モバゲーで有名な、ディー・エヌ・エーの南場智子社長が突然退任し、平取締役になりました。
氏が1999年に創業したディー・エヌ・エーは、東証一部に上場し、
2010年の連結売上高1,127億円、経常利益562億円というオバケみたいな超優良会社です。
その退任の理由と言うのが「病気の夫の看病」というのですからオドロキです。
氏のご主人は、コンサルタント会社勤務時代の同僚。
それぞれ経営のプロとして、別々の道を歩みつつ家庭ではパートナーというスーパー夫婦だったのでしょうか?
理由そのものは珍しいものではありませんが、
女性オーナー創業者で優良上場企業の社長という立場が立場ですから、お聞きした範囲ではその潔さに感心しました。
退任の理由に氏は「人生にかけて成し遂げたいことは夫を救うこと」と答えたそうです。
それも情緒的な理由ではなかったそうな。
氏が社長だったころ、幹部から
「会社を社長のマイカンパニーにしたいのか?公器にしたいのか?決めてほしい」
と尋ねられたことがあったそうです。
氏は「経営者個人の人生の浮き沈みとは別に、隆々と成長すべきだ」と
自分の器より会社を大きくしたいと考え、マイカンパニーでは限界があるから、会社を自分の人生と切り離し、公器として成長させる道を選んだそうです。
それから、権限移譲を進め、たまたま「夫の病気」という「最優先事項」が降りかかったことを理由に退任を決断したということです。
これからは、主婦業を中心に夫の看病に努め、それ以外の時間に仕事をやっていくのだそうです。
これは美談だし、生業→家業→企業→事業と辿るオーナー会社の成長の過程の模範的なケースだと思われますが、現実的な問題からすれば、この会社は登録者がもう頭打ちで日本市場での成長力はこのままでは鈍化することが必至です。
また、携帯ゲームの世界は、性犯罪など犯罪の温床となる問題もありますし、ディー・エヌ・エーのお客様の幸せの為に役立っているかは不透明な部分も構造的にありそうです。
成功することより、成功し続けることが難しいですし、いずれは若い他の人にバトンタッチしないといけないのですから、そういう意味でこの時期の退任は、結果的にベストタイミングと後になって評価されるかも知れませんね。
