民法条文研究~期限~ | やぱたんのブログ

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専門学校で20年超講師をしている行政書士・宅地建物取引士です。
また公務員対策として経済・財政、民法、憲法、行政法分野も担当しております。
宅建試験情報、行政書士試験情報、公務員試験情報をはじめ、経済・財政分野の記事も書いてまいります。

 

  権利関係 第4回

 

 7)期限とは何ですか

 

(期限の到来の効果)
第135条 法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまで、これを請求することができない。
2 法律行為に終期を付したときは、その法律行為の効力は、期限が到来した時に消滅する。

一.135条

✅期限というのは、契約の効力を発生させるに当たって、将来実現することが確実であることにかからせる特約を言います。

⇒確定期限:効力の発生時期が明確にされるもの(将来の日付など)

⇒不確定期限:効力の発生時期が不明確なもの(人の死や出世払いなど)

※期限の定めをしない契約もある。

 

(期限の利益及びその放棄)
第136条 期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。
2 期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。

二.136条

✅1項 期限というのは「債務者がその時までに履行すればよい」と考えるのが社会通念でしょうから、一律に期限というのは反証の無い限り、債務者が履行しなくていい時期と考えればいいでしょう。

✅2項 とはいえ、債務者としても例えば借金していてお金が用意できたらさっさと返済したいですね。毎月月末に住宅ローンを払っていて、ある年、年末ジャンボの一等前後賞ともに当たり、数億円手にしたら「さっさと一括返済」となります。それが2項本文です。債務者自ら期限の利益を放棄することは問題ありません。ただし、ローン残債を一括して払うから「約定された利息のカットを求める」ことはできないとするのが民法の原則です。(実際には利息カットや手数料を別途とる特約が多いですね)

 

(期限の利益の喪失)
第137条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

三.137条

✅137条の1号から3号に掲げる事項が生じた場合、債務者は時効の利益を主張できず、ただちに履行する必要が生じます。

なお、破産法103条3項があるため、137条1号は事実上規定の意味がないです。

破産法103条(破産債権者の手続参加)

3 破産債権が期限付債権でその期限が破産手続開始後に到来すべきものであるときは、その破産債権は、破産手続開始の時において弁済期が到来したものとみなす。