民法条文研究~条件~ | やぱたんのブログ

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専門学校で20年超講師をしている行政書士・宅地建物取引士です。
また公務員対策として経済・財政、民法、憲法、行政法分野も担当しております。
宅建試験情報、行政書士試験情報、公務員試験情報をはじめ、経済・財政分野の記事も書いてまいります。

 

  権利関係 第2回

 

 5)条件とは何ですか

 

(条件が成就した場合の効果)
第127条 停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
2 解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。
3 当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。

一.127条

✅条件というのは契約の効力を発生させたり、消滅させるための特約のことです。

 また、条件は「将来発生する可能性が確実ではない事実」にかからせます。試験合格や成績上昇、許認可が下りるなどの状態に効力の発生や消滅をかからせるのが条件です。

⇒停止条件:条件成就によって効力を発生させる。条件未成就では効力発生しない。

 例)東大に合格したら10万円合格祝い金あげます(停止条件付贈与契約)

⇒解除条件:条件成就によって効力を消滅させる。条件未成就では効力あり。

 例)奨学金を毎月支給する。成績が落ちたら打ち切る。(解除条件付定期金給付契約) 

 

(条件の成否未定の間における相手方の利益の侵害の禁止)
第128条 条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、条件が成就した場合にその法律行為から生ずべき相手方の利益を害することができない。

二.128条

✅停止条件にしろ、解除条件にしろ、交わした内容は契約=法律行為ですので、条件が未成就の間であっても、条件が成就した後の相手方の利益を害することはできません。

✅例えば、停止条件付贈与契約をしているケース=成績上がったらこのSwitchあげると言った矢先に、自分のSwitchを他人に売却してしまって、実際に成績が上がったのにそのスイッチが手元にないということはできません。

 

(条件の成否未定の間における権利の処分等)
第129条 条件の成否が未定である間における当事者の権利義務は、一般の規定に従い、処分し、相続し、若しくは保存し、又はそのために担保を供することができる。

三.129条

✅条件が未成就であっても、契約=法律行為自体は有効に成立しているため、「一般の規定」=民法など各種法律などに従った処分、相続、保存、担保は設定できます。

⇒(AB間)成績上がったらSwitchもらえる・・・これを前提に、(BC間)Switch手に入ったら転売する契約を他人と締結することはできる。

⇒(AB間)農地法5条の許可が出たら農地の売買契約の効果が生じる・・・これを前提にAB間で所有権移転請求権仮登記を具備しておく。

⇒(AB間)Bが死亡したらAから保険金もらえる・・・これを前提に(BC間)2,000万円の金銭消費貸借契約を締結し、家を買う。生命保険金請求権を担保に提供する(権利質)。

 

(条件の成就の妨害等)
第130条 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
2 条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。

四.130条

✅1項:条件が成就することによって不利益を受ける当事者・・・AB間で、ゲームに勝った方がジュースおごる⇒ゲームに負けた側が不利益を被る。

Aがゲームに勝ちそうな時、Bはこの「不利益を受ける当事者」になります。このBが、Aの勝利寸前にゲームの電源を落とし、「Aは勝ってないからジュースおごる必要はない」という主張をしても、130条1項でAの勝利とみなされ、Bは約束通りジュースを提供しなければなりません。

✅2項:条件が成就することによって利益を受ける当事者・・・AB間で、ゲームに勝った方がジュースおごる⇒ゲームに勝った側が利益を受ける。
Aはゲーム勝てばジュースをBからおごってもらえます。そのAが「Aが必ず勝利する不正プログラム」を使ったり、ゲーム中にBをくすぐったり目隠しをしてBの勝利を妨害するなどの「ズルをして自分が勝つ」ように仕組んでも、130条2項でAの勝利とみなされず、Bは約束通りジュースを提供する必要がありません。