参議院選挙が終わりました。
遅まきながら、参院選の私見です。
予想通りの与党圧勝でいろいろ見えてきたこともあります。
...
はっきりとしたのは、残りの2010年代はこれで自民党中心の政
権が確定し、政権交代の可能性は限りなく0に近くなったというこ
とです。
有権者が経済情勢の好転を感じさせるアベノミクスへの希望的期待
があること、
「ねじれ解消」という前回からの安倍政権時代の参議院選挙から生
じている自公参院過半数割れから首相が一年おきに交代(安倍→福
田→麻生→鳩山→菅→野田→安倍)している現状と民主党政権への
失望と相まって有権者の投票行動が反映されたとすれば安定政権を
求めたこの結果も当然というところなのでしょうか。
ただ、今回の選挙は選挙区においては自公与党よりも野党の方が得
票数が多かったということは、自公政権への、積極的な投票という
よりも野党の共闘の失敗であるとも言えるでしょう。
今回は私は政党よりも各候補者の争点となる重要政策と自分の考え
方が近い人に投票すべき、と申し上げておりました。
「ベテラン」自民党への経済政策への期待があるのでしょうし、「
成熟産業」に従事している私としてはその方が有利な面もあるので
すが、かつての自民党政権が日本の高度成長の終焉とともに、新し
い日本のあり方と政治の立場から提示がしきれていないことにいら
だちを持っているのです。
選挙前、こう申し上げました。
私は日本人が育てるべき政治家の資質は次の三つあると思っていま
す。
1.社会・国・民主政治へのあるべき姿を描く理念を持っているこ
と
2.しっかりした歴史観(近現代史の客観的事実)を持ち、これか
らのアジア時代・米中超大国時代にきちんと対応する視点を持って
いること
3.日本の権力構造(政官業+米)を改革する視点を持っているこ
と
自民党は、敗戦後米国から押し付けられた、とする現憲法を改正す
ることを党是としています。戦前の保守政治の体質(政官業の権力
構造)を温存した形で発足しています。
それに代わるべき野党勢力(社会党、日本新党、民主党、日本維新
の会など)が現時点で政治的に成功を収めていないのは、1.の理
念闘争で内ゲバを起こし、2.にしっかり向き合う政治家の勢力が
弱く、3.官僚、経済界、そして米国(官・財・米)の戦後の権力
構造に本格的なメスを入れることが結果的に出来なかったからなの
ではないでしょうか。
経済面においても、日本の高度成長はすでに終わっててその復活は
難しい。しかし、産業構造改革をしないと、次の成長戦略の実現も
難しい。それで出てきたのは大幅な金融緩和と円安といった既存の
成熟産業への支援であり、偏狭なナショナリズムの台頭、というま
まではいかんのではないでしょうかね。
憲法にしても、新しい時代というのは個人の自由と権利を保障し、
より多様な価値観の共存と公共の福祉の推進を加速させなければな
らないし、そのための改正ならまだしも自民党の憲法改正草案は国
家統制をより強めようとする全般の印象を持たざるを得ないもので
これは国民的議論をした方がいいでしょう。経営者、権力者の端く
れの私にとって都合のいい部分があるだけに、かえって疑問を持た
ざるを得ません。
改憲はいまだハードルが高いわけですが、集団的自衛権の行使を合
憲とする解釈変更に向けて動き出すでしょう。憲法問題は、強い自
民党でも米国の世界戦略に日本の立場を充分示すことが出来ず屈し
てきた歴史でもあるのです。米国の意向に沿った「自主憲法制定」
というのが、日本の保守政治が抱える根本的矛盾であり、そこをど
う安倍政権が表現するかも注目しています。
私は、強い自公政権が、戦後の権力構造(何度も申し上げますが、
官・財・米)にメスを入れて、新しい時代に相応しい日本の生きる
べき道を示してくれることを期待しておりますが、権力者自身がそ
の構造改革をすることは並大抵のことではりません。自民党政権が
勝ったということは、日本の権力構造が根本的に変わらないことを
実質的に意味していますから。
経済情勢を何とかしてほしい、という有権者の切実な思いに押され
、国の理念に関する議論といったところにまで至ってないことは残
念ですが、少なくとも3年間の政治の方向性が決まった以上その動
向をきちんと見ておくことが大事だと思っています。そこで日本と
いう国のあり方を考える国民的議論が高まることを期待しています
。
遅まきながら、参院選の私見です。
予想通りの与党圧勝でいろいろ見えてきたこともあります。
...
はっきりとしたのは、残りの2010年代はこれで自民党中心の政
権が確定し、政権交代の可能性は限りなく0に近くなったというこ
とです。
有権者が経済情勢の好転を感じさせるアベノミクスへの希望的期待
があること、
「ねじれ解消」という前回からの安倍政権時代の参議院選挙から生
じている自公参院過半数割れから首相が一年おきに交代(安倍→福
田→麻生→鳩山→菅→野田→安倍)している現状と民主党政権への
失望と相まって有権者の投票行動が反映されたとすれば安定政権を
求めたこの結果も当然というところなのでしょうか。
ただ、今回の選挙は選挙区においては自公与党よりも野党の方が得
票数が多かったということは、自公政権への、積極的な投票という
よりも野党の共闘の失敗であるとも言えるでしょう。
今回は私は政党よりも各候補者の争点となる重要政策と自分の考え
方が近い人に投票すべき、と申し上げておりました。
「ベテラン」自民党への経済政策への期待があるのでしょうし、「
成熟産業」に従事している私としてはその方が有利な面もあるので
すが、かつての自民党政権が日本の高度成長の終焉とともに、新し
い日本のあり方と政治の立場から提示がしきれていないことにいら
だちを持っているのです。
選挙前、こう申し上げました。
私は日本人が育てるべき政治家の資質は次の三つあると思っていま
す。
1.社会・国・民主政治へのあるべき姿を描く理念を持っているこ
と
2.しっかりした歴史観(近現代史の客観的事実)を持ち、これか
らのアジア時代・米中超大国時代にきちんと対応する視点を持って
いること
3.日本の権力構造(政官業+米)を改革する視点を持っているこ
と
自民党は、敗戦後米国から押し付けられた、とする現憲法を改正す
ることを党是としています。戦前の保守政治の体質(政官業の権力
構造)を温存した形で発足しています。
それに代わるべき野党勢力(社会党、日本新党、民主党、日本維新
の会など)が現時点で政治的に成功を収めていないのは、1.の理
念闘争で内ゲバを起こし、2.にしっかり向き合う政治家の勢力が
弱く、3.官僚、経済界、そして米国(官・財・米)の戦後の権力
構造に本格的なメスを入れることが結果的に出来なかったからなの
ではないでしょうか。
経済面においても、日本の高度成長はすでに終わっててその復活は
難しい。しかし、産業構造改革をしないと、次の成長戦略の実現も
難しい。それで出てきたのは大幅な金融緩和と円安といった既存の
成熟産業への支援であり、偏狭なナショナリズムの台頭、というま
まではいかんのではないでしょうかね。
憲法にしても、新しい時代というのは個人の自由と権利を保障し、
より多様な価値観の共存と公共の福祉の推進を加速させなければな
らないし、そのための改正ならまだしも自民党の憲法改正草案は国
家統制をより強めようとする全般の印象を持たざるを得ないもので
これは国民的議論をした方がいいでしょう。経営者、権力者の端く
れの私にとって都合のいい部分があるだけに、かえって疑問を持た
ざるを得ません。
改憲はいまだハードルが高いわけですが、集団的自衛権の行使を合
憲とする解釈変更に向けて動き出すでしょう。憲法問題は、強い自
民党でも米国の世界戦略に日本の立場を充分示すことが出来ず屈し
てきた歴史でもあるのです。米国の意向に沿った「自主憲法制定」
というのが、日本の保守政治が抱える根本的矛盾であり、そこをど
う安倍政権が表現するかも注目しています。
私は、強い自公政権が、戦後の権力構造(何度も申し上げますが、
官・財・米)にメスを入れて、新しい時代に相応しい日本の生きる
べき道を示してくれることを期待しておりますが、権力者自身がそ
の構造改革をすることは並大抵のことではりません。自民党政権が
勝ったということは、日本の権力構造が根本的に変わらないことを
実質的に意味していますから。
経済情勢を何とかしてほしい、という有権者の切実な思いに押され
、国の理念に関する議論といったところにまで至ってないことは残
念ですが、少なくとも3年間の政治の方向性が決まった以上その動
向をきちんと見ておくことが大事だと思っています。そこで日本と
いう国のあり方を考える国民的議論が高まることを期待しています
。
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