ついにこの日が来てしまった。
4月21日発売の「鉄道ジャーナル」、通巻704号。これが、最後の一冊になる。
終着駅。いや、最終列車の発車ベルが静かに鳴り響くような、そんな感覚だ。
この雑誌が棚から消えることで、本屋に立ち寄る理由が、またひとつ、レールの向こうに消えていく。
思い返せば、「鉄道ジャーナル」は鉄道雑誌の中でも、ずっと“鉄分濃度”が高かった。
「バス? 飛行機? いやいや、俺たち鉄道一筋ですから」みたいな、ちょっと頑固なおじさん感のある誌面構成。でも、それがよかった。媚びない。浮かれない。だけど、情熱は熱い。まさに、硬派。
子どものころから“鉄”をこじらせてきた自分にとって、この雑誌は、時に教科書であり、時に写真集であり、そして何より、「ここまで深掘りするのか…!」と毎号の特集に頭を下げたくなるような、知的な感動をくれる存在だった。
例えば、車両の置き換えに関する一連のレポート。
単なるニュースじゃなくて、「なぜこのタイミングで?」「地域社会との関係性は?」と、深く掘り下げて考察してくれるあのスタイル。どこか、現場の保線作業員にまで敬意を払っているような、そんな丁寧な筆致に、いつも惚れていた。
そして、最後の号の特集は、E217系。
ああ、君が来るのか。と、妙に納得してしまった。
通勤電車でありながら、どこか優雅な顔つき。
横須賀線・総武快速線をずっと支えてきたその姿は、「地味だけど、いざというとき頼れる存在」そのものだった。
まるで、鉄道ジャーナルのように。
時代は変わる。
情報はデジタルに、配信は即時に。僕らは指先で未来を追いかけているけれど、それでも、紙の雑誌がくれる“重み”や“構成力”は、簡単に代替できるものじゃない。
雑誌というメディアが、一つの文化としての役目を終えようとしている。
それはきっと、寂しいけれど、誇るべきことだと思う。
ありがとう、鉄道ジャーナル。
これからも僕の本棚で、旅は続く。
また会おう。ページをめくる、その先で。