自民党と創価学会 (集英社新書)/集英社
¥799
Amazon.co.jp

http://booklog.jp/item/1/4087208354



長年、公明党嫌いの佐高信による、創価学会=公明党と自民党、その連立政権批判本。個人的に公明党の知り合いが多いこと承知しておりますが、安倍さんが近い位置にいる「日本会議」と合わせ、与党の政策に大きな影響を与えている団体の一つである創価学会が日本の政治にプラスに働くのかどうかの(批判本であっても)一つの判断材料として読みました。


参議院選挙が始まっていますが、自公連立政権の基盤は盤石で、昨年の安保法制に公明党が賛成したことは記憶に新しいところです。


これについては、佐藤優氏が佐高氏と見解がまったく異なる本を出しています。二人は創価学会・公明党の見解の差異もひとつの原因となって決別したようですが、対談し議論を聞きたいものです。


創価学会と平和主義 (朝日新書)/朝日新聞出版
¥821
Amazon.co.jp
いま、公明党が考えていること (潮新書)/潮出版社
¥820
Amazon.co.jp

参議院一人区で、野党統一候補を自公連立与党は「野合」だと批判する。


確かに、日本の保守層の多くは「反共産主義」。「民共共闘」が野党支持の保守主義者≒反共産主義者たちの一部に受けが悪いことも有り得るかも知れません。


もっともこの共闘が実現したのは、与党の集団的自衛権の限定的行使容認に対する立憲主義への「危機感」を持ったからでしょうけれど、佐高氏は自公連立政権こそが水と油の「野合」であり、自公が連立政権を樹立するに至った経緯を詳しく記載しており、公明党は「戦争の党」であり「反福祉の党」であると断じています。

公明党は自民党と比べると小さな政党ですが、創価学会約830万世帯とも言われる集票力の力は大きく、政治のキャスティングボードを握っています。公明党が変われば日本の政治も大きく変わるかも知れません。しかし、公明党が自民党を与党たらしめている構造は強固です。その歴史についても大枠が理解できた感じです。




以下の読書メモはあくまで創価学会嫌いの佐高氏の見解です。私は対する佐藤優氏の本も読んでいます。


読書メモ↓


・自民党と公明党は連立政権を組んでいるが、1994年に自民党機関誌「自由新報」では激しい公明党及び創価学会批判を行っていた。しかしわずか5年後1999年に連立政権を組んだ。これを野合と呼ばずして何を野合というのか(佐高)


・2006年に首相(第一次)になった安倍晋三は、就任直前に創価学会名誉会長池田大作を極秘に訪ねた


・自公連立を進めたのは旧田中派の小渕だが、宏池会(ハト派)は反対、強力に推進したのは森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三と続くタカ派の清和会。清和会は右翼ファシズム的要素のみで成り立っている関係(佐高)


・藤原弘達は、自民党の「右翼ファシズム的要素」と公明党の「宗教的ファナティックな要素」の間に奇妙な癒着関係ができた


・公明党委員長は池田の操り人形(佐高)


・創価学会の国際組織SGIはフランスではカルト集団の指定を受けている


・いじけた強権体質の安倍晋三がいて、マスコミ統制は暗く執拗になっている


・池田は軍事力を全否定することは現実的ではない、とした


・創価学会の収益事業や固定資産税が把握され、課税されているとは言えない


・公明党を含む非自民の細川政権をつくったとき、後藤田正晴は、小沢は禁じ手を使った、と非難した


・「密会ビデオ問題」をに握られた公明党=創価学会にとって自民党にすがる以外に道はなかった


・理念で自民党と連立したのではなく、理念を捨てて連立した


・浜四津敏子 軍隊に対する根本的な発想の転換が必要。軍隊をなくすべき。「平和のために戦争の準備をせよ」から「平和のために平和の準備をしよう」という方向に転換したい。国連軍から国連警察を組織していくべき。地球の環境保全、核兵器禁止、世界の非武装化もやればできる


・政党は少数派になって亡びるのではなく、原理や理念を失って亡びることを公明党はわかっていない


・公明党は自らお理念や理想を捨てても連立を維持するのか


・藤原弘達は37年前にこう言っていた「自民党の右翼ファシズム的要素、公明党の宗教的ファナイティックな要素の間に奇妙な癒着関係ができ、保守独裁体制を安定化する機能を果たしながら、同時にこれを強力にファッショ的傾向のもっていく起爆剤的役割として働く可能性が非常に多い」

・日本のマスコミは政権側だけに肩を持つ


・タカ派が自由党との連立に走り、それに公明党が参加した


・自民党には国権派と民権派がいる 国権派は市民という言葉を嫌う


・1999年周辺事態法案に賛成した公明党はすでにこの頃から「戦争の党」だった


・今の軽減税率、当時の地域振興券でも、公明党はいつでも平和よりカネ


・野中広務は小泉政権時「公明党は連立政権に入ったときは、対米協力に走りがちな自民党をけん制諌める役割を期待したが、今はこういう役割を放棄していまい、与党でいることに汲々としている」


・自公連立は自民党を変え、公明党を腐敗された


・自社さ(リベラルな政権)よりも自公の方が理念なき連立であり野合。今の自民党は新自由主義という剥き出しの自由主義を推進している


・いまでは、公明党との連立に反対したり、批判することは自民党ではタブーでタブーに触れると創価学会から徹底的に攻撃される


・白川勝彦「自民党と公明党の連立は特殊であり異常。政権党でいたい、という一点にその動機と目的がある」


・後藤田正晴「戦犯容疑で囚われておった人(岸信介)が日本の内閣の首班になるというのはどういうことかという率直な疑問を持った」


・後藤田正晴は自衛隊の海外派遣に反対した


・宇都宮徳馬 


自民党は歴史にいうと二つの流れがある。

民権派①自由民権運動・護憲三派運動・大政翼賛会に参加しない野党的

国権派②自由民権運動は反国家的、普通選挙運動はアカ、戦争中は軍人政治、ファッショを謳歌し、戦後はアメリカ外交に追従するというもの


(佐高)

・国権派 は 岸信介・福田赳夫・中曽根康弘・小泉純一郎・安倍晋三

・民権派 は 石橋湛山・池田勇人・田中角栄・加藤紘一


・ダーティな側面もあったが、田中らの民権派は、政治が担うべき公共を忘れていなかった。国権派は国が公共であるかのようにふるまい、弱肉強食の新自由主義を持ち込んで公共を政治から消した


・後藤田(小泉郵政選挙で)「自民党というのは奥行きのある、入り口の広い政党。党の中に怨念の魂を作るようなやり方、賛成できない」


・久野収「日本が一番危険なのは、日本の保守主義者が、自分が反動と違うのかをはっきり自覚していない」石田博英「保守主義者の要素は人間性の尊重。自由というものを生活信条に置く」


・自民党あ祖父の岸譲りの全体主義者である安倍によって保守の知恵を持った者は隅に追いやられ、安倍とその仲間たちが主流を占めている


・松村謙三は民権派の元祖「議員は給料取りではなく、国民に対する奉仕者」


・中国と国交を開くと思想的に侵略される、と言うたびに「優秀な日本人は外国から思想攻撃されても、たやすく洗脳されるはずがない」「批判のない政治は堕落」(松村)


・イラク特措法による派兵の国会承認で、亀井は欠席、加藤と古賀は棄権し、反対を貫いたが、公明党は賛成にまわった。加藤や古賀よりも公明党が戦争の党であることが明らかに


・藤原「日蓮のすばらしさは鎌倉幕府という権力に対する抵抗にあった。しかし現在の創価学会・公明党の姿勢に権力に対する抵抗の姿勢が本当にあるだろうか」


・創価学会の独特の論理「任免は池田大作会長の意思」


・新聞経営における下半身を創価学会・公明党にがっちりと握られている


・平和の党や弱者の党のお題目をかなぐり捨てた結果、市長選は自公推薦の現職が勝った


・水と油だったはずの自民党と公明党は、融合し始めたかも知れない。それは間違いなく野合であり自民党と公明党双方を腐蝕・変質させている。これでいいのか?