
アメリカ嫌いのくせにアメコミが好きです。
バットマンとかスポーンとかブレイドとか…
特殊能力。
良い響きです。
普通に考えたらただの変人。
そこを奴らはヒーローに仕立てあげてしまいます。
一方、ヨーロッパのドラキュラや魔女。
ひっそりとか人里離れて、といった背徳感が漂います。
伏 贋作・里見八犬伝
桜庭一樹
昔々、安房の国での出来事。
豊かな自然と平和な領地。
やがて戦に巻き込まれ、人も土地も荒れていく。
状況に耐えかねた当主が、敵の首をとった者に娘をやると宣言してしまう。
あろうことかその栄光を手にしたのが犬。
父が口走った約束のために、動物の元へ嫁ぐことになってしまった姫。
ひっそりと森の奥で暮らす犬人間。
細々と、しかし確かに子孫を増やしていく。
時は移ろい、舞台はお江戸。
普通に暮らしていた末裔だったが、ある事件をきっかけに危険なモノとされ狩られていく。
追う者と追われる者。
運命に抗えない者と運命を切り開く者。
まさに魔女狩り。
日本の能力者もまた、迫害されるしかなかったのです。
元気印の主人公が暗くなりがちなテーマを、少女らしい目線で捉えていく。
素直さに笑ってしまったり、子供らしい残酷さにドキドキしたり…
ザッツ、桜庭マジック。
ザッツ、ファンタジー。
幻想的な森や鬱蒼とした獣道、賑やかな町並みやきらびやかな衣装。
知らない過去だからこそくすぐられる想像力。
遠い昔を妄想するのも楽しいものです。
やっぱり、特別な人って憧れちゃうな。
犬の血でもわけてもらおうかしら。
そしたらとりあえず…
アレルギー、治るかな。