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斉藤環
「努力することは生まれ持った才能のうち」と考える若者が増えている
・努力が足りない、ではなくて努力は才能、と考える
・努力することは個性
・才能の差を埋めるのが努力
・人は他人から評価されたい
・日本人の国民性、努力しても報われない 若者は3人に1人
・21世紀の青少年は、才能や機転によって幸福を掴む物語に惹かれることはあっても、愚直な努力で幸福を掴むような物語には不信任を突き付けている
・汗水たらして働いていれば給与水準も生活水準も右肩上がりだった一時代と、努力を重ねても未来の見通しの不透明な現在では、若者の努力観も、その努力に関連した幸福感も違っていて当然
・最近の若者は「努力」を「才能」だと考えているらしい
・彼らはこの社会にはそれほど大きな期待も展望も持っていない
・自信をはじめとする自己肯定のありようが、ほぼ全面的に他者からの承認に依存しているように見える
・自らの実存を他者からの承認に依拠する限り、若者は慢性的な不安から逃れることはできない
・承認の獲得にはキャラを立てることが欠かせないが、こうしたキャラへのしがみつきは、変化への抵抗をもたらす。つまり承認依存は努力の方向性を現状維持に固定する。それは群生秩序への適応努力として無意識化され、果てしない疲弊と努力への断念につながってしまう
土井隆義
・努力しても報われないと考える若者が増えているのに、他方では幸福感を覚える若者も増えている
・日本人の勤勉さ、その国民性は「努力したら報われる」という心性に支えられてきた
・成長期を終えた日本で、努力の成果を誰もが享受することは難しい
・新しい宿命観の下では、「努力すれば報われる」機会を社会的にはく奪されていることが、当事者には意識されにくい。それを自らの資質のせいだと思い込んでしまう。しかもそのはく奪は今日もますます拡大しつつある
