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聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実ー [ 役所広司 ]
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2011年、太平洋戦争開戦70周年に公開された、山本五十六を主人公にした映画。


一部架空の人物が登場していますが、昭和史の研究科の第一人者といっていい半藤一利氏の監修があり、時代背景や戦争の時代考証が事実に則した形で映画に表現されている良心的な作品のひとつではないかと思います。


太平洋戦争がなぜ起こったかをわかりやすく描いてくれています。


山本五十六は、海軍省の要職にある軍人ですが、世界情勢をよくみていました。


山本は鉄と石油の大半を輸入している米国を敵にまわし、実効力の乏しい日独伊三国同盟締結に「腰抜け海軍」と言われようとも海軍の立場として反対し、日本の10倍ある米国との戦争に反対し、仮に開戦がやむを得ない場合でも真珠湾攻撃にあるように短期決戦で一定の戦果をあげた上での講和を強く望んでいました。


戦後70年、無謀な戦争を仕掛け、日本とアジアの市民を巻き込んで最悪の結果になった責任をどうとるのかが問われています。


半藤氏は、昭和史の5つの教訓を挙げています。

①「国民的熱狂をつくってはいけない」

②「危機において、日本人は抽象的な観念論を好み、具体的な方法論に目をつぶる」

③「官僚的秀才による小集団エリート主義の弊害」

④「国際社会のなかの日本の位置を客観的に把握しない」

⑤「事が起こったとき、すぐに成果を求める対症療法的な発想を取る」


戦争に、政治家や軍部は投機的な戦争にのめり込み、国民は戦争に熱狂し、マスコミは客観的事実を捻じ曲げて権力に追従し、市民には戦争を煽ったわけです。


日清日露戦争の勝利、台湾・朝鮮半島の併合、第一次大戦の勝利、日本は明治以降の戦争や領土拡大に負けなしでした。これは幸運すぎた。その勝ちの驕りが国際情勢を見誤り、最悪の選択につながったのでしょう。山本長官の動きは米軍に読まれており、その生死によるシミュレーションまでなされていたと言います。


この教訓を今の日本人は忘れてはいないでしょうか。



山本五十六

「目と耳と心を大きく開いて世界を見よ」