つきのわさんは虫がダメです。
触るのはもちろん、見るのも嫌がります。
そんな人と暮らしていると、退治役が自然とこちらにまわってきます。
私だって好きではないですが、必要に迫られて仕方なくこなす役回りです。
ただ、怖いという感情はないので叩こうが潰そうが何とも思いません。
むしろ、家に侵入された事実が許しがたく、一刻も早く消し去りたいと願います。
ヤツらを発見したら、どこで何をしていようとヘルプコールが入ります。
調理中だろうが入浴中だろうがお構いナシ。
イラつく気持ちを手に込め、叩き潰します。
逃げられるわけにはいかないので、スピードが何より大事です。
紙類の用意が間に合わなければ、躊躇なく素手でいきます。
そんな私を野蛮呼ばわりするつきのわさん。
逃がしたら大騒ぎするくせに。
全く自分勝手なオトコです。
日頃の態度にバチが当たったのか、最近はひとりで家にいる時の遭遇率が高いようです。
頼る相手がいなければ、自分でどうにかするより他ありません。
遠くから殺虫剤を撒き、完全に動きを封じた後にティッシュをかぶせ、そのまま放置して私の帰宅を待つ。
そんなやり取りが数回続き、だんだん腹が立ってきました。
仕事終わりの、ようやくホッとできる時間…
そのスタートが死骸処理だなんて!
本日届いた、やや重量感のある段ボール。
箱を開け、中身を取り出し、真剣に説明書を読むつきのわさん。
何とお目見えしたのはマジックハンド。妻の無言の圧力と重い空気に耐えかねて購入したようです。
いい作戦でしょ?と、その顔が語っています。
全くバカなオトコです。
本の備忘録
48 小路幸也・宮下奈都/つむじダブル 兄妹の成長記。兄のパートを小路幸也が、妹のパートを宮下奈都が描く。作風は全く違うはずなのに違和感ゼロ。むしろ心地よいハーモニー。
49 那須正幹/ぼくらは海へ 6年生の少年達が抱える言葉にならない焦りや苛立ち。時代を経ても変わらない。よく分かる。私は少女だったはずだけど。