国家のエゴ (朝日新書)/朝日新聞出版
¥778
Amazon.co.jp


http://booklog.jp/item/1/B014UROI2E


・世の中がうまくいっているときは、国民は国家の存在をあまり意識しない。国家はさまざまな形で国民の安全を守り、サービスを提供するが、国家をとりまく状況が変わってくると、国家は自分の生き残りを図る。国家は自分の都合で国民にいろんなことを強制しはじめ、国民は押し切られる


・国家の力がもっともむき出しになり、その力が敵だけでなく私たちにも向かってくるのが戦争


・日本は戦前も戦後も強い国だった。日本は朝鮮・中国・東南アジア諸国に大義名分は何であれ、軍隊を送り戦争をした。戦後は、日本が侵略した国々への賠償外交、円借款、ODAなどをセットでアジア各国に日本企業が進出し、利益をあげ、政治的経済的影響力を及ぼしてきた。その意味で日本は戦前戦後を通じて帝国主義国であり続けている


・帝国主義国とは相手のことを考えずに自分の利益を考えて行動する国


・現在の国際関係は帝国主義的な力関係で成り立っている


・国際社会はルールをつくることができる国(帝国主義国)とそのルールに従わざるを得ない国に二分される 帝国主義国は米・中・EU(独仏)露・英・日本


・現在の主要資本主義国は植民地を求めず、全面戦争を避けようとする


・集団的自衛権行使容認の閣議決定の内容は、実際には集団的自衛権を行使できないよう、縛りがかけられている、政府が想定する危機は、現在の個別的自衛権の範囲内で対応できる


・特定秘密保護法は戦前戦中の機密保護を目的とした法律の系譜にある


・死者との連帯で恐ろしいのは、悠久の大義に身を捧げる気構えを持った人は、他人の命を奪うことに対しての抵抗がほとんどなくなること


・国家や大義といった大いなるものと距離を置いて生きていくための大切なヒントは、社会


・国家が機能しなくても、人間社会は存続できる


・日本にはすでに、戦争するしないを決める国家安全保障会議がある


・国家と賢く付き合う知恵を持つことが必要


・資本主義が高度に発達し、国境を越えてヒト・モノ・カネが移動する社会においてはある種の強制力を伴う利害調整機能を持った国家は必要。つまり国家は必要悪


・国の機能が麻痺しても助け合って暮らしを回復していくために自立性を持った単位は中間団体。それが強くなることで社会全体を強靭にすることができる


・社会と国家がいい意味での緊張関係になるのがよい。国は国で、社会は社会でやっていく


・国家をいったんカッコに入れることで心理的にも距離がつくれる


・安全保障関連法案は成立しても実際に使える法律ではない


・防衛省・自衛隊の本音は、日米安保の極東条項を外し、憲法9条を変え、自衛隊が行動しやすいようにわかりやすい法整備をして欲しいということ


・自衛隊が海外に派遣されるかどうかはアメリカの意向次第


・安倍政権は言葉と知性を信じていない人。力も信じていないニヒリズム(虚無主義)に支配された政権


・日本にとっての抑止力というのは、何かあったときにアメリカが助けに来てくれるかどうかということ


・恒久法を制定すると、理論上は憲法上の制約はなくなるが、軽々に自衛隊は海外に派遣できない


・複雑な中東情勢において日本は余計なことをしないのが最良の選択


・中国は新帝国主義国


・視座は日米同盟に至上の価値をおく安保マフィアと同じになっている


・翁長沖縄県知事は「沖縄系日本人」から「日本系沖縄人」へのアイデンティティシフトの流れを代表する存在


・日韓関係で求められることはお互いが違うのだということを自覚すること


・中国の歴史教科書は日本の明治維新を(日本が植民地にならず近代化を実現した意味で)高く評価している


・ドイツとフランスは歴史的に宿敵同士だったが、二国が共同で歴史教科書を刊行した。日中韓はまだ早い


・現下日本の政治エリートに反知性主義が蔓延している。反知性主義とは、客観性や実証性を軽視もしくは無視して、自らが欲するように世界を理解する態度。政治的判断基準は合理性や客観性ではなく情緒的ことば、個人的関係からなされる