No.19 桜庭一樹 | 熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

モンチッチのようなヨメが、ツキノワグマのようなダンさまとのゆる~りとした日常を綴ります。
果たして熊と猿は仲がいいのか悪いのか…。
今日も中年夫婦はとことんマイペースに暮らします。



アメリカ嫌いのくせにアメコミが好きです。

バットマンとかスポーンとかブレイドとか…

特殊能力。
良い響きです。

普通に考えたらただの変人。
そこを奴らはヒーローに仕立てあげてしまいます。


一方、ヨーロッパのドラキュラや魔女。

ひっそりとか人里離れて、といった背徳感が漂います。


伏 贋作・里見八犬伝
桜庭一樹


昔々、安房の国での出来事。
豊かな自然と平和な領地。
やがて戦に巻き込まれ、人も土地も荒れていく。
状況に耐えかねた当主が、敵の首をとった者に娘をやると宣言してしまう。
あろうことかその栄光を手にしたのが犬。
父が口走った約束のために、動物の元へ嫁ぐことになってしまった姫。

ひっそりと森の奥で暮らす犬人間。
細々と、しかし確かに子孫を増やしていく。

時は移ろい、舞台はお江戸。
普通に暮らしていた末裔だったが、ある事件をきっかけに危険なモノとされ狩られていく。


追う者と追われる者。
運命に抗えない者と運命を切り開く者。

まさに魔女狩り。
日本の能力者もまた、迫害されるしかなかったのです。


元気印の主人公が暗くなりがちなテーマを、少女らしい目線で捉えていく。
素直さに笑ってしまったり、子供らしい残酷さにドキドキしたり…

ザッツ、桜庭マジック。
ザッツ、ファンタジー。


幻想的な森や鬱蒼とした獣道、賑やかな町並みやきらびやかな衣装。

知らない過去だからこそくすぐられる想像力。
遠い昔を妄想するのも楽しいものです。



やっぱり、特別な人って憧れちゃうな。

犬の血でもわけてもらおうかしら。
そしたらとりあえず…
アレルギー、治るかな。