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「(江戸時代は)労働は資本主義の賃労働と違って、遊びと分離されておらず、楽しみが含まれていた。そういう非効率なものを排除していったのが(明治以降の)近代化だったわけです」


「(現代は)あらゆる意味づけが解体され、人が生きる意味、根拠まで見失って、ニヒリズム(虚無主義)に直面しているのではありませんか。合理的に働き、合理的に稼ぎ、合理的にモノを買って遊ぶ。稼いで遊び、遊ぶために稼ぐ。それが人生だと。でも人間はいつまでも満足できない。そのうち空しくなる」


「共同社会では無償で支え合ってきたものを、資本主義社会は商品化してしまう」

「資本主義は一人一人を徹底的に切り離して、消費者にする。生きる上でのあらゆる必要を商品化し、依存させ、巨大なシステムに成長してきた」


・資本主義化は貧しさを克服し、衣食住の面で基本的な生存を確保できたが、近代は人間を幸せにすることには失敗した。人間に敵対的な文明になってしまった。


・人が生きていくうえで大事なことは、出会った人とどんな関係を構築できるか。自分が何を得て、どんな人間になっていけるか。そこに人間の一生の意味、生の実質がある。


「人は社会から認められ、許されて生きるものではない。そもそも社会なんて矛盾だらけで、そんな立派なもんじゃない。社会がどうであろうと、自分は生きたい、生きてみせる、そういう意地を持ってほしい」


・自己実現は出世話。高度資本主義に認められたステータスに到達したというだけのこと。自分の個性に従って生きれば誰しも自己は実現される。それに惑わされない、しっかりとした倫理観と堅実な生活感覚をもった民衆像が日本にはある


「人は何のために生きるのかと考えると、何か大きな存在、意義あるものにつながりたくなります。ただ、それは下手するとナチズムや共産主義のように、ある大義のために人間を犠牲にしてしまう危険がある。人の命を燃料にして前に進むものはいけません。その失敗は歴史がすでに証明しています」



・国家に左右されない、依存しない。自分の仲間と豊かで楽しい世界(ビジネスを含め)を作っていく。


・人間は国民国家のなかに仮住まいしている。大家には義理がある。義理は果たさなくてはならないが、本心は別のところに置いておきたいもの