オイオイSLと電車じゃあ、内燃機関の有無とか煙突とか、動輪だって燃料にいたるまで全部違うやないか、むしろ同じところがレールの幅くらいしかないだろうというツッコミは確かにその通り。
ボクが気になったのは、そういう動力とか技術の変遷によって変わった部分ではなく、やろうと思えば当時でも出来たはずなのにやらなかった、逆に当時していたことをなぜ今やめる必要があったのか、そういう類の違いです。
SLの車両前面に掲出された鉄道のナンバープレート。
参考画像はコレですね。

SLはど真ん前にデカデカと形式車体番号を掲出してます。
それが、今主流の電車には無いんですわ。
ほら。

ほれ。

うりゃ。

ね?ね?着いて無いでしょ?
ちなみに車体番号そのものは、ちゃんと電車にも振られています。大体側面に書いてありますね。
ほれっ

じゃあ、昔の電車はどうだったのか調べてみると、

おおっ付いてる。
時代の変遷が原因かと思ったら、今の電気機関車にもちゃんと前面にプレートがあるのよね。

よく分からなくなってきたので今の電車も洗い直し。
すると、JRの車両にはないけど、私鉄はいくつか書いてあるものもあった。

状況を昔と今、電車と機関車で対比して整理すると、
昔の機関車:〇有り
昔の電車:〇大体有り
今の機関車:〇有り
今の電車:×あまり無い
てなところですかね。こうしてみると、今の電車だけが鉄道車両の歴史から見た時に変わった進化をしている?ということ?
で、ネット検索したんですけど、流石にンな細かいことまで調べてくれた先人さんはいないようで、見当たらない。仮説を立てるしかない。
昔と今を捉えた仮説は比較的立てやすい。昔は今よりも手作りの部分が多く、同じ形式の車両でも個別の車両によって壊れやすさや交換部品の仕様などに微妙な違いがあったりしたので、分かりやすいように掲出していたんじゃないかという説。
難しいのは電車と機関車の違い。
なぜ機関車にはあって、電車にはないんだろう?
電車を利用するのは客だから、客のニーズがあった?ンなアホな。どこの世界に、前面に車両形式番号がある事を咎める客が居る?
分からないので奥の手。
鉄道博物館に行って、学芸員さんに聞いちゃいました。
JR一筋40年の元鉄道マンさんが、ガッチリ答えてくれましたよ。
型式番号の掲出は、その車両を設計、開発した技術者にとっては身分証明書であり勲章のようなもの。「この車両は俺が作ったんだぞ」という、誇りが詰まったものなのだそうです。
だから、車体を設計する技術者が外観のデザインまで決めていた時代は形式車体番号を堂々と掲出することが多かった。
そのうち、車両のデザイン部分はデザイナーへと分業するようになると、そういった文化も消えていったようです。
うーん、真実は想像してたよりも深かったなぁ。
でも、自分の仕事の足跡が見える形で残る、というのはやっぱり魅力ですね。おかげで今日も安心安全高速に通勤出来ます。
古今の技術者さんに、乾杯!