10月から、アニメがスタートしました。
私としては、ひいきにしている(イミフ)シャフトさんの新作アニメということで、仕方なく見始めた(なら見るなw)わけですが、見始めてハマってしまっている自分がいますww
3月のライオンは、羽海野チカさんの同名漫画が原作。前作が「はちみつとクローバー」というと、ドラマ化とかもされたみたいだし、知っている人も多いかもしれませんね。ちなみに「ハチクロ」は私見てませんw
シャフトさんの新作が将棋漫画と聞いて正直不安も大きく、キャラクターの設定(プロ棋士が主人公)を見てもホントにこれで万人が感情移入できるんかよと疑心暗鬼ではありました。
実際見てみるとこれがまた。おもしろい。
プロ棋士という観点でみると、プロ棋士を単に勝負師としてでも特異な集団と異常に誇張するわけでもなく、等身大の人間として描かれていること、その上で、普通のサラリーマン人生でも起こりえるような出世(昇級)や降格(降級)に喜び苦しんでいる棋士の姿を時におもしろく、時に重厚に描いている点が、作者のストーリー立てのうまさを感じます。
主人公は悲壮な、でも誰にもでも起こりそうな過去を持っていて、それでも自暴自棄になるわけでもなく、さりとて上手く世の中に溶け込んで行っているわけでもなく、ただひたすら将棋を追いつづけてきた少年。
面白くて原作も買いそろえてしまいましたが(まだ連載中のため、最新刊まで)、その中にいじめ問題も出てきました。いじめが起きている学級で、いじめを受けている生徒が担任の先生にそのことを伝えるのですが、先生はまさかの「いじめられている側が悪い」的なつれない返答。しかし、読み進めてみるとなぜ先生がこういう対応をしたのか、考えさせられる描写も出てきたりして、しっかり人物設計というものをしているなというのが率直な感想です。
プロ棋士の主人公が、ひょんなことから親のいない美人3姉妹の家に頻繁に出入りするようになるという、どうみてもブッとんだストーリー展開をここまで共感を持てる仕上がりに仕立てた作者はすごいですね。感心しました。
最後にみどころをもうひとつ。オープニング。
主人公の男の子の心情がよく表れた名作のオープニングと感じます。さすがシャフト。
深夜アニメのオープニングなんてだいたい、登場キャラクターをとりあえず全部出して明日に向かって走らせて最後は決めポーズさせる、でだいたい終わるんですけど、この作品は主人公の男の子しか出てきません。
手に届かないところで宝石が光る暗闇を歩き続けるシーンは、「よくこんな場面を想像できるな」と観賞しきり。さすがシャフトさんと感心の一途です。
宣伝になりそうな美人3姉妹も、一切出てきません。スポンサーの顔色をうかがう必要のないNHKだからこそ出来る芸当なのかもしれませんけどね。
作品のテーマは、人が何かを取り戻していく物語だそう。
物語の最初は悲壮感しかなかった主人公ですが、最新の12巻ではボケとツッコミを両方こなす面白いキャラクターに変化しつつあります。加えてプロ棋士会という、サラリーマンとちょっと似ていて異なる世界の新鮮味も楽しめるこの作品。ぜひご覧になってはどうでしょうか。