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仙谷由人官房長官が参院予算委員会で、自衛隊について「暴力装置 」と述べました。



この発言は、自衛隊を統括する政府要人としては不適切であるけれども、

軍隊の歴史からすれば物事の本質をとらえている発言だと思います。



なぜか?



自衛隊は軍隊か?と考えると日本国憲法では「軍は保持しない」を規定されているけれども、国防のための専守防衛に徹する組織として必要とされた実質的な軍事組織に他なりません。これは未だに見解がわかれていますけど。


日本は民主主義の国だから、国民の選挙によって選ばれた多数派の与党が国家機構を運営するのだから、政府は国民から権限を委託されている立場にあります。そうであれば確かに不適切。


一方、「軍隊は暴力装置」は歴史の本質をとらえています。


SF小説の世界で申し訳ないのですが、歴史に詳しい田中芳樹の未来小説「銀河英雄伝説」で、「軍人」のヤンウェンリーに語らせているところは、


「軍隊は暴力機関であり、暴力には二種類あるってことだ。支配し抑圧するための暴力と、解放の手段の暴力だ。国家の軍隊というやつは、、、、、本質的に前者の組織なんだ。残念なことだが、歴史がそれを証明している。」
「権力者と市民が対立したとき、軍隊が市民の味方をした例は少ない。それどころか、過去、いくつもの国で、軍隊そのものが権力機構と化し、暴力的に民衆を支配さえしてきた。」


この論もっともだと思うのです。


歴史的に主権者が、国王から国民に移った経緯はありますが、本質的には「軍隊は暴力装置」です。

文民統制にしても、軍人が軍隊という暴力装置を背景に政治を行って失敗した(戦争や民主主義の破壊)歴史的反省に基づくものです。


ということは、


仙谷氏の本意は、「自衛隊員(軍人)への、そして自分が持っている歴史の本質に対する認識」を求めたものだということが言えそうです。

自民党谷垣総裁も革命勢力や左翼ならそう思うだろう、とその点全体の経緯を解って批判されています。何せ、仙谷由人さんと自民党谷垣総裁は、東大法学部の同期生で、お互いよく知っているはずだから(^_^;)


別に私ゃ革命勢力や左翼ではないけどね(笑)

でも、難しいなと思うのは

物事の本質を捉えているから正しいんだ、と言って本音を漏らすことが立場上必ずしも適切ではない、ということなんでしょうね。