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「そもそも多くの日本人の主観において、日本は戦争に敗けたのではない。戦争は終わったのです。


戦後は戦前の権力構造をかなりの程度温存したまま、自らを容認してくれるアメリカに対しては臣従し、侵略した近隣諸国との友好関係はカネで買うことによって、平和と繁栄を享受してきた時代です。


戦後をなかったことにしていることが、今もなお日本政治や社会のありようを規定している。これを永続敗戦と呼んでいます」


「アメリカに臣従する一方で、敗戦を観念的に否定してきました。対内的な戦争責任があいまい化されたからこそ、対外的な処理もおかしなことになったのです」


「中国や韓国に対する挑発的なポーズは、対米従属状態にあることによって生じている「主権の欲求不満」状態を埋め合わせるための代償行為です」


「左派の最大のスローガンは「平和憲法を守れ」でした。「平和がいいよね」という単純な心情のみ訴えかけて大衆動員をはかろうという、政治的には稚拙なキャンペーンになってしまいました」


「繁栄が昔日のものとなる中で急激に平和も脅かされつつあるという事実は、戦後社会に根付いたといわれてきた平和の理念が、実は日本の経済的勝利に裏付けされていたに過ぎなかったことを露呈させています。左派はこのことに薄々気づいていながら、真正面から向き合おうとはしてこなかったと思います」


「安倍政権は対米従属の性格が強いにもかかわらず、オバマ政権から冷淡な対応を受けているのは歴史認識問題が大きい。「価値を共有する対等な同盟関係」は日本側の勝手な思い込みに過ぎなかった。対米従属が危うくなっているということは、端的に「戦後の終わり」を意味します」


「日本社会は、欧米列強というか近代世界そのものに対する被害者意識がどこかにあるのではないでしょうか」


「日本の自称愛国者たちは、広島と長崎に原爆を落とされたことを恥ずかしいと感じている節はない。被爆の経験は、そのような最悪の事態を招来するような恥ずかしい政府しか我々が持ち得なかったことを端的に示しているはずなのに、です。原発事故も政官財学が一体となって築き上げた安全神話が崩壊したのですから、まさに恥辱の経験です。仕方ないで万事をやり過ごそうとする、私たちの知的・倫理的怠惰がこういう恥ずかしい状況を生んでいる。恥の中に生き続けることを拒否すべきです。」


うーん、なかなか鋭い!