○金子勝

・トランプ氏の大幅減税とインフラ投資の公約を背景にした金利の上昇と円安ドル高が起きているために、生保や銀行などは外国債を買い、日本国債離れが起きている

・日銀は金利の抑え込みに必死。日銀が国債を買わなくなったら国債の金利が暴騰し、金利も急上昇してしまう。金利が1%上昇すると、日本国債の価値は67兆円下がるとの試算(財務省)

・日本政府の国債利払い額は、超低金利の状態でも年約10兆円あるが、金利が急上昇したら、利払い費が急増して財政赤字が急膨張し、財政破綻してしまう。日銀は永遠に国債を買い続けざるをえない状況に追い込まれている

・マイナス金利とは満期よりも高い価格で国債を買い取ること

・日銀の国債の損失は16年に9.6兆円

・日銀は潜在的には債務超過

・不動産融資だけが突出して伸びている。2015年は10.6兆円。バブル末期の水準に

・不動産融資膨張の結果、大都市の商業地だけが地価が上昇。不動産バブル崩壊の懸念

・国債はマイナス金利で安全資産ではなくなった

・2018年前後には日本の不動産バブルと世界経済が調整局面に入る可能性

・景気循環の波がバブルとバブル崩壊の繰り返しとなている(1980年代から8-10年周期)

・2018年イタリア総選挙でEU離脱になれば、リラは暴落し、欧州で金融危機が進む危険性も

 

○高野孟

・安倍政権は、「中国脅威論」に立って、日米軍事同盟強化を基軸として中国の軍事的台頭をけん制しつつ、周辺の国々を巻き込んで、「対中包囲網」を作り上げるという冷戦時代そのままの時代錯誤の戦略設計にしがみつき、世界の潮流から独り大きく取り残されつつある

・フィリピンのドゥテルテ大統領は、周近平主席から領有権問題を棚上げにしてフィリピン漁民の同海域での操業を認める約束と中国からの2.5兆円にのぼる経済支援を得た

・日本は中国憎しの色眼鏡で世界を見ているから目が曇る

 

○田岡俊次

・日本では1960年代から北方領土4島一括返還を求める運動が政府より行われてきたが、これは反ソ連・親米感情を国民に浸透させるのが目的で、実現の可能性はなかった

・51年の日本国との平和条約では、日本が千島列島と南樺太、近接する諸島のすべての権利を放棄することを定めている。吉田首相は千島南部の2島択捉国後両島と述べだが、放棄する千島列島に2島が入っていることを認めた形

・56年の日ソ共同宣言で平和条約締結後に歯舞色丹を引き渡すことで両国が合意したことは2島返還要求には有力な根拠がある

・日本は第二次大戦で台湾・朝鮮・南樺太などを失い、領土は戦前の52%に減った。支配下にあった満州国を含めると80%を失ったが、68年に戦前には思いもよらない世界2位の経済大国になった

・今日の国力の源泉は領土面積ではなく、労働力の質と量、資本、技術、国外市場、経済体制が決定的要素

・戦前、石橋湛山は属領の経営が赤字であることを指摘し、すべてを放棄する「小日本主義」を唱えた。戦後の日本の発展は湛山の論の正しさを証明した

・どの国でも大衆が領土問題で強硬なのは、テリトリー争いが、生存と種の繁殖のための生物の本能であるたえm

・文科省は、学習指導要領で領土問題での自国の主張が正義を教え込むが、これは政府が合理的な対外政策を取ることを妨害し、国民に政権の弱腰を非難させ次世代を紛争に導く結果を招く

・領土の80%を失った日本が大発展をしたのはなぜかを考え、その誇るべき歴史を教えるほうが有益