気がつくと 4か月もの間
紙の本を1冊も読んでなかった
思えば 年明けからけっこう
突っ走ってきたようなので
世間並みにGWは休もうか~
ということになり
蔵書の中では敬遠ぎみだった
アメリカ文学を手に取ることに
しかし…
ユダヤ系作家 ソール・ベローの
『雨の王ヘンダソン』を読み返すと
前衛的すぎて なんか無理ィ~
主人公が愛してやまない後妻
リリーとのなれそめ描写が
みずみずしくて良いのですが
その部分は冒頭50Pにも満たなくて
その後は「もう勝手にして」と
サジを投げてしまうような
理解しがたい世界観が延々続きますの
つらすぎて私はもうイヤ
集英社文学全集で 同時収録の
女流作家ユードラ・ウェルティによる
『デルタの結婚式』も
今回初めて読んでみましたが
同じアメリカ南部といっても
『風と共に去りぬ』とはえらく違い
登場人物がムダに多すぎて
集中力が持続できず
東大の英文科を出た人が
訳しているのですが
(大正生まれだから さすがに故人だらう)
その方自身 読み込んだのだろうか?
「ここが面白いから 目立たせよう」とか
「この場面がいちばん好き」とかが
さみしいほど伝わってこなくて
ダプニーとトロイという
若い男女の結婚式に向けて
物語が展開していきますから
まったく筋がない「年代記風」
でもないと思うんですよねえ
でも軸といえる出来事もキャラもなく
ぶっちゃけ 地味すぎて退屈
南部名家の娘であるダプニーが
まあ生まれながらのお嬢様なので
料理などは使用人がやるんですが
夫になるトロイのために
ケーキを焼いてみたところ
「ひまし油のような味」で
そこだけ少し面白かったです
ダプニーの家の管理人だったトロイは
彼女を愛しているのでしょうが
今回の結婚で 地位が上がるので
周囲からも色々取りざたされて
いわば「ムコ養子」的な
ちょいとツラい立場なのに
ひまし油のような味だったと
彼女に率直に伝え
ケーキを焼き直してもらうとのことで
「彼女ならきっと作り直してくれる」
という信頼もすばらしいのですが
長い目で見ると 何も言わずに済ますより
そのほうがいいと思うんですよね
無言で耐えるのが習い性の日本人とは
かなり違う!と あっぱれな感じですし
偶然 『現代』という時代にも合ってる
ここで本題のヘミングウェイですが
もお~本当に何なんでしょ!?
私は過去にも
この人にしてやられた事があって
『日はまた昇る』という
スペイン舞台の作品を読んだとき
異国情緒やら『失われた世代』と言われる
退廃的な人々の描写などが惜しいだけに
読後感が納得できなくて
2~3回読んでしまった事があります
それで納得できないストーリーまでが
変わるワケじゃないのにね
レビュー書いた人たちも
口をそろえて言ってる事ですが
ヘミングウェイ作品って 展開が気になり
息もつかずに読み進められてしまい
駄文だと読むのがツライから
それなりにすぐれた文章なのでしょうし
私が敬愛する黒岩重伍さんもなんと
この本を紹介するリーフレットで
『勇気と虚無の交錯』と
絶賛しておられます
黒岩氏は リルケもお好きだったようで
そこにもドン引きしてしまった私
そっかぁ リルケねえ…
大詩人だとは思うケド
蔵書の中で いつまでも
手がつかない組なので
今回読んだ ヘミングウェイ作品は
『武器よさらば』でした
第一次世界大戦中のイタリアが舞台で
ハードボイルドな描写の中でも
キャサリンという恋人が
まあまあわかりやすい前時代の典型だし
最初はさほど好きでもなかったのに
主人公の男性はどんどんハマっていって
戦争で人を殺したり
致命的でないけど そこそこのケガを負って
勲章もらって除隊になる駆引きとか
(それも普通に難しいですよね!?)
不毛なことに時間を費やすんじゃなく
それこそ武器を捨てて
大義を捨てて 戦線を離脱して
個々の人生に戻ろうよというのは
すごく共感できますし
すごく良かったのに まさかの結末
それが黒岩氏いうところの虚無なのですね
300Pを怒涛の勢いで読んだあとに
その虚無ほしくなかったわ~~
この後も世界的に有名な短編
『老人の海』やら
『キリマンジャロの雪』が
控えているのですが
ラストが全部その虚無だったら
かなりイヤよ~~
ヘミングウェイの写真を見ても
掘りの深い顔立ちが
日焼けしすぎて どす黒いのですが
「日本人にはおらん」とも
言い切れぬ風貌で
フツーにちゃぶ台返ししてそう
私が知る作家…どころか
全人類の中でも
1~2位を争う男性性の強さ
全くファンではないのですが
怖いもの見たさから 誕生日を調べたら
私と同じ『ペガサス』でした
そおいえば 少しタイプが違うけど
同じく天才と言われたマルローとも
(フランスの作家です)
なにか通じるものがあります
私の苦手なオジサンたち
明日も苦手なオジサンのひとり
フォークナーを読む予定です
またここで愚痴るかもですが
ミッチェル女史の『風と共に去りぬ』
M・オルコット様の『若草物語』
児童文学のバーネット女史とかも
確かアメリカだったはず
この系統はすごく得意なのですがねぇ
まあスタインベックも期待できそう