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井上ひさし
「戦争責任問題は、明治以降みごとな近代化を成し遂げ、戦後の焼け野原から奇跡の経済発展と平和で安全で平等な社会を築き上げてきた日本が、「それでも過ちも犯したんだよ」と自己反省するまたとない材料なのです。過ちを犯したからといって卑屈になる必要はない。過ちを犯さない国家などというものは世界中どこにもないのだから。しかし、過ちを犯さなかったと強弁することは自己欺瞞であり、自らを辱めることでもある」
白井聡
・日本人が「日本人の名誉」「日本の誇り」を声高に言い立てる子どもになってしまったのは、戦後日本が、敗戦を「なかったこと」にし続けてきたことが根本的な要因
・日本の戦後は、敵国から一転、庇護者となった米国に付き従うことによって、平和と繁栄を享受する一方、アジア諸国との和解をなおざりにしてきた
・悪いのは日本だけじゃないのになぜ何度も謝らなければならないのかと、対外的な戦争責任に向き合えない根源には、対内的な責任、でたらめな国策を遂行した指導者の責任を、自分たちの手で裁かなかった事実がある
・ドイツはいまも誤り続けることによって、欧州のリーダーとして認められるようになった
・敗戦の意味を引き受けられず、自己正当化ばかりしていると軽蔑される