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副島隆彦氏の時事論評は的を得ているので掲載。


「日本の保守派と言われる人たちがいかに10年以上前に流行った「自由主義史観」のように、「日本の戦争は悪くなかったんだ」と幾ら言っても、このヤルタ・ポツダム体制こそは、単にアメリカだけではなく、その他の連合国が決めた戦後秩序なのであり、すなわり、これが、今の world values ワールド・ヴァリューズ (世界普遍価値)です。これに逆らうと、再び戦争に向かうことになる。安倍晋三自民党総裁が、危険なのは、このことに気づいていないからだ。」

「松岡洋佑(まつおかようすけ)外務大臣が、昭和天皇が、待て、待て、と言ったのに聞かなかったのだ。そういうことを、あんなちっぽけな尖閣諸島を守るためだけに日本国民はまた繰り返すのですか。中国と戦争をしてでも尖閣諸島を守りぬくべきだというような石原慎太郎都知事のような、偏狭な考え方が国益(ナショナル・インタレスト)であるわけがないのです。」


「ヒラリーが率いるアメリカ国務省は、”pivot to Asia” (ピボット・トゥ・エイシア)、「軸足をアジアに移す」の大方針転換を決めて、アジア・太平洋での軍事衝突までを視野に入れた行動に出ている。その主眼は、日本を中国にぶつけさせる、という戦略である。私たちは、このヒラリーの魔の手に乗ってはいけない。」

「日本を含めて、現在の世界体制は、国際連合( United Nations(ユナイテッド・ネーシヨンズ) 本当は「連合諸国」と訳さなければいけない。その理由はあとで書く)を中心にできている。連合諸国(アライド・パワーズ)(その軍事部門を連合軍と言う)が、敗戦国である日本とドイツ(とイタリア)を〝処分〟してできあがったのが今の世界体制である。このことを私たちは認めながら生きている。だから、今の国際社会とはヤルタ=ポツダム体制のことである。」


「日本政府(外務省)も、これだけの争いになってようやくハッと気づいたようだ。だから実効支配というコトバを、もう積極的には使わない。国際社会(世界)に向かって、「尖閣は実効支配していますから」では説明にならない。居直っているとしか思われない。みっともないったらありゃしない、である。野田首相は、よくもまあ国連総会(9月26日)で「国際社会の法と正義に訴える」と言えたものだ。「国際社会」とは何か、が分かっていない。国際社会とは「戦後の世界体制」のことであり、「ヤルタ=ポツダム体制」のことなのだ。」

「だから何としても話し合いをして、日本の主張と中国の主張を闘わせながら、折り合いをつけなければならない。何があっても話し合いで決着するべきだ。この海域の共同管理、共同開発で折り合うべきだ。アジア人どうしで、また騙されて、戦争をすることになったらどうするのだ。「アジア人どうし戦わず」は、長年の私の血の叫びだ。」

歴史の本質、国際関係の本質を見る思いです。

自国の常識を諸外国に向かって主張することとその温度差や認識の違いを知ること、

時代が変われど、戦後の世界構造が変わってない部分が多い。

話し合いしながら、アジア人同士争わず、米国とどう対峙していくか、そして国際世論を味方につけるという認識としたたかな行動力を持つ政治家に出て来て欲しいものです。