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ブログをやっていて、嫌がられることを承知で、書かないわけにはいきません。
「鳩山首相」辞任のニュース。
2月5日の拙ブログ「鳩山首相考」 で
鳩山首相は
「育ちの良さは、人柄の良さに通じています。人格にマイナスを及ぼすハングリー精神やコンプレックスを首相がお持ちで無いとすればその心がきれいなのは自明です。あちらにもこちらにも相手を気遣い、偉ぶらず、優しい心の持ち主。「人に嫌われたくない八方美人な性格だ」と言われてしまいます。」
と書きました。
今回の事件は、
「ほんとうのいい人とは何か」
「ほんとうの優しさとは何か」
「現実を知って、どう理想を実現するのか」
といったことを考えさせられます。
鳩山首相は、近年でまれに見る「理想を持った優しくいい人」だったように思えます。(直接お会いしておりませんから、違った見方があるかも知れませんが)それが今回の致命傷となり、
「理想を持っていたけれども、その実現する決断力実行力に乏しく、優しくいい人だったが故に、自らの実現困難な公約してしまったことで退陣に追い込まれた」のではないかと思います。
田中真紀子・衆院議員は
「鳩山首相は理想を高く掲げていたが、理想と現実は違う。 実現のための人脈と組織もなく、動かし方も知らなかった」と評しました。その通りだと思います。
また、氏が辞任する原因として挙げたふたつのこと、
一つ目の「政治と金」の問題については、政治資金規正法上あるいは税法上の法違反は問題が大きいのだけれど、お母様のお金は税引き後のものであり、資金の流れがはっきりしていること、特定の人に便宜を図ったものではないことを考えると倫理的な意味での責任問題としては、他の政治家のスキャンダルと比べると小さいと見ます。
クリーンかダーティかはもちろん前者がいいに決まっています。けれども、それだけで判断すべきものでもありません。物事の重要度や本質を理解する判断材料をジャーナリズムが十分私たちに提供しているとは思えません。
二つ目の「普天間問題」については、安全保障のあり方、日米安保のあり方、外交の継続性といったどうしても時間をかけて根回しが必要な問題を、国外・県外という「場所」と「合意」、そして「決着期限」が論点の中心になってしまい、ハードルの高い公約を果たせないことが起こるべくして起こったことです。ただ、沖縄普天間問題の内容は今回の「事件」により、大きく取り上げられることで国民の関心を喚起したことは意義があったものと思われます。
とはいいながらも、
結果がほとんど同じでもプロセスのまずさがあったり、期待させておいて期待外れだったとなったことは
政治としては大きなマイナスでした。
昨年の鳩山首相誕生の元となった、「政権交代」は「自民党的なるもの」すばわち、大企業・官僚・一部特定の業界といった政官業の癒着構造、そして米国への追従関係に対する飽きと否定からきたものでした。それに対する回答は民主党だけでなく政権奪回を目指す自民党も求められています。
今回の事件は、そういった諸問題に対する議論がないままになってしまったことがとても残念です。
まだ、理解しきれてはおりませんが、鳩山氏が強調した「新しい公共」の概念はもっと深化されてしかるべきでしょう。
今回を契機として、
与野党が政権交代の意義と意味を今一度それぞれの立場で問い直し、政策だけでなく、国のかたちづくりといった理念面(憲法・安全保障など)の議論をすることで、民主対自民、日米安保といった固定観念を打ち破るきっけかになって欲しいと思います。時間は短いですが、その議論の当面の決着を参議院選挙で意思表示をするための機会を与えていただきたいものです。