記
いちねんせい
○月×日
きょうは、にゅうがくしきでした。とっても、ドキドキしました。しってるひとがいないなかで、ふとよこをみると、かっこいいおとこのこがすわっていました。そのおとこのこは、「かえる メガゲロさん」とよばれると、「はい。」とおへんじをしていました。もし、メガゲロくんと、けっこんして、あかちゃんがうまれたら、とってもかっこいいこがうまれるとおもいました。
○月◎日
今日は、フララランとあるいていたら、いきなりみずいろのおとこの子がはなしかけてきました。なまえは、スカイくんで、あたしとおなじようにおなかにはっぱのマークがついていました。スカイくんも、とてもかっこよかったです。
●月◇日
学校からかえるとき、うしろにだれかいました。こわいなとおもっていました。ふりかえってみると、そのおとこの子は、とっさににげていきました。なんだったんだろうとおもいました。
●月□日
きょうは、せきがえをしました。すると、まえはスカイくん、となりはメガゲロくん、うしろがあたしについてきた男の子でした。休みじかん、三人はあたしにいっぱいはなしかけてきて、さくらちゃんとあそぶはずが、男子三人とのおしゃべりになりました。でも、あたしについてきた子のなまえが、「まくゲロくん」ということが分かりました。
☆
三年生
□月△日
今日は、メガゲロくんと、遊んだ。手をつないで、学校中を歩きまわった。ほかの人に見られないように、かくれてキスをした。メガゲロくんと、キスができたのは、うれしかった。またやりたい。
□月☆日
昨日、キスしたことがばれて、メガゲロくんが、スカイくんと、まくゲロくんに、おこられていた。とても、かわいそうだった。だから、メガゲロくんがいないところで、二人をげきおこぷんぷんでおこった。あたしは、メガゲロくんと一緒が良かった。
▼月◆日
休み時間、メガゲロくんと、スカイくんと、まくゲロくんが、もめていた。何のことかと思ったけれど、それは、あたしのことだった。あたしのことで、もめてほしくなかった。
★月▽日
クラスがえで、メガゲロくんと、はなれてしまった。悲しかった。さらに、スカイくん、まくゲロくんともはなれた。だれとも一緒じゃなくなってしまった。
☆
六年生
◇月●日
もうすぐ、卒業式。
席が発表された時は、嬉しかった。
だって、メガゲロくんと隣なんだもの。この夢みたいな卒業式までの日々を一日一日惜しんで過ごしたい。
◇月☆日
今日は、卒業式だった。
あたしの名前が呼ばれると、あたしは立ち上がって卒業証書を受け取った。そして、あたしの足元にはあたしの涙がポツリと落ちた。
もう、メガゲロくんとは会えないのかな……。
☆
卒業
今までの日々、恋、出来事にさようなら……。
2 かすかな記憶の小学生時代
――あの時、何があったの?あたしのハートは、どこに……。
ベリーは、いつもそう思っている。
「高校生になってから、何だか毎日が楽しくなくなった気がするわ。」
「あたしが一番楽しかった小学生時代はどんなのだったのだろう。全然、記憶にないわ。」
そして、ベリーは諦めたように言った。
「もう二度と、あの時の記憶は返ってこないのね……。」
その時、べリーは、ふとあるノートを手に取った。
――小学生生活日記だ!
一年生の時の日記は、ひらがなが多くて読みにくかったため、四年生から読むことにした。
☆月■日
あたしは、メガゲロくんのことが、大好きなのに、スカイくんや、まくゲロくんともめて、あたしが誰に合うかとか、いろいろ言い争っていたけれど、あたしはそういうの嫌い。
「もめる人たちは、みんな嫌いよ!」
って言おうと思ったけれど、メガゲロくんの前で言うのは、やめた。
「あたし、小学生の時、こんなことを思っていたのね。」
ベリーの記憶が少しずつよみがえる気がした。
けれど、小学生の時ああだった、こうだったなど今は関係ない。
「メガゲロくん、今、どうしているのでしょう……。」
◇月×日
今日は、バレンタインデーでした。
バレンタインデーは、女子のお祭り。
メガゲロくんに、手作りチョコをあげて、告白してみました。
「あたし……メガゲロくんのことが、好きだったの。」
恥ずかしかったから、みんなから隠れて校舎の裏で、そう言ってみた。
メガゲロくんは、「うん。」と、言ってくれました。
今日は、今年で一番の日だったと思います。
「バレンタインデーね……。そういえばチョコを作った記憶はあるけれど、メガゲロくんに渡していたのね。」
ベリーは、自分の事なのに、「へぇ。」とうなずくようにつぶやいた。
「小学校四年生って、十年前よね。結構今のあたしと変わらない……。」
そうだ、と、ベリーはホワイトデーの出来事を探した。
「バレンタインデーで告白したあたしは、ホワイトデーでは、どうなっているのかな。」
△月×日
今日は、ホワイトデーでした。
ホワイトデーでは、女子へ男子がプレゼントします。
あたしは、メガゲロくんからクッキーを貰いました。
男子は不器用なので、さすがに手作りではなかったけれど、あの「SHUGAR」のお店のクッキーでした。
「SHUGAR」は、高級クッキー店なんです。
メガゲロくんが、あたしのためにわざわざ高級クッキーを買いに行ってくれるなんて、どれだけあたしのことが好きなの、と照れてしまいました。
来年も、メガゲロくんからもらえたら良いなと思いました。
「……。」
ベリーは、唖然とした。
「四年のあたしって、そんなことまで考えていたの……!?」
四年からの全ての日記を読み返した。
小学校の頃の自分に驚いた。
メガゲロに一目惚れしたこと、自分が三人で取り合いされていたこと、メガゲロと両思いだったこと――。
ベリーは、メガゲロくんにまた会いたい、と懐かしく思った。
3 事件と愛
ベリーとメガゲロが高校を卒業して間もない頃のこと。
メガゲロは、探偵になるために、デカゲロ探偵事務所に入った。
この頃のデカゲロ探偵事務所は、まだ無名だった。
メガゲロが入った時には、事務所長、デカゲロと、なかゲロがいた。
二人は、メガゲロのことを歓迎してくれた。
「いやぁ~、嬉しいです。このような子が、ここに入ってくれるなんて。」
なかゲロは、嬉しそうにメガゲロを見つめていた。
「さみしかったんですよ。でも、あなたのような優れた子が入ってくれて。一緒に頑張りましょうよ。」
「う、うん。」
(慣れないなぁ。ぼくが探偵になるためにここに来たんだけど、何か……帰りたい。)
この頃のメガゲロは、かなり真面目だった。
――ベリーちゃんの事を気にしていない時は。
「それで、早速始めるのもアレだから、今日は、パーティを開きましょうよ。」
なかゲロがパーティの提案をした。
しかし、デカゲロが反対した。
「無理だ。ここも。予算は少ない。貴重な金を、パーティに使いたくはないんだ。ごめんなさいね、メガゲロさん。お金に余裕が出来たら、パーティを好きなだけやろう。」
「……はい。」
(へぇ……。ということは、なかゲロくんが来た時にはパーティをやっていたのかな?)
メガゲロは、色々なところから漂うデカゲロ探偵事務所の空気を密かに感じ取っていた。
普段は探偵として働く中、ベリーちゃんと会う時の事はとても楽しいことだった。
二人でショッピングをして。
二人で食事をして。
「メガゲロくん。ありがとう。大好きよ。」
この言葉が聞けた時が一番幸せだった。
ベリーちゃんと会った次の日は、頭が冴えている。
“愛”の力なのだ。いつもより調子が良い訳は。
4 すれちがう日々
ベリーは、大学を卒業して、就職することになった。
夜勤の仕事に入ったベリーは、夜は忙しいのだが、昼が暇で、町のカフェなどで過ごしていた。
一方、メガゲロは、デカゲロ探偵事務所にも慣れてきた。探偵は、尾行などは夜間でもやるが、基本、昼の仕事なのでベリーと時間が合わないのだ。
合わないのは、時間だけではなかった。
二人の心の歯車も合わなくなってきていた。
前までは、がっちりピッタリ合っていた心の歯車。
歯車の形と溝の大きさ、そして歯車の全て。
少しずつ、“ズレ”が生じていたのだった。
このまま、二人の運命は引き裂かれてしまうのだろうか――。
「……。」
この日、メガゲロはベリーのことを考えていた。
『メガゲロくん』
ベリーちゃん……。
『何照れてるのよ。』
また会いたい……。
『大好き……。』
ぼくも……。
「メガゲロくん、ボーっとしないで仕事、仕事!」
デカゲロが注意した。
「あっ……うん。」
ベリーとの思い出が、今のものではなく、過去のものとなって懐かしんでいる。ベリーから、離れていく。
(はぁ……ベリーちゃん、懐かしいなぁ。)
ベリーはもう懐かしい存在となってしまった。
「メガゲロくんっ!?大丈夫?風邪でもひいた?」
「あっ……何も。」
「ちゃんと仕事してよー?」
「うん。」
もう、このまま二人の歯車のズレは大きくなるばかりだった。
5 好きだった人
メガゲロはベリーのことが、ベリーはメガゲロのことが、お互い、“好きな人”から“好きだった人”に変わってきていた。
あの思い出は、もう……過去のもの。
二人ともそう思っていた。
しかし、小学校時代の同級生、さくらが、
「同窓会、やりましょうよ。」
ということで、また会えるようになった。
また会えるチャンスだった。
そして、同窓会になると、二人ともベリーは女子、メガゲロは男子というふうに二人はあまり喋らなかった。
二人が交わした言葉は、
「こんにちは。」
一言だけだった。
せっかくの、チャンスだったというのに――。
やはり二人は戻れないのか。
しかし、絶交というわけではなかったので、少しは喋る機会があった。
「メガゲロくんは、探偵になったのね。」
「ベリーちゃんは、夜勤の仕事なんだってね。」
「そうよ。……夜にやっている、バーの店員になったのよ。」
仕事の話だけだった。
今までの話は何もしなかった。
やはり、二人は“好きだった人”となっていた。
もう普通の同級生。ただの同級生。
ただの――友達。
6 転機
しかし、そんな中、転機が訪れた。
ベリーが、またメガゲロに思いを寄せることとなった。
その訳はというと……、ミニゲロの店で起きた、レシピの窃盗事件。
メガゲロが、事件を解決したかららしい。しかし、実際はメガゲロはお菓子を食べていただけで、ほとんどはデカゲロとなかゲロのおかげだ。
事件を解決した姿に、惚れた。メガゲロのことが、好きになった。
そこで、ベリーは、メガゲロに電話をかけ、同窓会をしないか、と誘ってみた。
メガゲロはグアムにいたようで、なかなか繋がらなかったが、とても嬉しそうに「うん。」と答えてくれた。
メガゲロが手配してくれたようで、デカゲロ探偵事務所で同窓会をやることになった。
さくらが幹事を務めた時とは、気持ちが違っていた。
「かんぱーい!」
とても賑やかだ。メガゲロを探した。
……いた。カプチーノを飲んでいる。お酒は飲まないのだろうか。
(メガゲロくんの隣の席に……。)
「あっ……、メガゲロくんの隣に入れて……。」
そこにいたさくらが譲ってくれた。
「め、メガゲロくん……、事件、解決したんでしょ……?」
「うん。」
本当は違うが、そう答えた。メガゲロも、ベリーちゃんに見とれているようだ。
よし。
メガゲロに……
告白しよう。
7 告白
「あたし……一番好きなのは……」
「先輩!この料理、どうですか?」
なかゲロの声が、入ってしまった。
あと、少しだったのに。
あと、少し、だったのに……。
「パイン先生の登場です!」
パイン先生が出てきた。
ベリーは、あまり嬉しくはなかった。
パイン先生は嫌いではない。
パイン先生は何も悪くない。
メガゲロに、告白を出来なかったからである。
勇気を、たくさん使ってしまった。
あと、少ししか残っていない……。
「ベリーちゃん……。」
メガゲロが話しかけてきた。
今が、チャンスだ。
「どうしたの?」
「ぼく、ベリーちゃんのことが……」
「あ、あたしのことが……?」
とてもドキドキした。
「好きなんです!」
やった、と思ったそのときだった。
「ちょっと待った~」
スカイくんが出てきてしまった。
「ぼくの方が、ベリーちゃんのこと、大好きですぅ。」
「ちょおぉとまったあぁ。」
まくゲロも出てきてしまった。
「ぼくのほうがあぁ、ベリーちゃんのことぉ愛してますぅ!お酒は少し強いけどぉ、ベリーちゃんには弱いんですうぅ。」
(ごめんなさい……あたしが本当に好きなのは、メガゲロくんなの……。)
「好きなのはメガゲロ」と、なかなか言えなかった。
「ぼく!」
「ぼくの方が!」
「いや、ぼくだぁ。」
三人が争っている。
ここで……。
「あたしは……あたしは……あたしが好きなのは……。す、」
「す?ってことは、スカイくんなの?」
誰かが口を挟んできて、スカイくんが小さくガッツポーズをした。
「す」は、「好き」の「す」なのに……。
「好きなのは……メガゲロくんなの……。」
「え?本当?やったー!」
メガゲロはとても喜んでくれた。
また、恋の木に実がなった。
8 ゴールへ
二人は、あの時から、デートを重ねた。
遊園地の観覧車。
「うふふ……」
「ベリーちゃん、ぼく、ベリーちゃんのこと、だあい好きだよ。」
「あたしもよ。」
二人だけでの空間――。
映画館でのとなり席。
ポップコーンを食べながら、映画を鑑賞。
「メガゲロくんがいて、安心だわ。」
スマイルと一緒に言ってくれた言葉――。
宝石売り場買った、きれいなきれいなターコイズ。
「これは……ターコイズね。あたし、これが欲しいわ。」
予算オーバーだったけれど、メガゲロはベリーちゃんのために臨機応変に対応した。
そして、カフェに行く代わりに食べた、とても美味しかったアイス。
「ありがとう♪……美味しっ。」
あの味は、きっと恋の味――。
そして……婚約指輪を渡したあの日。
メガゲロから渡された、箱。
中を開けると、フェアリーのダイヤモンド指輪。
「ベリーちゃんのこと、だあい好きだよ。ベリーちゃんはとっても可愛いし、優しいし、成績もいいし、運動神経もいいから、ぼくのお嫁さんになって!」
もちろん、ベリーはOKした。
婚姻届を出して、ついに夫婦となった。
「やったぁ!」
メガゲロ、大喜び。そして、ベリーも心のなかで、喜んでいた。
二人はついにゴールへたどり着いた。
9 結婚式
カランカラン
鐘がなる。
「これからも、二人は永遠の愛を誓いますか。」
「はい。」
二人が声を揃えていった。
「わーい!!」
「キャ―――!」
みんな大喜び。
「先輩!メガゲロがついに結婚ですよ!」
なかゲロが言った。
しかし、デカゲロは……、
「ふぇ?目がぁ。まわぁるぅ。めがぁげろぉが、けっきょぉん!?」
お酒を飲んで、酔っていた。
「わーい!メガゲロくん、ばんざーい!」
とくゲロも叫んだ。
「ケーキの登場です。さあ、二人で……」
メガゲロとベリーは、二人でウエディングケーキを切った。
それを作った、ミニゲロとまめゲロは、二人で顔を見合って、笑った。
二人の愛は、ずっとずっと、永遠に、永久に続くだろう。
ベリーのウエディング姿、メガゲロのタキシード姿は、このかえる県にずっと残るだろう――。