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最近、山崎豊子の作品がリメイクされたり映画化されたりしています。
彼女の作品が人気があるのは、
取材を調査を徹底的にやって物語にリアリティをもたせていること。
その上で人間ドラマしての質の高い作品として仕上がっているからだと推察しています。
でも、フィクションといっても取材の過程から、限りなくノンフィクションに近い作品であるだけに、実在のモデルの企業団体や人間にとって不利益を被った被害者がいることも事実です。
その面で問題点もあるわけですが、一般市民のひとりとしては、社会や企業の実態を知る方法としてノンフィクション作品に触れる方法もあれば、ノンフィクションに近いフィクションの作品が、かえってその本質を突いたもので気づかされることもあって、共感を呼ぶこともあるのです。
社会的影響を配慮した上で完成度の高いフィクションは、それが直接的ではなく間接的であっても
物事の問題点や作者の訴えたいことを受け取って、それを改善の方向に向かわせる力になりうるんだ、
ということを氏の作品からは気づかされます。
最近の例としては
「華麗なる一族」=神戸銀行と山陽特殊鋼
「不毛地帯」=伊藤忠商事と瀬島龍三
「沈まぬ太陽」=日本航空
がモデルであることは、作品に直接触れられていなくてもはっきりしているわけで、
表と裏の歴史を知るきっかけとなるわけです。
これらがすべてハッピーエンドになっていないことが物語の質を深くしていると思います。
歴史に学ぶことは、過去の人間ドラマという断面だけとってみても必ず役に立ちます。
その腹黒さやしたたかさを否定できないところと、王道を歩まねばならないところ。
そういった矛盾さと理不尽さが社会であり歴史であり人間の本質なのですから。