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朝日新聞記事より。以下転送します。-----
世界の家計が持っている金融資産は、2009年末に前年よりも11.5%増えて111.5兆ドル(1京260兆円)となり、米金融危機前の07年と同じ水準まで回復したことが、米コンサルティング大手のボストンコンサルティンググループ(BCG)の調査でわかった。株式市場の急回復が主な要因だ。
金融資産は預金や株式、債券など。土地は含まれない。
成長が著しかったのは、日本を除くアジアで、家計の金融資産は前年より22%増の17.1兆ドル(1570兆円)となった。日本は3%増の14.9兆ドル(1370兆円)にとどまり、07年の15.1兆ドル(1390兆円)に届かなかった。最も富が多いのは欧州。ギリシャの財政危機をきっかけとした欧州の経済不安前のデータだが、8%増の37.1兆ドル(3410兆円)だった。北米は15%増の35.1兆ドル(3230兆円)。
金融資産100万ドル(9200万円)以上を持つ富裕層は、全世界で前年より14%増えて1120万世帯になった。富裕層は全世帯の0.8%に過ぎないが、資産総額の38%(前年は36%)を握り、BCGは「富の集中が少しずつ進んでいる」としている。
富裕層を最も多く抱えているのは米国で471万世帯。次いで日本123万世帯、中国67万世帯、英国48万世帯、ドイツ43万世帯。
日本の富裕層の世帯数は前年より6%増えた。全世帯に占める富裕層の割合は2.5%で、全資産の2割を持っている。
全世帯に占める富裕層の割合は、シンガポールが11.4%で最も大きい。これに香港8.8%、スイス8.4%、クウェート8.2%と続く。金融に力を入れる欧州やアジアの国や地域、中東の産油国が目立っている。
BCGは「今後5年間、世界平均で年6%のペースで金融資産が膨らむだろう。とくに日本を除くアジアは、平均の2倍のスピードで富を増やしていく」とみている。
-----転送終わり。
この記事で重要なのは、億万長者といわれるわずか0.8%の世帯が世界の資産の38%を占めているという点。
日本は、全世帯の2.5%を占める123万世帯の億万長者が全資産の20%を持っています。
ここで、問題なのは、資本主義社会の中で富の偏在がやはり進んでいること。
日本および日本人が、金融を重視する世界的潮流から取り残され、相対的に資産運用に対する効率が著しく悪くしなっているのではないか、ということです。
一昨年の金融危機がマネーゲームに対する一種の反省を生んだことは事実ですし、これをきっかけに少しでも金融資本主義がいい意味で変質すればいいと思っていたのですが、いったん生まれた金融技術は益々力を持って、それに劣る日本は益々、製造業などの実業分野へのダメージを受けている印象があります。
必要な分野、成長分野に投資してお金を運用することは大事なことだと思います。
でも、日本では全世帯の約2割が貯蓄0の世帯だと聞いています。
富の偏在を是正することは並大抵のことではありません。
それを調節するのが税制であり、政治の役割です。
人間は平等とは言いながら
権力者や富裕層は、それだけ社会に対する責任や義務が相対的に大きくなるのでしょう。
弱者の論理だけでは事実は大事だし是正は必要だけど発展性に乏しい。
強者の論理をふりかざることは、それこそ鈍感だと言われましょう。