ヒューマンエラーを防ぐ知恵」のを読みました。その感想です。

ヒューマンエラーの定義は「事故のきっかけとなる人間のまち
がい」のことだそうですが、これは私たちの業務にとって極め
て奥深く深刻な問題です。

取引先の社長とのお話で、この会社は品質管理面の些細なミスが返品等の深刻な損失を招いた事例をもとに、

「問題が発生してしまったことは済んだことだから仕方ありません。だが、経営者としてすべきことは今後ミスや事故を起さないための解決策を示し、示させなければなりません。それだけではなく、全体をチェックし、他の部署や同様のケースがないかチェックし、問題を未然に防ぐことも重要です。ミスや事故は必ず発生する。要は起こったことに対してきちんとした措置を経営者自らが取っているかどうかです」

とおっしゃいました。
「事故は、人間が異常に気づいたときはすでに手遅れである罠によって発生する」とあります。起さない工夫をしても事故はおきてしまうものです。

昔は機械の問題で事故が起こりましたが今は機械を使う人間と人間自体の間違いにより事故が起こるということはそこで仕事をしている人間の気持ちがどうであったか、ということに尽きます。

その解決のヒントが本書にいくつか現れております。この言葉のひとつは「逆命利君」です。トップに反対されてもかけるべき手間やコストを掛けるべきだというスタッフ管理職が欲しいですね。

もうひとつ似た事例で医学の倫理規定「ヒポクラテスの誓い」という言葉もあります。「知りながら害をなすな」=「自分の行為が他人に害をなすと知ったなら、たとえ上司の命令であってもそれを行ってはならない」トップにモノを言える社風が必要です。

もうひとつのヒントは事故防止のカギは「情報共有」であり「人の和をつくる」ことといいます。人間関係の良い職場ならば事故が起こる確率は低く、結果的に利益に繋がるということでしょう。

この書を読んで「よい会社」とは利益の上がる会社=事故の少ない会社ですが、そうために「会社を構成する社員が安全を第一に意識するために、その会社が社員各々にとって働きやすい環境を整えているか」ということになります。「安全に気をつけなければならない」と社員が思う社風。問題が起こったことを責任追及せずに今後の改善に繋げる会社でなければならないと思います。

その環境を整えることは経営者にすべての責任があり、その環境を整えながら自主性に任せて管理職は経営者的見地、スタッフは管理職的見地を学び成長する会社にしてゆかねばならないことを強く感じた次第です。