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海外渡航中に読んだ本の感想を。

年収崩壊―格差時代に生き残るための「お金サバイバル術」という本。

著者の森永卓郎氏は経済アナリストですが、分かり易い内容の本です。
難しいことをわかりやすく出来る人は本当に能力のある人です。
学者や評論家って「俺は知ってるぞ」的なことを言ってしまうのですが、
知識をひけらかしたり、知ったかぶりをすることは避けたいものですね。

さて、氏は格差社会の到来を予測し、その問題点と生き残る方法を提示してきましたがそのスピードがますます速くなっているいくつかの事実とデータを示しています。

・現在の日本は年収120万円の非正規社員が働く人の1/3を占めている
・日本の貧困率は米国に次ぐ高さである(OECDによる中流家庭の半分以下の収入層を貧困層と定義)
・30代前半の男性の非婚率は49.4%(2005国政調査)であり、所得格差が結婚を難しくしている
・結婚してからの最大のコストは最低4000万円といわれる子育て費用である

・少子化が進んだ理由は二つの家族革命である
 ひとつは豊かなライフサイクルを志向するため子どもを産む人数が減ったこと。
 ふたつめは非婚率の増加である。
・少子化によるメリットは住宅問題や就労問題が改善されるが、問題は年金問題
・貯蓄0の家庭は22.9%(2006年)と10年前の3倍近くに
・2000年から企業の動向は人件費を抑える方向をはっきりとさせている
 雇用者報酬が減少しているが、営業余剰はそれ以上に増加しているから

・構造改革で起こったことは大企業が従業員を非正規社員に置き換え、下請企業への発注単価を引き下げ、利益を増やしその利益を役員報酬や株主配当を増やした

・働き方はアメリカ型(競争市場で勝ち抜くために必死で働く)とヨーロッパ型(福祉社会で適度にゆったり働く)に分かれるが日本は今の格差型アメリカ型から裕福でやくてもゆったりできるヨーロッパ型にシフトすべき

・日本の富豪は親からの遺産を受け継いだ者か事業に成功した者か「お金に働かせて稼いだ」投資家である。
・これからの不安な時代、働いて稼いだお金の価値を守るために資産運用しなければならない
・借金大国の通貨米ドルは暴落のリスクをはらんでいる
・今は勝ち組になるのは困難。負け組でも見栄を張らず質素に幸せな人生を歩め
・保険はとりあえず短期の定額保険でつないでおいて、あとで終身保険などの長期保険に切り替えるのがよい(目安は予定利率2%)

・節約して質素に生きるのが貧しいことではない精神的に豊かであるべき

・そこそこ稼いでほどほどに生き、熱中するものをもつことが幸せの第一歩

氏によれば現在の資本主義社会のなかで圧倒的多数の勤労者にとって厳しい時代が続くことは間違いないのでそれを前提として生活の在り方、仕事についての考え方を考えよと説いています。

その中で経営者の最低限の役割は会社を潰さないことに尽きます。だからこそ会社は環境の変化に対応できる人の集団でなければならないと思います。