子猫保護物語 3 | yan-log

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子猫保護物語 1 はこちら から。
子猫保護物語 2 はこちら から。




ミルクを飲んでいる間の子猫の便秘は、そんなに心配はないらしい。


とはいってもねぇ。


母猫のかわりにと、食事の前後には肛門を濡れたガーゼで刺激する。
時折、ソワソワと何やら行きたげな気配はあるものの
ブツ(うんち)は現れず、心配はないとは思いつつもやっぱ心配。



保護4日目。
その甲斐あってか、待ちに待ったブツがやっと出る。


いつものようにソワソワとトイレに入り、


構え、


踏ん張る。


私達も一緒に「うんしょうんしょ」と声をかける。


ごめん~。
見られてたらやり難いよねぇ。
わかってんだけど、このチャンスを逃すまいと
つい私達までチカラが入ってしまって。


更に踏ん張る。


出たー。


その量半端でなくトグロまで巻いている。
どんだけ長いうんちやねんーーとツッコミつつも、安堵は隠せない。


これでまたひとつ、難関突破やね。


出るものが出て、スッキリした子猫は、更にパワーアップし、
隔離部屋を駈け回る駈け回る。
私達の足が獲物に思えるらしく、飛びかかる飛びかかる。


てーことは、見えてんの?

見えてるのよねぇ?


ただ、テーブルの脚などの障害物に、現段階では確実に
見えないであろう右目からぶつかる。
と共に、かゆいのだろうか、時折爪を立てて目を掻く。


やめてくれーー、これ以上傷つけたら治るものも治らないーー。



両目の状態は保護当初、獣医の初見では、
やや希望含みに感じた。


左目。

確かに、ほとんどの部分が白濁の膜のようなものに覆われてはいたけど
目の端の方から、僅かに覗く黒目で、私達の顔を追う。
その仕草から、少なくとも左目は希望が持てるのかなと感じていた。


だけど、右目は?
そのほとんどが、やはり白濁の膜のようなものに覆われていて、
しかも尖って破れたような状態で飛び出していたので、
それを見る限りでは素人目にも厳しい現実を感じずにはいられなかった。



薬が切れたので6日目に子猫と共に病院へ行く。
すっかり元気になってやんちゃぶりを発揮する子猫に
「大丈夫大丈夫」を連発する獣医。


どうやらこの「大丈夫」には、「例え片目が見えなくても
これだけ元気なら支障はない。大丈夫」の意味が隠されていたらしい。
本当のところ「治るのか?治らないのか?」の質問には
言葉を濁し、表情で否定をする獣医。


悪い先生ではないんだけど、説明不足なんだな。



保護10日目。

体重は約400グラム。
やはり、他の獣医の見解も知りたいので別の動物病院へ行く事に。


この時点で、左目は半分くらい黒目が見えるようになっていた。
しかし、右目は膜が尖って飛び出してた状態から少し丸みを

帯びてはきたものの、やはり眼球全体を覆ったまま、しかも白濁が

赤濁状態に…。


ちっちゃいけど元気~♪


とにかく治る見込みがあるのかないのか。


だが結果、両獣医の見解はほぼ同じだった。


「この右目は治りません。飛びだしてる白い膜のようなものは
瞬膜ではなく角膜です。角膜が傷ついてしまっている以上、
どうすることも出来ません。
もし、ばい菌が入って悪化したら眼球摘出ということはあるけど、
現段階ではその心配はないでしょう。
片目でも生活には支障はないので大丈夫ですよ」


やっぱり駄目かぁ。
でも欲しかったのは、ちゃんとしたこの言葉だ。


やっと私達も諦めがつき、覚悟も決めた。
あとは、唯一の望み、左目の回復を待つのみ。


ついでに血液等その他の検査もお願いする。
エイズ・白血病陰性。
回虫ナシ。
ノミ・シラミなし。
けど「念の為に」ということでフロントラインを噴射する。


10分後、検査結果を聞く為に再度診察室に入った際、噴射後
診察台にノミの死骸が見つかったとの報告を受ける。


ひぇい~。


「フロントライン、しててよかったぁー」(織田裕二のモノマネ風)



実はその間、とりあえず友人知人関係に里親探しのお願いはしていた。
ただ、残念ながら、というかやっぱりというか猫は人気がない。
ましてや、器量も悪く目も見えないかもとなると尚更。


もう少し目の状態が見るに耐えるくらいになったら、
もう少し器量が悪いなりにもそれなりに写る顔になったら、
写真を撮って、知り合いの「里親募集」に依頼をしようと考えていた。
なので、それまでは子猫に情が移らないよう名前も付けずにいた。


けれど、片目の失明を宣告された時、私達は別の決心もしていた。


「この子は私達の手で育てよう」



そして、名前はダンナの推薦する「クロコ(黒猫だから)」を却下し、
私が強引にさり気なく「くぅ(黒猫のくを取って)」と名付けた。


ゴメン。
命名の動機が目クソ鼻クソで。



「黒い物体」から「子猫」そして「くぅ」へ。



子猫保護物語、完。




次回、続編『くぅ物語』、ただ今執筆ちう。(作家気分かっ)