2日目
日本海を見るためだけに~心静かな旅
僕は新宿の駅にいた。
そこで発車の音楽が鳴る。やばい、電車が行っちゃう!待って!!
いや待てよ。昨日は大宮にいたはず。
ハッと気付いた途端に、重力が横方向になった。
おはようございます。ちょっと気分がすぐれない。
発車音楽の原因は、友人の山手線目覚まし時計。
時刻はは9時。
友人がなかなか起きないので、ボーっと起きていた。今日も天気がいい。カーテンを閉めていてもあふれだす光は部屋の中になだれ込んでくる。
ようやく起きてきた友達とともに、芝浦工大へ。学食でごちそうになった。
不思議なことに、僕の通っている学校とメーニューがほとんど一緒で、学食フランチャイズの存在を知った。
そして、偶然現れたもう一人の同級生と友人に見送られながら出発。
「物好きだね。なんでそんなことをするかな」と言われた。
どうして、自転車で旅に出るのか。そう訊かれたとき、答える理由は一つしかない。
「楽じゃないから」
誰も納得しないかもしれない。でも自分が納得するからそれでいいんだと思う。
たとえば、峠の道をバイクでぐんぐん登るのは爽快だろう。だけれど、それでは、わからないこともあるんだ。なにも来ない、山道の音とか、耳鳴りを超えるセミの合唱や、突然解き放たれる視界とか。
そして、坂を登る苦しみもわからない。
なんともないことだけれど、そういった一つ一つが、記憶の中に刻み込まれていく。
今日感じたことが、明日の糧になる。そういう気がするんだ。
出発したのは午後になってからだったけど、ゆったりと荒川の土手をこいでいた。
荒川ではトノサマバッタが道の左右で待ち構えていて、自転車に合わせて両側から飛び出して歓迎してくれた。
たまに体に当たるバッタは、痛かったけれど、次々とあわてて飛び出すバッタを見ていると子供のころ遊んだ草原を思い出して、少し楽しくなった。
そのあと走った国道17号線は平坦で、走りやすくて、日が暮れるころにはに高崎についた。野宿できそうな場所はなかった。
ヤ○ダ電気の本社を発見しテンションあがって今日の旅は終りにすることにした。
つづく