珍しい光景ではなくなりました。
運ばれたお皿を前に、こっちの角度でパシャリ明るさを変えてパシャリ。
興味のない人にとっては、ご馳走を目の前にお預けをくっているだけという苦痛の時間。
年配者や男性陣には理解しがたいようで、評判はよろしくない模様です。
さて、そんなことを言っておきながら、実はあたしも写真を撮ってしまう派です。
ほとんど出かけることのないあたしにとって、外食はなかなかのイベント。
おまけに、現在持ち合わせているのが食欲のみという、筋金入りの食いしん坊。
当然、店選びには気合いが入ります。
町の定食屋からオシャレなフレンチまで、ジャンルも価格も様々。
美味しければ何でも良し!
そうして選ばれた食事を前にして、誰が興奮せずにいられるというのでしょうか。
ただし世の女子とあたしが違うのは、それがSNS用ではないということ。
あたしは単に、待ち受け画面に使いたいだけなのです。
苦労して出会った逸品を、いつまでも飽きることなく愛でたい。
それだけなのです。
最近は派手な見た目だけでなく、地味な渋好みも流行っていると聞きます。
キャラ弁なんて馬鹿馬鹿しいモノが世間を賑わせた時期もありましたが、今は曲げわっぱ等のレトロ系に勢いがあるとのこと。
わっぱ歴20年のあたしには嬉しい限りです。
我がお弁当は、もちろん中身も昭和感たっぷりでした。
彩りなんてクソ喰らえ!とばかりに、茶色チャイロちゃいろ…
思春期には少々恥ずかしくて、母に抗議を試みたことがありました。
すると、きっぱり言われました。
ごちゃごちゃ言うな!茶色は旨味!

今なら、母の言うことがよく分かります。
あたしの好む味に、色彩は必要ありません。
結局のところ、携帯に保存された写真を見返しても、保存してあるのは地味な色合いの食事ばかり。
お金と時間をかけようとも、夕飯の残り物を詰めようとも、最終的には茶色に落ち着くのです。
茶色は旨味…
改めて名言です。